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エッセイ

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わたしの世界の見え方
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2018年4月の記事一覧

ちっとも顔がタイプじゃない

不思議な話なんだけど、わたしは好きになる人の顔がちっともタイプじゃない。 勝手に「恋に落ちる」から、好きになりたい人を選ぶことができないせいかもしれないけど。その人のことが大好きなのに、時々顔をまじまじと眺めては「どうして彼を好きなのだろう」と心底不思議がったりしている。 好みじゃないといっても、顔が嫌いなわけじゃない。決して(少なくともわたし基準で言うならば)ハンサムではない彼だけど、表情はとても好きになる。わたしと一緒にいるときに笑ってくれたら嬉しいし、悲しい顔をして

夕暮れ時の透明人間

もうすぐ終わってしまう留学を、時々「夢なのかもしれない」と本気で思う。もしくは、今こうやって「留学」という形で区切られているから一層強く感じるだけで、実際は、人生最後の日には「一生」丸ごと夢みたいに感じるのかな。それとも、さすがに八十年は、長いのかしら。 ———という前置き。 以下、授業へ向かう十分くらいの道のりで書いたメモです。 。o ○ 西に傾いた太陽の光が反射して、車がぴかぴか光っている 本当に夢の中にいるみたい——— 時々、思うんだ。わたしは今、夢の中でこ

なんで結婚したいの?

って、よく聞かれる。 わたしのまわりには、「結婚したくない」「結婚はしてもいいけど、子どもはほしくない」「子どもはほしいけど結婚はしたくない」などなど、色んな考えの人がいる。 わたしも別に、結婚はすべきだとか、幸せの象徴だとかって思ってるわけではない。ディズニー映画のような、運命の人と出会って恋に落ちて、結婚がゴール!といった世界観は、いつの間にかどこかに置いてきた(美女と野獣とか、わたしも好きだけどね)。 だから、結婚したいなあとつぶやくときは、「あくまでわたしは、ね

全然笑えないけども

ほろ酔いの帰り道、ホームレスの人をみて、友人たちが「怖いねえ」と言ったり、ネタにして笑ったりしていた。そこでわざわざ「ねえ、そういうこと言うのはよくないよ」と水を差して、お酒の入った楽しい雰囲気を壊す、なんてことは、さすがのわたしもしない。それに、しらふで真面目に議論でも始めれば、彼らだってそんなことを言わないってことは、わかっている。 それで、そのときはとりあえず「ああ…」と、曖昧に笑ってみたけど、本当は全然、笑えなかった。 ここの人たちでもそんな風に言うのか…なんてこ

切ないあれこれ

小さなころの幸せな記憶を思い出すと、きゅっと切ない。 もうパパとママの手につかまって、宙ぶらりんになることはできない パパに肩車は二度としてもらえない ママにしてもらった抱っこや ”たかいたかい” は、いつかのそれが人生最後だったわけだし 弟と一緒にお風呂に入って、大量に浮かべたスーパーボールに当たらないように避ける遊びだって、きっともう一生やらない ——— こういう幸せな記憶を、時々鮮明に思い出しては、あの頃に「二度と戻れない」ことを、ものすごく強く意識する。それ

心を覗かれた気がする

本が好きだ。 読書はもちろん好きだけど、本を買うことも、部屋に飾ることも、手に持つことも好き。本屋さんや図書館みたいな、本のある空間にいることが好き。大人になったら、大きな本棚で部屋の壁を覆って、たくさんの本たちに囲まれて暮らしたいなと思っている。物質として好きなのだ。 愛読書がある。人に言わせると、わたしの愛読書観は少し「狂っている」そうだ。わたしは、とびきりいいと思った本は、何度も読む癖がある。すべてのお気に入りをそうやって読むわけじゃない。二年に一度くらい、穏やかな