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2019年4月10日から5月31日までの話

前回に続き、私とトレグの話です。今回はトレグが無くなる第一報からトレグ最終日までにかけてのお話。いわばサビの部分。長いよ。

初めての方はお手数ですが前回の記事をお読みいただいた方がスムーズに読めると思います。

4月3日

いきなり【2019年4月10日から5月31日までの話】というタイトルを裏切る見出しでごめんなさい。でもここを外すと私とトレグの話にならないので語らせてほしい。

私は当時、4月で大学3年生になった現役バリバリの大学生でした。そしてこの時期に私をド緊張させる出来事があります。それが奨学生継続の判定です。
奨学生とは何かというと、私がいた大学では成績優秀者は学費が免除になるというシステムがあり、私は入学時から奨学生として入学しておりました。バリFランだけど。そのため1・2年時は学費を払っておりません。また家族と交わした約束で、東京ディズニーリゾートの年間パスポートを買ってよい条件に、この奨学生継続がありました。
なので継続のために日々真面目に大学へ行き、提出物などにも真面目に取り組んでおりました。まあ、それでもすごい熱心に命を懸けてやっていたかといえばそうではないんですけども、まあぼちぼちと努力していました。大学にお金は払いたくないし、年パス買いたいですからね。

例年、授業開始日までに通知が家に送られてくる仕組みなので私はドキドキしながら封筒が届くのを待たなくてはなりませんでした。しかし、この年はもう明日が新年度のガイダンスというのにまだ封書は届いていませんでした。

学費って普通は払わなきゃいけないんだけど2年間免除で払ってなかったので払いたくなかった。しっかり学費を払っている皆様には申し訳ないけど。

さて、そんなドキドキした気持ちを抱えつつ今日は週に1度のインパの日。
(インパとは:インパークの略。東京ディズニーランド/シーへ入園すること。私はだいたい1週間に1回パークに行っておりました。)

今回の目的はランドとシーのイースターのショー・パレードを見ること。


当時行われていたシーのイースターのショーのグーフィー


当時行われていたランドのイースターのグーフィー


見終わった後はいつも通りトレグに行きます。

この日は春休みの影響かいつもより少し長く、30分ぐらいの待ち時間でグーフィーにお会いできました。「イースターのショー見てきたよー」なんていつも通りの平和で楽しいお話をしたりしてね。

ほかにも、グーフィーのお耳って小顔効果あるよねみたいなくだらない話をして小顔効果ポーズを取ったりしていました。今思うと本当にくだらないことを話しているなと思うけど大切な思い出です。

再度列に並びながら家族に連絡して確認してみてもやっぱり封書は届いていないらしい。今日は届かないかなぁ。
時間的にもこれでグーフィーにお会いするのが最後になるから「明日から新学期で緊張しているから応援してほしい」って言いました。
すると



ツーショのポーズでちゅー(正確に言うと鼻ちゅー)していただいちゃった!!!

4月4日


奨学生落ちました!!!!!!!!!!!!!!!

そんな気はしてました。だって昨日グーフィーと鼻ちゅーしたし。すべての運をそこで使ったとしてもおかしくないからね。
悔しかったしお金を払いたくなさ過ぎてギャン泣きしましたけど。あと年パ更新できないのもね。
というか、一応保険で借りてた奨学金にも手を付けて遊んでいたので、前期分はなんとか払えるけど後期はそのためにお金を貯めなきゃいけなかったりで、シンプルに手痛すぎる出費だったのもある。

4月10日


まあ、お金のことはアルバイトをして地道に貯金をすればなんとかなるかもしれないし、パークに全く行けなくなるわけじゃないしと自分を励ましながら過ごしていました。
(それでもすごい落ち込んでいたし、辛かったけど。)

この日は4月だというのに朝からみぞれ雪が降る変な日でした。桜が咲いている季節とは思えないような寒さの中、今年度から参加するボランティア活動の顔合わせに参加するために大学に向かっておりました。
私は大学院への進学を希望しており、その大学院の先輩方も参加されるボランティア活動に参加すれば大学院や大学院受験についての情報が手に入りやすいという魂胆でした。人間、第一印象が肝心ということで、先輩方の第一印象を良くするためにも気合を入れて集合場所に向かいます。

到着すると先輩に「先生が来るまで待ってて。」とパイプ椅子への着席を促されます。
先輩方はスマホを触ったり、提出物に取り組んでいたり、その日発売の週刊漫画誌を読んだり緩い空気でした。もっと厳格な空間を想像していたため少し肩の力が抜けて緊張が解け始めました。
とりあえず何もしないでいるのも不審かと思い、スマホを取り出してTwitterを眺めていると、フォロワーのこんなつぶやきが目に入る。

「トレグがただただ可哀想」

その文字が目に入った瞬間「あーまたYoutuberが失礼なグリーティングでもして炎上しているのか」と思いました。偏見が過ぎる。
(当時から一部のYoutuberやウケ狙いのヲタクがキャラに対して失礼な態度・言動をとってその様子を動画に収めて再生数を稼ぐ手法があり繰り返し炎上していた。今もそこそこある。)

だが、どうやらいつもの標的が決まっているような学級会(ディズニーヲタクが1つの議題に対してやんややんや言う様)のような雰囲気はTLの文字列から感じられなかった。やや違和感を抱きながら状況を把握するためにスクロールをすると「会えなくなる」とか「ひどい」とか「信じられない」とかとにかく悲痛な感情が並ぶ。
そして遂にこのツイートが目に入る。



とても端的でわかりやすかった。

しかし、文章の「わかりやすさ」がそのまま直接「受容」につながるわけではない。
私がまず感じたことは頭の中が「は?」という文字で埋め尽くされるような感覚だった。


「は」7連投


さて、現実的なりんごろごろの状況として周りには第一印象を良くしたい先輩方がいた。ここで「は?」と口に出したり、泣き出したりは出来ないし避けたい。「は?」で埋まる脳内に、何とか現実問題の方が大事だと思い込ませて、必死で別のことを考えようとした時に先生がいらっしゃった。気持ちが落ち着かないまま、顔合わせが始まった。
頭が真っ白になった自分がうまく取り繕える筈も無く、「ディズニーが好きで〜年パスも持っています〜」と定石の自己紹介をした。そのディズニーのせいで現在精神衛生が全く良く無いのに、こんなことしか言えない自己紹介のレパートリーの少なさを恨みながらやり過ごした。今精神的にとても不安定なことはバレてないだろうか。バレたとしても弁明する余地も無い。ただ緊張している学部生だと思ってもらえたら良いなと祈っていた。

顔合わせも一応無事に終わり、私はすぐに先輩方の前から退散した。
「グーフィーの出演が終了する」という文字と、グーフィーがいるべき場所にいるドナルドの写真を見たあとすぐ顔合わせが始まったのでそれ以上の情報はなかった。

顔合わせをした施設から少し離れた公道の端で立ち止まり急いで情報を確認する。流石、大手テーマパークというだけあって熱心なファンによるわかりやすいまとめによって状況は理解できた。

東京ディズニーシーのグリーティング施設において、グーフィーがいたところにドナルドが来て、ドナルドがいたところにダッフィー(クマの男の子)が来て、ダッフィーがいたところにシェリーメイ(クマの女の子)が新しく来るというシェリーメイの地位昇格によって、グーフィーが恒常グリーティング施設からの撤退するということだった。

ダッフィーを筆頭にしたダッフィー&フレンズの持つキャラクター力(ぢから)は年々強まっており、グッズ発売日は毎回大賑わいの上、一般層のゲスト受けも良い。そんなキャラクター達に力の入れ具合がシフトするのは資本主義的でわかりやすい判断だ。
それが私にとって受け入れられるかは別として。

思い返せばアレはフラグだったんだな〜みたいなことがボロボロでてくる。

例えば、グリーティング施設ではキャラクターとゲストが一緒に写った写真を購入することが出来る。その購入した写真は厚紙の専用台紙に入れられて渡されるのだが、その時におまけとしてキャタクターだけのオリジナル写真が付属する。
不定期にそのおまけの写真が変わるのだが、2019年3月下旬〜のミッキー&フレンズ グリーティングトレイルの写真はミッキー、ミニー、グーフィーのどこで写真を買っても必ずグーフィーが映っていた。こんな事はあまりない。
当時の私は「え?全部グーフィーいるの~~!グーフィーの時代が来てるじゃーん!!」「グ単(グーフィー単体の略)なんて雑誌の表紙じゃんカッコいい大好き~~~」とメロりまくっていた。呑気だわ。



台紙のおまけ写真

他にも3月下旬ぐらいに書影が発表された東京ディズニーリゾートの公式ガイドブックの表紙がトレイルのミッキーとミニーの写真だった。


発表された当初は「なんでミキミニ(ミッキーとミニーの略)だけなんだよ!!!グーフィーは?????同じ施設なのに😡」と怒ったがこれもこういう状況のせいだったのかと脳内で繋がった。5月いっぱいで施設が終了しちゃうなら一年間使えるガイドブックに載せらんないもんね。

というかさ、グーフィーとのチューの代償ってこんなでかくなきゃいけないの???パンドラの箱でしたか??

だんだんと脳内で処理される情報に涙が出てくるし、怒りも沸いてきた。そりゃそうだ。大好きな場所が無くなってしまうんだもん。

Twitterを開く。TLはグーフィーヲタクの悲しみのツイートで埋まっていた。なんか視界に入れるだけでムカついたし無理だった。誰にも何も言いたくないし、だれの意見も感想も見たくない。一人でいたい。自分の気持ちだってまともに処理できないのに他人の悲しみとか考えとか見る気になれなかった。とりあえずすぐにツイッターをアンストした。

さて、現実の私は次の授業のために教室に戻らなくてはいけなかったのだが全くそんな気にはなれなかった。お昼休みの時間中、泣きながらド田舎にある大学の周りをウロウロした。キャンパスで泣くよりはずっといいだろう。外は相変わらずみぞれが降り注いでいる。嘘みたいなニュースに嘘みたいな天気だった。全部がムカついた。全部ウソだったらいいのに。

なんとなく、形式的な怒りの表現をしてみたくなってデカめの雑草を乱暴に引っこ抜いてみた。推し燃ゆのラストみたいなしょぼさの怒りの表出だ。別に気分は晴れない。物(植物だったけど)にあたることって私にとっては無意味だということをわからされた。

真面目なので授業開始ギリギリに教室に戻った。泣きながら講義を受けた(偉いね)。

4月11日

Twitterを再インストした。バカである。
まだTLを見る気にはなれなかったが、呟きたい欲が抑えられなかったのだ。だんだんと自分の考えとか気持ちとかが形を持ち始めてきた。
もちろんまだ処理できない・受け止められない気持ちや感情が永遠にグルグルしているものもある。稚拙でも少量でもいいから吐き出せる場所がほしかった。

あと今日は前々から普通にインパをすると決めていたので、インパの記録も残しておきたかった。
年パスも更新できないことが決まり、私が年間パスポートで入園できるのは今日と来週の2回になってしまったし。

とりあえずは現実逃避の意味も含めて普通に遊びたかったからイースターのショーを見た。強風で途中中断だったけど。


当時やってたイースターのショー

さて、現実逃避のために訪れている場所に一番逃げたい現実があるんですよね

昨日のクソバカアホニュース!を見てから私が初めてトレグを訪れたときには40分待ちだった。春休み明けの平日ということを考えればかなり長い待ち時間である。「どうしてこうなっちゃったのか考えたくないなー」とか思いながらも並ぶ。並ぶしかないから。

トレグは並んでいる列から今ご挨拶している人のやり取りが見える。他のゲストが「ここで会えなくなっちゃうの?」と話しているのが憎くて仕方がなかった。私にその現実を向けてくる全てが憎かった。私の耳に入れないで欲しい。

当たり前だけどグーフィーは変わらず優しかった。

4月18日


年間パスポートの有効期限が今日で切れる。


お世話になりまくったプラ板



2024年現在、疫病の流行をきっかけに年間パスポート自体が事実上廃止された今でこそ、ワンデーパスポートをバカスカ買っているが、当時の自分からしたらワンデーパスポートという非効率なものを買うということは金銭的にも心理的にもストレスだった。

そんな思い入れのある年間パスポートを手放す儀式として、年間パスポート納めをするために舞浜に向かった。
といってもなにか特別なことをするわけではなく、日中はいつも通りランドとシーを行き来してショーやパレードを見て楽しんだ。

そして一通りやりたいことを終えた夕方、いつもどおりトレグへ向かう。やっぱり待ち時間は長い。もう1時間越えは当たり前になっていた。帰宅時間との兼ね合いも含めて2回しか行けず、これが最後になるというタイミングで

「今日で年間パスポートが終わっちゃって、しばらく更新できないんだ。今までたくさん素敵なパフォーマンスや、ここでお話してくれてありがとう。」

と、今日しか言えない感謝の気持ちを伝えた。

グーフィーは「ここにいっぱい来てくれてありがとう。」
って言ってくれた(正確に言えばジェスチャーだが)


ここに
いっぱい(指折り数えている)
ありがとう



それがとんでも無く嬉しかった。こっちが好きで勝手に何回も並んで会いに行ってるのにグーフィーに頭を下げられるとは思わなかったから。申し訳なくなったし、同時に安堵感もあった。
年パスも切れるし、このトレグだってなくなっちゃうこのタイミングでこの様にグーフィーに言って貰えたのがすごく嬉しかった。
グリーティングを終えた後、近くのベンチでひとしきり泣いてから帰路についた。

4月19日〜5月24日


年パスが切れた後、毎週のインパも無くなり暇を極めていた。嘘。大学生としての生活の合間にバイトを詰めまくっていた。
今まで浪費してきた分も働かなきゃいけない、お金もないし時間もないみたいな状況だった。
まさに貧乏暇なし。
バイト先が本屋なので、店先に並ぶグーフィーが表紙にいない東京ディズニーリゾートのガイドブックが憎くて視界に入れては涙ぐみながら睨んでいた。

次にパークに行く予定は5月25日。5月25日という日はグーフィーにとって、そしてグーフィーファンにとって特別な日付である。
この日はグーフィーが初めてディズニー作品に登場して、キャラクターとして生まれた日で「スクリーンデビュー日」という。つまり、一般的に言えばお誕生日だ。

私は5/25を迎えるまで、お誕生日にお渡ししたいお手紙を作ったり、今まで買ったグーフィーのアニメDVDを見たりコミックを読んだり、ひたすらインターネットでグーフィーの情報を漁るぐらいしかできなかった。それもそれで大事な行為なんだけど。


こしらえた手紙


グーフィーはアニメキャラクターであり、そのご活躍はアニメをはじめ、コミックCDその他グッズ、そして東京を含めた世界各地にあるテーマパークでのご活躍と多岐に渡る。そのためパークに行くだけがグーフィーというキャラクターを追っかける行為に繋がるわけではない。
そのどこに重きを置くかはファン個人によって異なるので茶の間とも言いたくないが、まあいわゆる茶の間状態だった。

相変わらず他のヲタクのトレグについての情報は見たく無かったので、普通にTwitterをすることは出来なかった。しかしSNSから離れることが難しいSNS中毒なため、普段使っているアカウントをとは別のアカウントで世間一般の話題を知るようにしてた。
それでも、アカウントの壁をすり抜けて日に日に待ち時間が伸びている旨のツイートは流れてきていた。

5月25日

今考えればナメているとしか思えない計画なのですが、ローカル線の始発で家(群馬県)から向かいました。到着はだいたい8時半ぐらいの予定。

昨今コレコレに取り上げられるほど徹夜組が話題になっていますが、当時は始まりやラス日にはちらりほらりいて、ヲタクの中で話題になる程度でそこまでひどく無かったのです。

さらに言えば今までのグーフィーのスクリーンデビュー日当日のグーフィーの待ち時間は最大120分ほど。
いくらスクリーンデビュー日当日にトレグで会える最後と、土曜日ということを鑑みてもまあ360分ぐらい(6時間)かなと思っていました。

シーに入園すると直ぐにフリグリ(キャラクターが不定期に遊びに来てご挨拶ができる時間)でグーフィーがいらっしゃいました。囲みがスクリーンデビュー日当日とは思えないほど少なく、すぐに指名していただけて、お祝いの言葉を伝えられて、尚且お写真が撮れました。グーフィーにお祝いの言葉をお伝えするという最低限の目標は朝イチの時点で叶いました。いえーい✌

さて、そこから最短距離でトレグに向かうかと明らかにおかしいものが私の目に入ります。

本来最後尾があるエリアに最後尾が無いんです。

トレグに馴染みがない方向けに説明しますと

普段はこのように並びます。


これで30分ぐらい


ですが2019年5月25日は



こう

キモ!!!!!
と失礼すぎる感想がすぐに浮かびましたがとにかくわけわからん最後尾を目指して歩きすすめます。そりゃフリグリにヲタクが全くいないわけだわ

ようやく最後尾につくとキャストさんが

「ここからお並び頂いても会えない可能性があります」


はい!?今朝の9時前なんですけど!!!?!?

つまり今並んでいる人間は会えたとしても、パーク閉園時間と同じ22時になる直前ぐらいにお会いする予定になるという意味が込められたアナウンスです。

意味のわからない行列、意味のわからないアナウンスに吐き気を催す緊張感が訪れます。並びながら情報収集をするとどうやら朝1の時点でトレグの待ち時間は600分と書かれていたそうです。

とにかく並ぶことしか出来ないのでゲロゲロメンタルになりながら列に並んでいると、前方の方からキャストさんが整列券を配り始めます。


この整列券はご挨拶する人数をキャストさんが書き込んで渡してくれる整理券です。要は横入りや合流防止のために用いられるシステムなのですが、トレグでは普段使われることのないシステムでした。

それだけ今の状況がイレギュラーであることをまざまざと見せつけられます。
私の後ろ30人ぐらいで、整列券の配布も終了されて、ご案内が終了されました。(=これ以上の並べないこと。)
自分がフリグリに行ってから並んだのが完全に悪いんですが、相当ギリギリで整理券の範囲内になったようです。

さて、整理券も貰ったあとはただひたすら並ぶのみ。ご案内終了間近で整理券を貰ったということは、私が実際に会える時間もそれだけ遅く21時半ぐらいになるのではないかと予想し、そこまでこの列で時間を消費することを覚悟していました。

更新された公式ブログの撮り下ろし写真に沸いたり



反対側の列に友達を見つけて手を振ったりして列を眺めていると、改めてそのグーフィーファンの多さに圧倒されます。

「ここにいる全員がトレグが無くなることを悲しみ、トレグでお祝いしたいと思えているんだよなあ」ということがイヤでも理解できました。
基本的にインターネットでは誰の気持ちも見たくなかった状態だったのですが、「お前が感じている悲しみはお前だけじゃない。」ということを目で見て肌で感じて、そして何よりヲタクの数の暴力でわからされたような気がしました。

そんなことを考えていると12時半ごろに、列の解散を行うというアナウンスが流れました。

この日は5月にも関わらず夏日で炎天下。そんな中で列形成をしていたものですから、熱中症予防の施策が取られました。ある程度の人数ごとに集合時間が指定され、その時間に戻ってくれば列に再度並べるというものでした。
それまで東京ディズニーリゾートは何かと無慈悲に長時間並ばせていました。このような対策が取られたのは初めてのことだったらしいと記憶しています。(そうじゃなかったゴメン)

イレギュラーに次ぐイレギュラー。ですが、私も暑さでかなり参っていたので大変助かりました。
私の集合時間は20時。急に自由時間が増えました。
解散したあとは休息を取り、並べば見ることができる大好きなショーを見に行きました。

ショーの終わり際、突然椅子を蹴り上げられたようなドンという感覚がありました。

「テンションの上がったお子さんがプチ暴れした?」ぐらいで特に気にも止めていなかったのですが、ショーが終わりパーク内を歩いているとあらゆるアトラクションが休止しています。

どうやらさっきのドン!はお子様の蹴り上げでは無く震源地が近い地震だったようです。


東京ディズニーリゾートではある程度の地震が起こると安全確保のためにアトラクションの運行を止め安全確認を行います。それが多くのアトラクションで行われているようでした。

それはトレグを含めたグリーティング施設も例外ではありませんでした。

この地震の影響でグリーティングの列も止まってしまったのです。
ただでさえパンパンの人数に整理券を配った状態でこの案内中断はスケジュール的に痛かったのでしょう。
集合時間の20時になってトレグに向かうと列解散をしたのにも関わらず未だ長蛇の列がありました。とは言え、とにかく並ぶしかありません。

結局私がお会いできたのは本来の閉園時間を1時間弱過ぎた22時50分ごろでした。
地震などの中断も重なりましたが、整理券を持っている人は必ずご挨拶ができるようにと計らってくださいました。
本当にキャストさん方やグーフィーには頭が上がりません。
私は普段撮影の際に動画をお願いしないのですが、この時はもう感謝を伝えられればよかったのでその様子を動画で撮影していただきました。
※当時はグリーティング施設でも動画の撮影をキャストさんにお願いできました。



さて、グーフィーに無事お祝いを述べられたところで1つ問題が
家に帰る手段がなくなってしまいました。
私は群馬在住のカントリーガール、生まれて初めての朝帰りです。

明日の朝9時にはバイトのシフトが入っているので、それまでにはなんとか私が住む群馬に帰らなくてはなりません。

とにかく壁と屋根があるところで始発までの時間を乗り越えられれば良かったので、聞きかじりの知識でしか知らなかったネカフェなるものを初めて使いました。
(今はもうバリバリ使わせていただいております。インターネットカフェ最高!!)

当時の私がインターネットカフェに持ち合わせてたイメージはとても治安が悪い場所というイメージでした。

私が大好きな小説家である嶽本野ばら先生の著書に「通り魔」という作品があります。

題名の通り、今で言う弱者男性が転落人生を送り、通り魔になるまでの過程を描いた作品です。その中で主人公がネカフェ暮らしになり、作りかけのソースのかかってないインスタント焼きそばを盗まれるシーンがあります。

はい。私の当時のネカフェに対するイメージはこれでした。

「作りかけの焼きそばですら盗まれちゃうのに、私のカバンには一眼カメラセットやお財布等貴重品が入っている!絶対に目を離さないぞ」とほぼ眠ることもなく朝を迎え、無事始発に乗り帰宅しました。急いでシャワーを浴びバイトにも遅刻せずに向かいました(偉すぎ)

5月26~30日


さて、大一番のスクリーンデビュー日が終わった次に待ち構えるのはもう「ミッキー&フレンズ グリーティングトレイル グーフィー」との最後のお別れのみです。
スクリーンデビューの日にお別れも兼ねることもできましたが、グーフィーのお祝いはお祝いであり、ネガティブなことは絶対に言いたくなかったのでスクリーンデビュー日とは別にラストを設けると決めていました。
個人的な納めが出来ればいいのでラス日には拘らず30日に行く予定でした。

ところがどっこい、30日に突如サボれない用事が入ってしまいました。大学生は忙しいね。
私には31日ラス日にお会いする選択肢しか残されていませんでした。
舞浜においてラストの日というのあまりポジティブなイメージではなく、話題に食いつくインフルエンサーやラス日というとこを狙ってくる葬式厨と呼ばれる人々など客層があまりよろしくないとされているので避けたかったのですが……もうわがままは言ってられません。

あとこのタイミングで「この一週間で感じたストレスについて振り返りましょう」という課題が出た。


馬鹿正直


馬鹿正直に書いて、この課題が出された講義をサボってラス日に行くことにしました。

5月31日


この日もスクリーンデビュー日と同じように群馬県の始発から舞浜を目指します。
流石にもう朝帰りはしたくなかったのでフリグリのグーフィーを申し訳ないと思いつつスルーしトレグへ向かいます。

スクリーンデビュー日よりかは短い列が見え安堵します。
この日も列解散があり、私の集合時間は18時でした。

集合時間になり、最後のトレグの列へ並びます。
並んでいると、今まで以上に「どうしてこうなちゃったのかな。」という疑問が襲ってきます。どうしてどうしてどうして。どうしてトレグは無くならなきゃいけなかったの?どうしてトレグご挨拶がしたいだけなのにこんな思いで並ばなきゃいけないの?どうしてどうしてどうして。シェリーメイのグリーティング施設をどこかに新しく増やすだけじゃダメだったの????こんなことになっているすべての要因に疑問や怒りの気持ちが湧いてきます。それは初めてトレグが無くなるという一報を受けたときと似ていました。

そんな私が憎悪の気持ちを抱いている間も列は進んでいきます。

グーフィーが視界に入る位置まで来るとグーフィーを前にして暗い気持ちでいるわけにはいかないと思えてきます。不思議だね。
最後のご挨拶で何をどう言いたいかをしっかり考え脳内で何度もシュミレーションします。
そしてついに自分の番が来ました。


お渡ししたお手紙でお顔を隠されたり


またどこかで会えた時は仲良くご挨拶してください


最後のハグ


グーフィーは優しくて面白い。それは最後の日だろうと変わりませんでした。私がお渡しした帽子型のお手紙を自分の帽子に重ねてみたり、ツーショを撮るときに私にかぶせてみたりして笑わせてもくださいました。
最後だけど、いつも通りに楽しくてしょうがない、グーフィーが目いっぱい楽しませてくれたグリでした。

トレグではご挨拶が終わるときに「また遊びにきてくださいね。」とキャストさんが言う。だが、この最終日は「またどこかでお会いしましょう。」だった。これが聞けただけでもラス日に来てよかったのかな、なんて思えてしまった。

不思議とご挨拶が終わった後は寂しいという気持ちよりも「今日も楽しかった~~!!」という気持ちのほうが強かった。
きっとグーフィーがご挨拶でたくさん笑わせてくれたからだろう。

今はとりあえずグーフィーに笑わせてもらって幸せという気持ちを噛み締めながら帰路につきました。

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次回 最終章「2019年6月1日から現在まで」に続く!
6月中に更新予定。

















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