「日記の最適な形式と、WHITE ALBUM2が与える痛み」2021年5月11日の日記

デイリーポータルZの古賀さんのツイートにハッとした。日記はその日に起こったことを全部書かなければいけないと固定観念に囚われていたが、確かにすべての事象を浅く書くより一つの物事に焦点をあてて深堀したほうが書きやすい。すべて書くとなると朝起きてから日記を書く直前までの記憶を軒並み洗い出さなければいけないが、その日のハイライトをひとつ決め、そのことを突き詰めて書く方が一日を振り返らなくていい分、絶対に楽だからだ。

またその方がオリジナリティも出る。人間の一日なんて誰も彼も似通っている。朝ごはん食べて仕事して昼飯食べて仕事して、退勤したら夕飯食べて映画鑑賞やら運動やらツイッターやらして眠る。大体こんなものだろう。休日はここから仕事の時間がなくなって他が増えるだけだ。

だけどその中からどの場面を切り取り、それについてどう考えたかについてはかなり独自性が表れる。上記の古賀さんのツイートのように「外出時にどの靴を履くか迷う」という誰でも遭遇しそうだけど記憶には残らない場面をチョイスするだけでも「ほう、そういう着眼点があるのか」と感嘆され、6.8万いいねもされる。なんて便利な方法だろうと思った。

僕は日記が苦手で、何度か挑戦したが3か月以上続いた試しがない。この日記を書くのも久しぶりだ。その原因はたぶん、さっきもちょろっと触れたけど「日記はその日に起こったことをすべて書かないといけない」という思い込みがあったからだろう。それって正直とても面倒くさい。僕は面倒くさいことが苦手だ。だから日記にも苦手意識があり、長く続かなかったのだ。

だがこの「1点集中方式」なら続けられそうな気がする。現に「日記の書き方」というひとつのテーマだけで700文字程度は書けている。勢いで書いているから無駄な文章ばかりだろうし、同じ意味のことを繰り返しているところもあるだろうけど。

なので僕は日記の書き方を改めたうえで、再度(正確には再々度)毎日日記に挑戦しようかなと思う。ご期待ください。


WHITE ALBUM2というギャルゲーをプレイしている。主人公である北原春希が、これまで付き合っていながらも執拗に距離を置いてきた小木曽雪菜と、徐々にではあるけど近づきつつあるところ。物語としてはハッピーな方向なんだけど、プレイヤーである自分のある選択のせいで、その歯車が少し狂い始めてきた。

和泉千晶という北原のゼミ仲間の女子大生がいる。北原とは気の置けない友人関係にあり、北原の部屋で何度も二人きりになりながらも何も起こらないし何も起こさない、そんな健全な関係を築いていた。

プレイヤーである私は、この和泉がかなり好きだった。自堕落な性格だけど元気があって笑顔が絶えないムードメーカーで、人一倍気遣いができて思いやりがあって、声もハスキーで。そんな女性が自分は結構ドストライクなのだった。いつしか主人公・北原に自らを重ね合わせ、彼女と恋仲になりたいと思うようになっていた(気持ち悪い言い回しだが、ギャルゲーをする男なんて多かれ少なかれこんな感じのことを思っている。ゲームの中でぐらい青春させろし)

だから時おり表示される分岐ルートでも、無意識に(ときに意識的に)和泉との距離を縮める選択肢を選んでしまっていた。これがまずかった。

知らない人に説明しておくと、WHITE ALBUM2という作品は主人公の北原春希とその恋人・小木曽雪菜、そしてその二人の高校の同級生・冬馬かずさ、この3人が中心の物語だ。私がプレイしているclosing chapterには(今のところ)冬馬かずさが出てこないため、「北原春希と小木曽雪菜が過去の罪を払しょくして再び結ばれるか」という部分にフォーカスが当てられている。いや当てられるべき話なのだ。ひどい言い方だが、他のキャラクターはいわばそのサポートに過ぎない。

だが私が和泉にばかり贔屓してしまった結果、なんと先ほど、酔っぱらった北原と和泉が御宿駅のホームで接吻を交わしてしまった。小木曽という本命がいながら、別の女に手を出してしまった。いや出させてしまった。せっかく北原と小木曽が結ばれかけていたというのに、その恋路を自らの手で閉ざしてしまった。私はひどい罪悪感に襲われた。

これはおそらく、北原が過去に犯した罪をプレイヤーにも追体験させようという製作者側の魂胆だろう。introductory chapterでは他人事だったお前たちも、ついに罰を受ける側に回ってきたんだぞ、というメッセージなのだろう。私は北原が和泉と秘密を共有する中、小木曽のことを思ってひどく胸が痛くなった。この痛みは、北原が3年間ずっと抱えてきた痛みなのだろう。確かにこんな痛みを経験したら、自罰的になり、女性には近づけなくなり、仕事に没頭して現実逃避するようになる。

締め付けるような胃痛に息苦しくなりながら、私はやはりWHITE ALBUM2は名作だと思った。ここまでプレイヤーの感情を揺さぶって健康状態にさえ影響を与えてくる作品が、名作でないはずがない。

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