「マチネの終わりに」を観て  未来は過去を変えてる。

小説は発刊後すぐに読み、読みながら洋子と聡のつらい思いに気持ちに胸が張り裂けそうになった。

映画、静かにスッとわたしに入りこむ映像で、聡と洋子の心の動きや「出会う前には戻れない」気持ちがとてもよく伝わってきた。
洋子にとり、本当に好きになる人は20年以上の付き合いのリチャードではなかった。月日や会った回数などは関係なく、どれほどその人の過去や経験や今の状態を知っているかも関係なく、嵐のように訪れる気持ち。
頭で考えてもわからない気持ち。
縁。運命のような愛。
結ばれることになるまで、たった3回しか会ったことがない、回数など関係ない。

わたしが3年前の夏に初めてお会いした女性が言われていた「40を過ぎ、年を重ねた恋愛の方が深いのです。」という言葉が重く、そして"純粋"によみがえる。
「40を過ぎてからの方が『本当』の人に出会うのだ。」という事もよく聞く。

すれ違い(聡のマネージャーの嫉妬により)により、会えなくなってから4年、2人とも結婚し子供を持つ間も、聡が洋子に言った言葉「あなたが、僕に貫通した、いやここに(胸を指し)留まってしまった」という言葉通りに、お互いに同じ気持ちで月日は流れる。

そして、4年後、2人はまた出会う。

エンディングは2人が見つめ合うところで終わるのだけど、これから2人は仮に住む場所がちがっても決して離れることはない。
涙が溢れてきた。よかった、本当によかった。

「マチネの終わりに」のキーとなる言葉、大事な言葉。
『人は変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」

2人がまた出会い、未来に繋がり共に生きることで、過去も癒されてくる。過去も輝きを取り戻す。
つらかったね、本当につらかった。
でももう大丈夫、ここに繋がった。
#マチネの終わりに

リチャードが洋子に「君が憎い。」と言う場面があった。
「その言葉は『君が好きだ。』ということです。」とリチャード役の伊勢谷友介さんが言われていた。
石田ゆり子さんのフランス語が可愛らしく感じました。


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