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「マーケット感覚を身につけよう」の要約と所感

ちきりん-著

読みやすくて、それなりに楽しめる本でした。5年くらい前に発売されている本ですが、今(2020年4月現在)読んでも参考になることがいくつもあったと思います。個人的にこの本で押さえておくべきポイントを書いていきたいと思います。

マーケット感覚とは何なのか

本書で何度も登場する言葉。端的に言うと、商品やサービスが売買されている現場のリアルな状況を想像できる能力、とか、顧客が市場で価値を取引する場面を直感的に思い浮かべられる能力。

例えば、「毎日たわいもない話を10分話す」というのは学生には毎日当たり前に行っていることで普段それに価値を感じていなくても、一人暮らしの高齢者にとってはすごい価値がある。このように、何が誰にとって価値があるのかを直感的に見抜く力がマーケット感覚。

価値を見つけたら、次に考えるべきこと

見抜いた価値を分解すると競合が見えてくる。そのためにはペルソナを考える方法が簡単。例えばANAの国際線のビジネス客へ提供している価値を分解すると、競合はJALや他の航空会社だけでなく、オンライン会議システムも競合であることがわかる。

マネタイズは二の次。マネタイズできなくても価値があるかどうかが大事。今は存在しない新しい価値が出てきたら、やがてマネタイズできるようになる。そして、その後、やがてそれが市場化(競争が激しくなる)していくようになるはず。

競合を考える上では、もう一つ参考になるのは、消費市場と貯蓄市場で可処分所得を取り合っている、という点。消費市場だけで考えてしまいがちだが、貯蓄や投資の市場がかなり可処分所得を押さえてしまっている点は見落とせない。

◾︎所感

非常に読みやすくて、わかりやすいです。目から鱗ほどの発見はないかもしれませんが、普段、自分の仕事だけしているとどうしても狭くなってしまう視野を広げてくれるというか、視座を上げてくれるような感じがありました。規制の多い分野、付加価値を生んでいない中間業者がいる分野、が変革のチャンスが多くあり、マーケット感覚を生かすチャンスが多く眠っているのではないかと思います。

また、個人的にとても勉強になったのはインセンティブシステムという考え方です。仕事上でルール作りや、ワークフローを整備する際、トラブルが起こらないように、イレギュラーやミスが起こらないように、〇〇は禁止とか、こういう手順でやらなければならない、という「規制」を使ってコントロールしようとしがちです。でも、例えばミスなく行えば〇〇というインセンティブをプレゼント、というように「報酬」でコントロールするやり方もあります。言われてみれば当たり前なのですが、あまり意識して来なかった考え方でした。


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