愛情を切り捨てる──2023年6月28日

・リモート業務をしながら、Vtuberジョー・力一の筋肉少女帯縛り歌枠配信(アーカイブ)を観ていた。

・いきなり初期の怪作『猿の左手 象牙の塔』から始まり、その後も『サンフランシスコ』『踊るダメ人間』『機械』といった定番曲から『トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く』『パリ・恋の都』『少女の王国』など通好みの名曲まで、新旧織り交ぜた「本当に筋少好きなんだな」的選曲をすべてアカペラで披露していて、つい仕事を忘れて盛り上がってしまった。

・ジョー・力一のことは前世の頃から知っているが、彼は曲を披露するときイントロや間奏まですべて口で表現する。簡易的なハモネプ的な感じで。だから元来の歌の上手さも相まって、凄みを通り越して感動すら覚えてしまう。

・リアルタイムで観てたら、何をリクエストしただろうな。『スラッシュ禅問答』『ワダチ』『ノゾミのなくならない世界』『銀輪部隊』あたりが好きだからこの辺かも。

・『ペテン』や『ソウルコックリさん』など聴いたことのない曲もあったから、観終わった後、YouTubeミュージックで原曲を聴きながら仕事に戻った。筋肉少女帯好きを謳っていながら全曲聴いたことがないのはさすがにニワカが過ぎるので、すべて歌えるぐらいにまで聴き込んでおかなければ。


・本郷奏多のガンダム解説動画がとても分かりやすかった。いやほとんど見たことがないから本当に分かりやすく解説されてるのかすら分からないけど、断片的にしか知らなかった基本情報(宇宙への移住、地球連邦軍とジオン公国、一年戦争など)がすべて一本の線で繋がったような快感はあった。

・こういった分かりやすいプレゼンに必要なのは、作品への愛情もさることながら、情報の取捨選択の能力だと思う。愛情だけだと、己の好きな要素をあれやこれやと詰め込みすぎて聞き手を置いてけぼりにしてしまう危険性もある。そうではなく「相手が十全に理解できる最短ルートの構築」を重要視し、不必要な枝葉をバッサリ切り捨てる大胆さが必要なのだろう。

・自分にはたぶんその能力がない。というより愛情が邪魔をしてくる。

・一度『少女☆歌劇レヴュースタァライト』といアニメ作品が好きすぎて、布教のためにパワポでプレゼン資料を作ろうとしたことがあった(布教される方はたまったもんじゃないが)。

・そのときも必要な情報のみをピックアップしようとしたのだが、どうしてもそれができなかった。捨てるべき情報が何一つなかったからだ。「これを伝えなきゃ作品の良さが伝わらない」という要素が大小問わず無数にあり、己の処理能力ではそれをまとめあげることは叶わず、断念してしまったのだ。

・布教のためには、ときに愛情さえ一時的に切り捨てる理知的な精神も必要なのかもしれない。

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