革命のファンファーレの要約と所感
キングコングの西野亮廣さんがこれまで行ってきた実際の活動を事例に、マーケティングについてまとめてある本。
①基本戦略、重要な考え方
自分が勝てるフィールドで勝負する。作り方とか土台になる部分というか一般常識から疑って、設計し直すと自分だけのフィールドで勝負できる。
お金は信用。お金を集めるには信用を勝ち取ること。そのためには嘘はつかない、自分の考えを明確に言える環境を作っておくこと。そんな環境を作る方法としては、西野さんはオンラインサロンをあげている。オンラインサロンでは正直に相手が大御所であっても西野さんらしい意見をぶつける、これにより会員数が増えるので収益が増える。だから正直でいることにメリットがある。信用がお金を集めるために必要だから、まずチケット代を安く設定して参加しやすくした独演会などのコンテンツでファンを獲得して、その人たちが後のクラファンで支援者になる、すると支援者数No.1という肩書が手に入り、バズる、という設計。
②広告戦略
えんとつ町のプペルで行ったフリーミアム戦略について。スーパーの試食販売とフリーミアム戦略は同じ。絵本をネットで無料公開した理由は、子供に読み聞かせをするには結局スマホでやることは考えにくく本を買うことになるから、と、母親は面白いとわかっているものを子供に買う、つまりネタバレしてるものじゃないといけなくてしかも母親はそんなにお金と時間に余裕があるわけじゃない、ということ。
そして、そもそも人は確認作業でしか動かない。テレビで見たことがあるモナリザを見にルーブル美術館に行くし、大ヒットしている映画がどんなものかを確認するために見に行く。この理論が無料化という戦略の正当性を示している。
無料化が進むと実力が可視化されていく。つまり、無料で見てもらって実力があるとわかったら買ってね、という流れになる。これは実際にはマネタイズポイントが後ろにずれているだけ。著作権に対しても、無料化と同じ考え方で、著作権で収入を得るより多くの人に自由に使って利用してもらったら、「多くの人が使っている」という価値が生まれるので誰でも自由に使わせる。また使わせてあげた人からの信用(貯信)もできる。
③販売戦略
最初は自分でまとまった数を売り切る。自分で買い取るのではなく、売り切る。そのための手法としてセカンドクリエイターを増やすという方法がある。つまりクラファンで支援者を増やす(プロジェクトの共犯者を増やす)というもの。次に売るためにしたことは、おみやげとしての機能を持たせた。個展を開いて、絵本をおみやげにした。
またちょっと広告的な話に戻るが、誰もがSNSで発信する国民総クリエイター時代なので、いかに彼らが参加したいと思える企画を設計するかが大事、なので個展を開催する権利を販売した。インスタグラムでシェアしやすいように絵を正方形にしたり、本の見出しの格言も正方形にしたり、他人に宣伝させるように気を配る。ニュースを出すではなくニュースになるがポイント。
人がモノを買うにはキッカケが必要。キッカケに1番なりうるのはコミュニケーションではないか、コミュニケーションを経て買う人にポイントが入るかどうか。キャバ嬢にボトルを入れる逆みたいに。
④今後大事なこと、メッセージ
老人の能力について。若者やロボットにはない力を身に付けていく(言語化していくとも言えるかな)必要がある。愛される欠陥というか許され力、というのは武器になるのではないか。20代の居酒屋店主が営業中に酔い潰れて寝てたら叩き起こされて終わるけど、80歳のおじいちゃんなら周りが手伝い始める。
信用が大事な社会が加速していく。孫正義が読んだ本で、彼がメモ書きやマーカーを入れた本は、普通の古本よりも価値が出る。というように、信用をお金化する両替機を用意すれば、信用で食っていくことができる。
行動が大事。行動する人に情報は集まる。行動を起こせないのは勇気の問題ではなく、情報が足りていないから。アマゾンの奥地にいくのは怖いけど、アマゾンの奥地に行っても大丈夫なワクチンがあるという情報があれば、行ける。情報収集して、行動を起こして、さらに情報が集まっていく。
所感
他のビジネス書と違って、自身の経験なので、これ本自体にストーリー性がある。回顧録に近いから読みやすい上にエンタメ的な面白さすらあります。
普通、サラリーマンなら、評価面談や普段の業務の中で、自分がやった仕事のプロセスや成果を上司にアピールする。そしてそれが給料を査定するための重要な指標になる。でも、西野さんの場合は、普段の取り組みを一般公開して(いや厳密には部分的に公開かな)、それを見ている人が評価する、面白いなと信頼を寄せる。サラリーマンが業務の中で行ったことは、会社での評価(給料換算)のみだけれど、こうやって信頼を広く獲得することに使ったら、影響力が手に入る。自分の普段の業務ももっと味なくなるまでしがもうかなと思いましたw
また、影響力があれば、資金も集まるし、情報も集まる。挑戦する人、行動する人の、好循環を見た気がします。面白い方ですね。読みやすいですし、読後なんというかワクワクする感じがあるので、おすすめです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?