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The incline 2016 & 2017 / Momento Mori Wines

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<タイプ>

<生産者> 
Momento Mori Wines
<品種>
2016 シラー 100% ? / 2017 シラー 90%・ノジオラ Nosiola 10%
<産地>
オーストラリア・ヴィクトリア
<価格帯>
6000円前後

<コメント>
ワインにはまるきっかけとなったワイナリーMemento Mori WinesのThe incline。ヴィンテージ違いを6日間に分けて飲み比べました。同じ銘柄のヴィンテージ違いですが、2017はシラーにノジオラ10%のセパージュ、2016は(確実な情報がないのですが裏ラベルにもシラーと明記されており)シラー100%のようです。それを受けてかエチケットの字の色も異なります。
2016: 開栓直後はブラックチェリーやカシスなど黒系果実の香り。甘さを感じます。色は濃い紫色で縁は赤紫。味わいもアタックに甘みがあり、まろやかな印象。温度が少し上がると適度な酸味が出てきて、凝縮感とともにフレッシュさも十分。タンニンは穏やかで、心地い程度に全体を引き締めています。奥にはバニラやナッツと言った樽由来の風味、黒コショウ的なスパイシーさと青い野菜系のニュアンスも。また少しレンガやほうじ茶、革などの茶色系の印象も後味に感じます。余韻は少しパン系で、意外とすっきり。裏ラベルには13.5%と書いてあるアルコール感はほとんどなく、非常にドリンカビリティのあるワインです。2016というヴィンテージも相まって初日からよく開いているのではないでしょうか。
2日目は黒系果実にクランベリーやプラムと言った赤系果実の風味が加わりますが、全体的な味わいはあまり変化なし。やや酸味が強く感じられます。
3日目もそれまでの延長という感じですが、果実感には少し陰りが見えます。その分、陰に隠れていた土系のニュアンスをよく感じ取れるように。また、甘味も引き続きあり、ビターチョコのような印象も受けます。強くなった酸味のため、味わい的にはむしろ濃縮感をより感じるようにも思えました。
4日目以降はさすがに味わいも衰えていき、特に酸味が顕著に減少していきました。ただ、旨味が強いからか衰えながらもバランスは保っており、5日目-6日目は薄旨系の梅ジュースのようなすっきりしたワインに感じられました。

2017: 1日目はやはりブラックチェリーのような香りが中心。開けた瞬間はやや動物系の香りや黒鉛のニュアンスを感じました。また赤ピーマンのような青い雰囲気も後ろの方に感じられます。チョコのような茶色系のニュアンスもあります。味わいとしては酸味が強く、タンニンは柔らかいですが、全体としてはやや硬い印象。酸味が強いからか梅を連想させる雰囲気もあります。温度が上がり、グラス内で時間が経つと角は取れる感じはしました。余韻は2016と似たようなパンの印象です。
2日目も1日目と近い雰囲気で、酸が強め。チョコレート、赤ピーマンなどのニュアンスと、黒コショウ系のスパイシーさが強めに感じられます。また鉄のニュアンスも。
3日目にしてかなりバランスが良くなり、甘さ、香り、柔らかいタンニンがよくまとまって感じます。南高梅のような蜜と梅のニュアンス、少しシナモン、バニラなども感じます。
一転、4日目以降はバランスが悪くなり、酸味が強調されるような形に。6日目までフレッシュさはありましたが、かなり下り坂なのは否めない感じでした。

<感想>
まず、2本同時に開けてしまったので、変化を追う目的もあるとはいえ、時間をかけすぎてしまった感がありました。どちらも躍動感やフレッシュさが魅力的なワインです。2016と比べる都合上、ややネガティブな表現をしてしまった2017も生き生きとしたワインであることは変わりなく、とても美味しかったです。

2016は開栓直後から開いている印象だったので、飲み頃に思えます。2017はもう数年待ってもいいような印象でした。シラーなので長熟も可能かもしれませんが、フレッシュさや躍動感が売りのワインだと思うので、すべきかどうか判断するのは難しそうです。また、シラー経験が浅いのでなんともですが、典型的なシラーからはかなり離れた味わいという気がします。

Memento Mori Winesのワイン、はまるきっかけとなっただけあって、見かける度に積極的に飲んでいるのですが、本当にどのワインも鮮烈です。それでいて、ブドウそのまま、みたいな感じではなくて、ワインとしてフレッシュという感じ。決して薄いわけでもなく、単調なわけでもないので、飲みやすい、ではなくドリンカビリティ抜群、という表現がしっくりくる大好きな生産者です。この銘柄はその中でも濃厚かつフレッシュ、複雑性はありつつも非常に近寄りやすい雰囲気のバランスのいいワイン。お値段があまり近寄りやすくないのが難点ですが...

<点数>
2016: 86点
2017: 82点


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