見出し画像

今までのことはすべて忘れてください──2023年5月16日

・ただでさえ弱い4G回線が通信制限でほぼ死滅状態。そのため、外出時は図らずもデジタルデトックスの状態となる。まあダウンロードした動画や電子書籍は使えるけど、生活時間の大半を占めるTwitterは諦めざるを得ない。

・でも全然ツラくはない。最近のTwitterは常に誰かが誰かに怒っていたり、思想の強い人がみんなの楽しんでるものを痛烈に批判したりと、読んでるだけでストレスが全身の血流を駆け巡る。だから、Twitterに触れられない状況はとても望ましい。俺のような中毒者はツイッターのない世界に幽閉すべきなのだ。

・また雀魂もできなくなるがこれも全然良し。むしろ通勤中の車内で対局するのは精神衛生上よろしくない。勝っても負けてもイライラしてしまう。だから、むしろ対局できない状況を作ってくれてありがとう、といった感じだ。せっかく上り詰めた雀傑の称号も、戦わなければ奪われない。ペーパードライバーのゴールド免許と同じだ。

・ちなみに何とかしようとポケットWi-Fiのレンタルを試みたが、自分が持ってるデビットカードでは支払いができなかった。なんで?クレジットカードと同じように扱ってくれるんじゃなかったの?結局あの子のほうが大事なのね。


・最近『無能なナナ』を読み返している。

・とある島に、能力者の学生を集めた学校がある。火炎使い、時間遡行、念写、何でもありの教育施設。

・そこに一人の少女・ナナが転校してくる。人の内なる声が聞けると自称する彼女は、生徒たちの心理を読み解き、絶大な人気を集める。

・が、実はナナにテレパスの能力はない。天才的な知能とメンタリズムの才を駆使して、相手の心を推理していたのだ。

・能力者に紛れ込んだ無能力者である彼女の目的は、島の生徒たちを皆殺しにすること。

・殺害する動機はなにか。そして超能力による反撃に、無能力者の彼女はどう立ち向かうのか。頭脳戦と闇に渦巻く陰謀に手に汗握るサスペンス漫画だ。

・自分が好きだったゲーム『車輪の国、向日葵の少女』や『G線上の魔王』のシナリオライターが原作を務めているだけあって、めちゃくちゃに面白い。

・さて、その中に、犬飼ミチルという女の子が出てくる。傷口を舐めて怪我を治療する能力の持ち主で、その能力が表すように誰にでも優しくて純粋。疑心に苛まれるナナが唯一心を許してしまう存在だ。

・そんなミチルはナナのことを「ナナしゃん」、猫のことは「猫しゃん」などと、さんをしゃんにする喋り方をしている。それだけなら「ああ、滑舌が悪いのかな」と思うであろう。

・ただ、このシーン。


・手紙でもナナのことを「ナナしゃん」と呼んでいた。舌足らずではなく、人名の敬称をしゃんだと本気で思っている。結構いいシーンなのに、そのことがずっと気になってしまった。

・確かにナナしゃん呼びでキャラが立っているのに、手紙だけ「ナナさん」と書くのは──実際おかしくもなんともないのだけど──漫画だと何故か少し違和感を覚えてしまう。作者もさすがにそれには気付いているはずだが、リアリティより漫画としての整合性を重視したのだろうなあと予想できる。

・でもよく考えれば現実世界でも、話し言葉と書き言葉が混ざり合ってしまうことはよくある。「一応」を「一様」と書く人も、「延々と」を「永遠と」と書く人も、「体育館」を「たいくかん」と書く人もいる。

・口から発する音の響きが、書き言葉を侵食してしまうのだ。文字は音より後発だから、本能的に音を優先してしまうのかもしれない。言語学的に、こういった現象は説明がつくのだろうか。



・とまで書いてよく読み返したら、日記の書き始めは「ナナさん」と書いてあった。何だったんだ今までの考察は。

・敬称を「しゃん」とするのは、一種の愛情表現なのか?あるいは自分が忘れてるだけで、最初のページ以降はミチルを装った別人が書いたものなのか?そういう驚くべき真相がこのあとに待ち構えているのか?

・まあとにかくここまで書いたことは全部なしだ。忘れてくれ。疲れてる。『無能なナナ』自体は面白いので読んでください。




・炭酸のアクエリアス。うまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?