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相棒とさようなら

 子どもがよちよち歩きはじめ、公園遊びを楽しめるようになったころ、私は黒のショルダーバッグを買いました。アウトドアブランドのもので、汚れても気にならず、軽量だけど容量も多い優れもの。黒は洋服を選ばないし。子育ての先輩の姉も「使いやすい」とおすすめしていたこともあって即決しました。

 砂場で砂をかぶり、落ち葉をつめられても、さっと掃えば元の佇まいに戻ってくれるバッグは、頼もしい存在でした(もちろん帰宅後に汚れを落とします)。ただ、この夏はご存じの通りの猛暑で、公園遊びはもちろん外出も極力控えたため、バッグは使わずじまいでした。

 最近ようやく朝晩に風が通るようになり、衣替えと服の断捨離をしようと思い、クローゼットを見ると、黒のショルダーバッグが目につきます。

 聞こえてきた心の声は
「もう手放していいんじゃない?」

 使いやすいの代名詞。公園の相棒。そんなバッグを私の心の声がときめかないと言っている。自分の感覚なのに理解がすぐに追いつきませんでした。
 
 思い当たる節は2つ。1つはこの夏の初め、旅行用に白のショルダーバッグを買いました。機能面は黒のバッグと負けず劣らずで、旅行中もそのあとも活躍しています。もう1つは自問自答用に集めているお気に入りバッグの画像。5月以降は黒色のバッグ画像が皆無でした。

 バッグの色は、黒じゃないのかも。

 自分の中で腑に落ちた途端、黒のショルダーバッグに不義理を働いたような気持ちになりました。散々使い、相棒とか言っておいて、1年足らずでさよならなんて。だけど、もうわかってしまったからには割り切る他ない。黒のショルダーバッグ、今までありがとう。
 

 

 

 


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