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【ネタバレ有】ニアサードインパクトが起こってもUSBの裏表はわからない―2021年3月27日

Twitterで「電車 Bluetooth」と検索すると、電車内でいかに恥ずかしい音楽を爆音で流したか合戦が繰り広げられていて背中がムズムズする。僕はただ、電車内でbluetoothのイヤホンを使うと音飛びがひどくなる原因を知りたかっただけなのに。君らの得意げな失敗談はどうでもいいんだ。


錦糸町公園の桜が見事に満開だった。花見客がたくさんいて賑やか。緊急事態宣言解除後でも油断は禁物だぞ、みたいな野暮なことは今日は言いたくない。


・シン・エヴァンゲリオンをようやくみれた。これでネタバレに怯える日々とはおさらばである。

・感想を端的に表すと「本当に終わったんだな」である。シンジの精神世界でしか解決のなかったこれまでのシリーズとは違い、彼は世界と和解し、その世界を救うことで自らをも救済した。これ以上の終わりはないだろう。

・そして本作は呪縛からの解放の物語でもある。碇シンジ他パイロットのエヴァンゲリオンからの解放はもちろん、ファンを『新世紀エヴァンゲリオン』という作品から解き放つ意図もあったように思う。美術セットの裏側を映し出して虚構世界を強調した演出や、ラストシーンが現実世界の映像だったことからも、「これは所詮作り物の世界だ。お前らもフィクション作品ごときに怒ったり悩んだりせず現実世界に帰れ」というメッセージが込められているような気がしてならない。そしてそれはそのまま庵野秀明自身への言葉でもあるのだろう。

・虚実双方に対してエヴァンゲリオンという呪いの解呪を施す。まさに「終劇」に相応しいラストだったように思う。

・ただ、後ろの観客が上映終了後「庵野には期待してなかった」と怒りと諦めを込めた感想を吐いていた。男子大学生ぐらいの声だったので「どうせ新劇しか観てないモグリだろ」と思い振り向いたらエヴァをリアルタイムで観ていたような40代ぐらいのオッサンの三人組ですべてを察した。

・エヴァ直撃世代はこれまで苦渋を強いられていたという。TV版の最終回で困惑し、シト新生で激怒し、Air/まごころを君にで失望し、また裏切られるのではないかという気持ちと次こそはという期待を抱えながら、本作の上映を待ち望んでいたのだろう。「庵野には期待してなかった」と言いながら映画館にお金を払って観に来ている矛盾の背景には、そうした歪んだ愛が隠されているのだ。

・僕は素晴らしいラストだと思ったがそれはエヴァへの愛が足りないからで、エヴァとともにリアルタイムで成長してきたそんな彼らにとっては満足のいかない出来だったのかもしれない。ファンの心って複雑ですよね。


↓その他、感想雑記↓

・多くの人類を滅亡に追いやった大災害であるニアサードインパクトをみんなニアサーと略していて笑った。そんなこち亀みたいな気軽さで…

・冒頭で一瞬だが、USBの接続に戸惑うシーンがあった。ニアサードインパクトが起こってもUSBの裏表はわかりにくいままらしい。AAAブンダーだの種の保存だのの前にそういうところに人類の叡智を活用してほしい。

・式波がシンジに対して「ガキが…」と言うたびにタモリの顔が脳裏をよぎるからやめてほしい。ガキが…舐めてるとレーション食わすぞ…

・田舎の原風景と近未来の最新設備が入り混じった光景は中二病の琴線に触れてワクワクする。

・ゲンドウが幼少期のシンジを抱きしめ「ユイ…そこにいたのか…」とつぶやくシーンが凄く良かった。父と子の確執という問題からすべての出来事は端を発していたんだなと本当に思う。

・エヴァが存在しなくなった(必要なくなった)世界におけるシンジの恋人がレイでもアスカでもなく新劇からの新キャラであるマリだったところに、「ファンの思い通りにはさせねーぞ」という庵野の矜持というか皮肉というか挑発が見て取れた。考えすぎかもしれないけど。

・パンフレットが売り切れで悲しかった。いつか買いに行かねば

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