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私の空の巣症候群

長男が一人暮らしを始める前日の夜、長男が誘ってくれて2人で焼肉を食べに行った。そこで色々な思い出話をした。次男とよく3人でカラオケに行った話、USJで一緒に謎解きのイベントに参加した時のこと…。ずっと仲良しだったし、密かにマザコンだと思っていた私は、こんなに早く離れる日が来るとは全く想像していなかった。優しく穏やかな性格の長男から、私はネガティブな言葉を聞いたことがない。それはどんな困難な状況の時も私を支えてくれた。長男から教わったことは沢山あるけど、私はちゃんとお母さんできてたかな。離婚してからは歳の離れた弟を良く見てくれて可愛がってくれた。振り返れば本当にあっという間に大きくなったようだ。

次の朝、荷物をまとめて家を出る時、ちょくちょく帰ってくるから!と言って出て行った。長男が家を出てから私は日々の生活でどれだけ長男に甘えていたのかを思い知らされた。普通は一人暮らしをしたら親のありがたみが分かるっていうけど、親の私の方がありがたみを感じているのだからやっぱりダメな母だったと悲しく寂しさでいっぱいな気持ちになる。長男は一人暮らしに何の不安もなかったに違いない。だって、ゴミ捨て、料理、洗い物、家事はほとんど全部できるのだから。

3日連絡ないだけでもう心配と寂しさで連絡したくなる。でもグッと堪えて1週間、もうダメだ。つまらない理由を考えに考え電話をする。用事があるから電話したのよみたいなね。しまいには、そんな言い訳しなくたって普通にかけてきていいよと言われてしまった。ダメだな、私。大人になって自立したことを喜ぶべきなのにね。少しずつ2週間、3週間とだんだん連絡の頻度があいていって、5ヶ月が経とうとしていた頃、今度は次男が家を出ることになった。私は耐えられるのだろうか。とうとう25年ぶりの1人暮らし。

次男が出て行った後、またまた甘えていた自分に気付く。次男は家のどこに何があるか熟知していたから、聞けばすぐにすぐに分かる。私は物を探す度に、あー、とまた自分のダメさを申し訳なく思う。長男の時と同じく、とにかく心配で心配で仕方ない。ご飯食べてるか、風邪ひいてないか、何かあれば連絡くれるとは思っていても、とにかく2人とも全く連絡をくれない!便りがないのは良い便りと自分に言い聞かせてみても、気になる。長男の出て行く時のちょくちょく帰ってくるからの言葉は何だったのか、出て行ってから全く帰ってこないじゃないか。私たち凄い仲良し親子だったよね?私だけがそう思っていただけだったのかな。寂しい、寂しい、会いたいよ〜。ご飯をついつい作り過ぎて食べきれなかったりして涙がでたり、朝誰もいない部屋に寂しさが込み上げて涙が出たり、子どもたちは成長して自立したのだから、私もしっかり自分の道を歩かないと。

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3人で過ごした家はガランとして寂しさを助長するので、思い切って私もワンルームに1人暮らしをすることを決意した。子どもが一番だった私は離婚した後も自分の恋愛の優先順位はかなり低かったし、子どもたちと過ごす毎日に満たされていたから、再婚も全く選択肢になかった。孤独に耐え抜いて相変わらず連絡くれない息子たちに、たまに連絡をすると一緒に住んでいた頃と何にも変わらない元気な声で、楽しそうに過ごしていることが分かってほっとする。

そんな日々を繰り返す内にもう3年が経つ。少しずつ自分の時間を楽しめるようになってきた。相変わらず子どもたちとはほとんど会えていないけれど、それぞれの道を全力で頑張っていることを知っているのだからそれでいい。子育ては終わったのかも知れない。けれど母であることはかわりなくいつでもここで見守っている。彼らが結婚して家族が増える日も近いかも知れない。仕事ばかりでダメな母親だったのではないか、こんなに寂しい思いを私もさせていたのではないかとか考えて、寂しくて毎日泣いていた時期もあったけれど、今は自立した息子たちを誇りに思えるようになった。少しは私も成長できたかな。これからは私も新しい自分探しを楽しもうと思う。

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