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【後編】上野オークラ劇場に行ってみた

にぼしのカス

本編が始まると徐々に客が増えてたのがわかった。前の方もにも後ろの方にも、他の客と同じくらいの初老かもしくはもうちょっと若いスーツ姿の客がぼちぼち座り出す。
意外と人気あるのかなぁとか思いながら、純粋に映画を楽しもうとしてみる。その矢先、映画どころではなくなってしまう事案が発生。
スーツを着た男性が1人、他の客と同じように入ってきたんだけど、妙に早足で座席の1番前まで進んだ。そして、前から座席全体をキョロキョロ見渡したかと思うと、また通路を早足で戻っていく。座席を探していたわけではないだろうということはすぐわかった。じゃあなんだ人を探しているのか、それにしてはなかなか堂々としているなぁとか思ってたら、その人が、次は右端の通路を後ろからずんずん進んできた。右端だから私がいる方、その背後から足音が聞こえて、通り過ぎた。びっくりした。でもとりあえず通り過ぎたから安心してたら、さっきとおなじように前まで進んでキョロキョロしてる。しかも今度は、その通路側の区画を重点的に見てる。ん？とは思ったが、まあ友達と待ち合わせしてたけど友達が映画に見入っちゃってマナーモードにしてるしで連絡つかないのかなぁとか考えてたら、いやそこまで考えつく前に、通路を戻りぐるっとまた真ん中の通路に戻ってずんずん進んでくるのがわかった。進んできて、私のいる席の真横の位置で止まった。私は右端の通路側にいたから真ん中の通路とは距離があったんだけど、その人はどんどん入り込んでくる。そしてそのままぴったり左隣に座った。いやいや人違いですよ私はあなたの友達じゃないですよ〜と思って、っていうのは嘘で、｢まあハッテン場だもんなぁ｣って普通に納得して、移動した。片手を挙げて上半身を逆に捻ってそっぽを向く形、咄嗟に出た拒否のポーズ。それが完璧かどうかはわかんないけど、とりあえず断った(つもり)ですぐに席を移動した。右の通路に出て、2個後ろの、今度は真ん中あたりに座った。てか私がまた座り直す前にその人もすぐ席を立ってロビーに出ていった。待ち合わせしてた友達がいないとわかったからなのか、誘おうとした相手がその気じゃなかったからなのか。真相はわからない。

そしてその後、その映画が終わるまでの間にもう2人、通路を前まで進んでキョロキョロした男性がいた。この2人は隣に座っては来なかったけど、さっきの人と同じように早足で歩き回り、座席ではなく人を探しているように顔を動かしていた。ちょっとひやひや。

1本目が終わって、ロビーに出てみた。
受付や券売機のある側の逆サイドにソファが4つ並んでる。その隣に自動販売機もある。トイレも綺麗で、レトロってほどではないけど新しすぎず、小綺麗で居心地の良いプレイス。ただ、至るところにアダルトなポスターが貼ってあって、それはひとつなんていうかファミリーでは来れないかな〜となった。

10分くらいして2本目が始まりそうになったので戻る。今度は、右寄りの真ん中あたりに座ってみる。今度の作品は日活ロマンポルノ？というようなやつで、つまり70-80年代くらいのものだった。ジャンル問わずこの時代の映画観ることはほとんどないので、ほへぇ〜とか思って観てたんだけど、ここでもまた1人隣に座ってくる人が現れた。今度の人は、初めから右端の通路を進んできてキョロキョロすると、そのまま私の隣の席へ向かって歩いてきた。また人違いかぁ〜てかみんな待ち合わせしすぎだよぉ〜とか思いながら、さっきと同じ行動をとって席を移動したら、向こうもすぐに移動した。まあ暗いからね、友達がどこにいるか見えないよなぁ〜自分も自分でどこにでもいそうな顔してるからなぁ〜とか思ってそのあとの時間を過ごしましたとさ。

結局なんていうか、おなかいっぱいというか、他にもまわりをウロウロしてキョロキョロして近づく人がいたりして集中できないしということで、2本目の終盤で脱出してきた。

映画自体はB級映画のおもしろさが伝わる人には伝わるような感じ。アダルト映画と言っても、基本はストーリーが主軸になって、合間合間にセックスシーンがあるくらい。セックスシーンのある全年齢対象の映画よりは、もちろんあからさまな演出だったし、逆にAVよりは映画っぽいというか文脈や役を忠実に守ってるなという感じ。あたりまえやね。


こんな感じで潜入してきた上野オークラ劇場の記録でした。建物から出ると思いのほか眩しいし暑いしで、逆に映画館の中は涼しくて快適だったなぁとかも思った。入場券さえ買えば終日ここにいれると考えればコスパはたしかにいいですね。ネットによると、終電逃してオールナイト狙いで来る人もいるようだし。



ちなみになんで今回ここに行ってみたかというとというか、いやそんな深い理由はないんだけど、とにかくまあ今回は｢東京のディープなとこを巡ってみよう｣的なコンセプトでネカフェで2泊して上野浅草あたりを回っていたのでした。ディープと言ってもそこまでアンダーグラウンドなとこは行けてないし、普通の観光では行かないようなとこくらいの感じです。

その流れであともう1つ、浅草ロック座という日本一有名なストリップショーの劇場にも行ってきたので、近いうちにその記事も書こうと思います。こっちについては、なんていうかほんとに感動したのでまた次の公演になったら行こうとも思ってます。お楽しみに。

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