Pinot Noir LN012 2015 / Gérard Schueller
<タイプ>
赤
<生産者>
Gérard Schueller
<品種>
ピノ・ノワール 100%
<産地>
フランス・アルザス
<価格帯>
7000円前後
<コメント>
非常に好印象が続いているアルザス。スター生産者のピノがたまたまよく購入するネットショップにバックヴィンテージが入荷したので選びました。変化が面白いワインで、結構ちょこまかと3日間で飲みました。
開栓直後の香りはほどほど、酸味を感じさせる印象です。そそぐと個性的な色で、なんというか赤みが薄く、ちょっと茶色め(ちょっと立てて休ませた期間が短かったかもしれませんが...2日め以降も変わりませんでした)。お世辞にもプルゴーニュのピノと比べると良い色という感じではありません。香りはほどほどのボリュームですが、結構個性的。果実味という感じでもなく、かといって分かりやすい熟れた感じやキノコ・革系の熟成感というわけでもなく、不思議な印象。酸に紐付いた梅、クランベリー、エステル系、紅茶、枯れ草、干しぶどうやわずかな茶色いスパイスという感じ。妖艶ではありますが、少し好みが分かれる、いわゆる揮発酸タイプの香りなのではないかと思います。味わいは自然な甘味、旨味がありつつも溌剌とした酸がしっかり。余韻は静かでかなり長く、青みを感じつつもなかなか素晴らしいもの。ただ、不思議だったのは最初の一杯から自然派ワインに良くある酵母感を感じたこと。たいていの場合は開けて少しすると感じられる味わい、というイメージだったのでとても意外でした。全体的に個性強めのバランス感で、ともすると少しちぐはぐさを感じながら、えも言われぬ引力のあるワインという印象です。
1日目も注いで少しすると香りが開き出していましたが、2日目になると完全に開いた感じでめちゃくちゃ鮮烈。少しタイムのようなハーブのニュアンス、シェーブルチーズのようなニュアンスもありつつ、味わいの角が取れかなり調和的になりました。また1日目に強かった酵母感は逆に落ち着く、という興味深い変化も。特に2日目の夜は酸味が少し落ち着いて、妖艶かつエレガント、ベストな状態に思いました。
3日目になると少し香りに衰え。酸は落ち着きましたが鮮烈さや引力が失われてしまった印象です。また、最後の一杯はオリがものすごい量で入っていて、ちょっと飲みづらかったです。
<感想>
非常に個性的で、なんとも言えない危うさのあるピノ。結構危ういバランスの上に成り立っている感じもしつつ、3日間大崩れすることもなく、開けてから2日目に一番良くなるスケール感もありました。鮮烈ではあるのですがフレッシュとも違う、妖艶ではありますが熟成とも違うような感じで、なんだかんだ言ってグラスに注いでしまう魅力がありました。ちょっと自分の経験値では計りかねるワインですが、また飲んでみたいワインです。ただ、ネット上の写真など見る限り、もっと美しい色をしているようなので、このボトルが特殊だった可能性は否めません。別にネガティブな印象はありませんでしたが、確かに揮発酸的な香りは特に初日に強かったようには思います。
料理との相性という意味でもなかなか難しく感じましたが、酸もしっかり、結構キリッとしているので魚との相性が良い印象でした。
飲み頃という意味でも計りかねるワインです。酸味はもう少し落ち着かせた方がいい気もしますが、あまり時間を置き過ぎるとバランスが崩れてしまう気もします。
<得点>
85点
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