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【書評】世界一楽しい決算書の読み方

こんばんは。

私は日本の個別株を長期保有するつもりなのですが、その際とっても大切になってくるのが決算書です。一見数字が並んでいるだけのそれを読み解く指南書が、これからご紹介する世界一楽しい決算書の読み方です!


決算書は企業からの通信簿!

個別株を長期で運用する方は、数年、あるいはもっと長期にわたって所持する予定だと思います。そんな中で、その会社が倒産してしまったら、せっかく購入した株はただの紙切れになってしまいます。

そこまで極端なことにならずとも、経営状況の悪化で株価が値下がりしてしまったら?配当が大幅に減らされてしまったら?優待目当てで買ったのに、それが廃止されてしまったら?

そんなことにならないよう、各企業が出してくる決算書に目を通し、この会社はこれから伸びそうかな?経営が危うくはないかな?などを判断するのです。決算書は各企業のHPで簡単に手に入れることができますよ。

ちなみに私の本業は、この決算書を作ることです。決算の時期はすごーく大変です。早く経費の支払いしてね、早くお客さんからお金請求してねってあちこちの部署にお願いして回ってるのに、ぎりぎりまでやってくれない人が結構いて、決算額が固まらない…。まあ、この話はまた今度改めて。

そんな各企業が苦労して作ってる会社の通信簿。読めるようになるとその会社のいろんなことがわかるので、投資に活用できるだけでなくとっても面白いんですよ!就職活動中の学生さんも、企業分析としてぜひ読んでいただきたいです。

では、まいりましょう!


本の情報&目次

タイトル:会計クイズを解くだけで財務3表がわかるー世界一楽しい決算書の読み方
著者:大手町のランダムウォーカー
発行:KADOKAWA
定価:定価 1,400円+税
発売日:2020年3月28日


目次

Chapter 0 introduction;決算書の全体像って?
Chapter 1 貸借対照表(B/S)ってどんなもの?
Chapter 2 損益計算書(P/L)ってどんなもの?
Chapter 3 キャッシュ・フロー計算書(C/S)ってどんなもの?
Chapter 4 B/S+P/L複合問題に挑め!


レビュー

決算書は、ざっくりと分けて賃借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュ・フロー計算書(C/S)に分かれていて、これらを合わせて財務3表と呼びます。これら3つが読めるようになると決算書を読める、ということができるようになるわけなのですが、まあ、最初は数字と似たような用語の羅列で読む気が失せるわけです(笑)

本書では、その3表を1章ずつに分け、ケーススタディと共に解説しています。用語は極力少なく、短くしてカラーの図を多用してあるので、かなりとっつきやすい印象。下の画像はAmazonさんよりお借りしました。


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この本は、5人の登場人物がそれぞれの立場でヒントめいたことを発言しながら進んでいきます。読むみなさんそれぞれ、私は○○さんに似てるかも?と思うことがあるかもしれません。ちなみに、私は銀行員さんに似ていました。

なんとこの本、太っ腹なことに試し読みができまして、5人の登場人物の紹介も出てきます。ぜひご覧ください。


・・・いかがでしたか?

こうやって実際の企業の決算書を使ってクイズ形式で進んでいくので、あっという間に読み終えてしまいます。そして、読み終えるころには決算書がざっくり読めるようになってしまうという良設計になっています。

用語は本書で取り上げてられているもの以外にも細かく見ていくとたくさんあるので、すでに簿記の資格を持っているような方にとっては基本中の基本です。しかし、簿記持ってないけど最近投資始めてみた!就活中!というような方にとっては一番最初に出会ってハードルを下げてくれるような、心強い入門書となると思います。

そしてさらにいい設計だと思ったのが、決算書を読むことを実際のビジネスモデルや企業戦略の分析につなげていく考え方ができるようになるということです。これは、単なる簿記の教科書にはできないことです。

多分私が銀行員さんに似ていると思ったのは、決算書を読むこと『だけ』はできるけれど、その先がまだまだ全然できないからなんだろうなぁ。と思います。『会計的分析は有用ですが、これらの数値を計算できるようになることは単なる「把握」のステップに過ぎません』という本の中のフレーズは刺さりました。企業は決算書という数字(材料)は提供してくれますが、それを料理(分析)するのはあくまで自分。ということですね。


著者はこんな方

大手町のランダムウォーカーさん(@OTE_WAIK)さんは、そんな企業分析の実践の場も提供してくださっています。以下、Twitterのプロフィールから抜粋。

『【日本人全員が財務諸表を読める世界を創る】 企業の財務諸表が読めるようになるコンテンツ→ #会計クイズ 分析力を高めるクローズドコミュニティ→ #ファイナンスラボ を運営しています。会計、ファイナンスに少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。毎週日曜日21時より発信中! 』

TwitterとInstagram、そしてオンラインコミュニティが主な場のようです。

#会計クイズ で検索すると、本書で取り上げられたようなクイズが色々出てきます。それらを検索してケーススタディを学びつつ、みなさんが気になっている企業の分析を実践してみるのもいいかもしれません!


以上、ブックレビューNo.2「世界一楽しい決算書の読み方」でした。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!