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引っ越してからというものの心の拠り所がなかった僕は
新しい家庭にも馴染めずさらには感情を表に出すことができなくなり
感情というものを失った気がしていた
毎日刺激もなく淡々と日常を過ごし食卓で大して会話にも入れないような言ってみれば尋問のような質問攻めに飽き飽きしていたし学校もまだ転校生という形で入っているので心から仲良くできているとは思わない
笑顔が消え次第に心を閉ざしていくようになっていた
そんなある日僕は衝撃の体験をすることになる
僕の少年時代にはITやAIが発達していて仮想空間でゲームはできるのはもちろんの事
アニメの世界で生きることも可能となっていた
ただこの話は当時最先端の話だったので恩恵を受けているのは宮都と呼ばれている首都だけだったので僕は身の周りにあるメディアや家にあるタブレット端末で最新情報を仕入れていた
AIも著しく発展していて人が仕事をする時間が短縮され昔あった現金という言葉は今では死語になっている
まだ年は10代だがお金の価値はなんとなくわかるし
この大人が持っているギリーという携帯のような端末に電子通貨が入っているのもわかっている
電子通貨が普及したことにより現金での犯罪は圧倒的に減った代わりにお金の価値というものが再定義されている
完全電子通貨になる前に様々な論争があったが世界的に電子通貨に切り替えた為僕たちの生活にも影響がでてきた
また年寄りについては電子に関して知識がないことから簡易版のギリーといってわかりやすい端末を配布し今でも自治体で講座を行っていたりしている
お金の話はさておき僕が興味をひかれたのは仮想空間の内容だった
VLという特殊なメガネを使い仮想空間へと入ることができるのだがこのVL少年の僕にはとてもじゃないけど手が出せるようなものではなかった
タブレットにある動画配信アプリでその世界をのぞき見することが僕にできる限界だった
ただこのVLを使うと一部の人間は廃人になるといわれている
VLはAIが管理していて仮想空間にいれるのは一日に確か5時間までなのだが廃人になる人はSNSで出回っているような規制を回避するプログラムを高額で買いさらにはMODといわれる通常の仮想空間を一般人の手の加えによってより人間の欲に基づいて設計されている
バカバカしいと思ったのが人って絶対に喉が渇いたり排泄したり人としてのルーティンを繰り返すのだがこの廃人にうってつけの自動ベッドがありそのベッドは排泄からご飯までこなしてくれるだけではなく仮想空間と同期して連動することが可能になっている
政府も警報を出しているのだが一種の依存症である彼らを止めることはできなかった
AIが警報を鳴らし怪しいプログラムは排除しているのだが違法薬物のように少し形を変えて世に出てくるだけで決定的な排除の方法は見つからないままだった
廃人たちは仮想空間にいる時間が長すぎるため誰かにゴーグルを取られたり仮想空間ではない現実の世界を見ると脳が驚き拒絶反応を起こすっていうニュースもやっていたほどだった
また信じられないとは思うが電子通貨になっているため仮想空間にいても当たり前のように仕事があり電子通貨を受け取ることも可能になっている
僕がよく見ている仮想空間にいる人の仕事はDJだった
ライブを行いその収益で生活をしているのだがその人はしっかりと現実と仮想の区別をしていたので現実世界で曲を作りライブや広報を行うときだけVLで世界に入るといった言ってみれば正しい使い方をしている人だ
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