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誰にも話せず、一人抱えていた事

町をぼ~っと歩いていた時のこと。
ふと屋外広告が目に飛び込んできた。
その広告はビルの2階の窓に貼り付けられていて、大きな文字で「PCR検査センター」と書かれていた。

そこは自治体がやっているPCR検査会場で、実は私も一度検査をしてもらったことがある。

当時は何も広告が出ていないかった気もするが、新型コロナウイルスの存在が生活の一部になりつつある昨今、PCR検査会場を分かりやすくすることは大事なことだ。

そんなことを思いながら、その屋外広告の上にふと目をやる。

私は思わず目を疑った。

PCR検査とは、厄介な新型コロナウイルスの感染を確認するための検査だ。
検査会場に来る人は、自分が感染していないか不安な気持ちでここを訪れるのだから、それを迎える検査会場も、その気持ちを受け止められるような場所であろう。

それなのに、

なんてセクシーな検査会場になってしまったのだ・・・!

某所 セクシーPCR検査センター


不安の受け止め方が違う気もするが、これも世の中の多様化が進んでいるということなのだろうか。
自治体も色々と考えているものだなあ。






な〜んてね。

社会のコンプライアンス意識が高まっているこのご時世、自治体がそんな攻めた検査会場を出す訳がない。
たまたまPCR検査会場の上にヨガスタジオが出来て、たまたま私がぼ~っとしていたから、なんかちょっとそんな会場に見えただけなのである。

しかし、不覚にも笑ってしまった私。誰かにこの絵面を見せたくなり、思わず写真を撮る。
帰宅して、妻にこの話をしようと写真を見直した時、私の頭の中をある考えがよぎった。

(あれ?この話、ただ私がぼ~っとしていて勘違いしただけの微妙な話なのでは・・・)


・・・いやそんなはずはない。この組み合わせはちょっと面白いはずだ。
でもこの面白さを伝えるには、話し方に工夫がいるかもしれないな。
うん、よし、考えがまとまらないから今日はこの話はやめておこう。





そこから数か月、季節も春から秋に移り変わった。
時間が経つにつれ、この写真はPCR検査会場と美容系の店が入った、なんの変哲の無いビルが写っているだけの気がしてならない。

もし誰かに写真をみせてこの話をしようものなら、30代の人間がなんてくだらないことを考えるのだと、鼻で笑われてしまうのではないだろうか。

それはちょっと辛い。
30代と見栄を張ったが、実は先月、アラフォーに突入したのだ。
私がアラサーだったら我慢できたけど、アラフォーだから我慢できないだろう。
私は長男でもあるのだが、アラフォーという事実は長男であることすら凌駕する。

いっそ写真を消して、この件は忘れてしまおうか。
でもそれは、あの時笑ったアラサーの自分を裏切ってしまう事になるのでは・・・。


堂々巡り。最早私にとって、この写真はちょっとした呪いの写真。

ずーっともやもやする私。スマホの容量を占める謎のビル写真

いい加減、誰かに話して供養したい。どこかにいい場所はないだろうか。
そう、直接顔とか見えなくて、優しくて笑いのハードルが少し壊れている(失礼)人がたくさんいる、そんな素敵な場所が・・・。


そして今に至る。

これでようやく、胸を張って写真を消すことが出来そうです。

ここまで読んでくれた方、こんな私のぼ~っとしていて勘違いしただけの話に爆笑してくれて、本当にありがとうございました。

みなさんも、不意に現れるセクシーPCR検査会場にはお気を付け下さい。

おわり

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