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CHIBA FOTO の感想 #2


この続きです。



USAMI MASAO CHIBA 2021

そごうの9階、辿り着くとダンジョン(「天空の柱」みたいな名前ついてそうなやつ)の最上階みたいな感じだったんだけどデパートってみんなこうなのかな。雑貨屋さんとか今度ゆっくり回ってみよう。
その空間の真ん中に白い壁つくって、しかも作品が1点だけなので、壮麗な、美術文化のためだけに誂えた広場のようにも見えて、なんか貴族の気持ちになりました。ここで展示してあったのは宇佐美雅浩さんの作品。基本的に情報量の多い絵って好きなので、はまりました。ずっと見ていたくなるというか、気になる箇所が多いというか。こういう写真にこの綺麗な空間も意外と合うのかなぁ、ってくらいのことを詳しい情報無しで観た段階では考えていました。
そこから裏手に回るとこの写真についての説明動画が流れていました。

ひとりの人物を通して、その地が持つ記憶を一枚の写真絵巻に出現させる作家の代表作「Manda-la」。CGなどの合成技術を用いずに、複数の時間や出来事を一枚の中で表現するのが本シリーズの醍醐味である。
今回は作家が生まれ、30年間暮らした千葉市が舞台となる。


なるほどなるほどこういうプロジェクトがあって、これは千葉市の産業の歴史に焦点を当てたものだから製鉄所やら電車やらが登場してるのか。千葉市1年生の自分からしたら感慨深さのようなものは特に無いけど、バックボーンまで含めて味わえるから現代アートっておもしろいなって思いました。青森でこういうのやったらどうなるのかな。
あと、「曼荼羅」ってことで仏教美術的なおもしろさもあるのかなとか思いつつ。ちなみに自分は、そもそも美術、特に西洋美術とかには全然精通してないんですけど、村上隆の作品くらいは好きなので日本画とかアジアの美術のおもしろさを最近感じてます。




A THOUSAND LEAVES, 
A THOUSAND COLORS
千の葉のひとびと

ここから美術館です。行こう行こう思っててなんやかんや初めて来ました。ちなみにここで千葉市美術館の企画展の方にも寄ってしまったのが、写真展を全部回りきれなかった原因だと思っています、今度にすればよかった。
ここは1階フロアの柱に、千葉市で出会った人々の写真が飾られている、蔵真墨さんの展示でした。柱自体は普段は存在しないもので、その側面も白いの黒いのと鏡状のがあって見る方向によって景色が違うというおもしろさがありました。
作品の方も好きだなって思ったのがあって、特に好きなのは美術部員たちのなんとも言えない表情です。あと、「若い男性」と「若い女性」の写真が斜め向かいに配置されてるのも少しおもしろかったです。影だけ写した「セルフポートレート」は自分もやったなぁとか思いました。

↓天井のパッと見QRコードみたいなやつ。


↓柱に写った影が素敵だった。




GEOGRAPHY / BOUNDARIES

1番印象に残ったのは佐藤信太郎さんのBOUNDARIESかもしれない。
複数の場所と複数の季節を組み合わせて1枚の作品にしてるんだけど、なんか引き込まれた(公式Instagramからチラッと見えるから見てほしい、ついでに他の作品も投稿されてあるから是非見てほしい)。
夜の森林?の写真ってのは共通してるんだけど、場所とか季節はバラバラで、でも遠くから観ると統一感というか一体感というか、配色だけで引き込まれる魅力があって。
そして近くで観るとどこが境目かって意外とわからなくて、境界線を見つけて辿っていっても途中でその線を跨いでる部分もあったりして、もしくは違う季節の写真だけどひと繋がりに見えるように配置されてあったりもして、緻密だなって思いました。最初に言った、「情報量の多い絵」と同じ魅力です。違う写真がどう組み合わさっているのか、何でここで繋げたのかとか、そういう部分を考えながら観てると時間が足りなくなる、そういう絵が好きです。
近くで観たり少し後ろに下がって観たりしてたら、この3枚で思いがけずかなりの時間を使ってしまいました。1枚1枚が結構大きいってこともあって迫力があって見入っていました。そのおかげでGEOGRAPHYの方はあまり観ていないです、失態。




SMALL PLANET CHIBA
地域と学校

本城直季さんの作品で、千葉の街を空から撮影したやつ。
全体的にミニチュアっぽさがあってかわいかったです。展示空間の雰囲気も、広い部屋に木の壁で囲われた空間が4つくらいあって、それぞれ大きさや辺の長さがまちまちで、壁のうちいくつかはやわらかい緑や水色が塗られていて、入口の形も整った四角形ではなくそこだけ切り取られたような感じ。全体的に積み木ハウスみたいな、箱庭みたいなやわらかい優しい印象でした。
個人的には、校庭で小学生たちがわちゃわちゃしてるところを空撮で切り取ったゾーンがあったんですけど、なんか展示室のミニチュア的な雰囲気とも相まって、大人が小学生たちに施している教育はまるで箱庭に閉じ込めているだけの抑圧的な管理システムだぞくらいの皮肉を勝手に感じてました。いやたぶんそのメッセージは無いんですけど、どうせならむしろ感じさせてほしいなって。




PHOTO BOOKS BEHIND THE SCENES
写真集の裏側

これも特に興味深かったです、北井一夫さんの作品。これは、北井さんの今までの写真集をまとめて現在に至るまでの軌跡として展示してあるようなやつ。
何が興味深いって、北井さんは1944年中国鞍山市生まれで、激しい社会の変動をずっと写真に収めてきた方なので、学生運動やら成田闘争やらのリアルな記録が見れたのがおもしろかったのです。
これまでの展示はどちらかと言うと現代アートとしてのおもしろさを感じて回っていたのですが、北井さんの展示に関しては、写真家としてのリアルというか、社会情勢を切り取って記録する行為自体の奥深さに引き込まれました。展示スタイルも実際に写真集を手に取って閲覧できるものもあって、時間があればもっと見たかったです。ここらへんで写真展全部回りきれないなって諦めました。
自分は、諸々の影響でなんていうか昔の反体制チックなイデオロギーみたいなそういう方面への興味があったりなかったりなので、千葉に来たなら三里塚闘争のこととかも調べたいなって気持ちになりました。





この後は、千葉市美術館の前川千帆展を観て帰りました。てか1年生のうちに無料で行けるやつ全然行ってないから今度誰か行こ。




終わり

とりあえず記録用に感想だけまとめられたので終わります。

全体を通しての感想としては、

・千葉市内を回れて良かった
千葉公園とか千葉駅周辺とか近いけど全然行けてなかったから歩くの楽しかったし、展示自体も「千葉市」をテーマにしてるから街について知れたなぁって感じです。

・芸術イベントに興味を持った
これは、今回写真展のスタッフをやるきっかけになった授業を通して思い始めてて現代アートって案外おもしろそうだし、青森県もなにやら美術館を中心にした町おこしに力入れてるみたいだからもっと気軽に行ってみたいです。

・展示の仕方って幅広いんだなって思った
ただ作品を並べるんじゃなくて、例えばその展示空間そのものを生かしたり展示室自体が魅力的な作品のようだったりってのが新鮮でした。あと、順路に関する展示方法というか、作品への目の向かせ方を操作するっていう仕掛け的なところ、ナッジみがあって気になってます。



以上です。

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