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バッテリー交換から見える世界

【文字数:約1,000文字】

※ 本稿は興味のない人にとって、まったく面白くないと思います。


 おおよそ4年使っているバイクのバッテリーを交換した。

 交換するにあたって適合などを調べていたら、使われているバッテリーが日本国内で使われていない種類だと判明した。

 私が乗っているバイクは東南アジアのタイで製造されたもので、現地向けと日本国内向けの2種類が存在する。

 車種名は違うけれど見た目は9割同じで、販売店向けのマニュアルを調べても部品の型番は一緒だった。

 しかしバッテリーだけは異なり、製造された東南アジア向けのものが使われていた。

 ◇

 使われているバッテリー「YTZ4V」について調べていくと、製造元のGS YUASAが同地域に向けて開発したものらしく、発表された論文は国立国会図書館にも収蔵されている。

 論文によれば価格は据え置きしつつ長期保存に耐え、生産コストを減らしながら生産性も上げるという、なんとも野心的な製品だった。

 国内向けに使われているバッテリーは、性能として1段階上と呼べるものではあるけれど、現地向けを4年使用しても何ら問題は出なかった。

 今回の交換にあたって、GS YUASAと同レベルの製品を出しているFURUKAWAのバッテリーを選んだ。

 知名度の差なのか、同じ品質なのにGS YUASAより少しだけ手頃なのも決め手になった。

 ◇

 朝の涼しいうちに作業を始め、基本に則ってバッテリーの(ー)端子から外し、次に(+)と続けて取り付けは逆に行う。

 金色の端子はスマートフォンなどの充電用で、バイク本体の回路とは別系統になるよう自作したものだ。

 作業にはゴム手袋+絶縁タイプの工具を使っており、安全を最優先して進めた。

 交換したバッテリーの具合を確かめるべく、日曜で激混みな湘南の海沿いを走ってきた。

 とおり雨が降ったりと雲が多かったけれど、着実に晴れていく砂浜から江の島を撮ると、海面が鏡のようになって幻想的な写真になった。

 ◇

 国内向けのバッテリーに交換しても、性能が上がった感じはしない。

 それもそのはず、言ってしまえば容量が大きいものに変えただけなので、何かしら実感できるはずもない。

 ただ、今後も乗り続けることを考えれば、寿命が気になり始める今のタイミングが丁度いいと思う。

 交換に際して色々と勉強になったし、論文を読んでいると学生時代を思い出した。

 優秀でもなく怠惰な学生だったけれど、実験のために研究棟で泊まりこんだりしたのは、わりと珍しい経験な気がするのだった。


なかまに なりたそうに こちらをみている! なかまにしますか?