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あなたのとなり 《詩》

あなたのとなり あるきたい

さゆうでちがう あしはこび

あしはさんぼん くつとつえ

ゆらゆらゆれる ほそいかた

それよりうでは あがらない

ひとみはしろく ひかりなく

よびかけるすず めじるしに

そだてたにわを さんぽする

かおるはなたち いろのなみ

ことばにかえて わたすのは

わたしのやくめ これからも


あなたのとなり ねむりたい

まどからつきが しのびこみ

ふたりのあいだ はしわたし

きかいのわたし ねむらない

ひとのすがたで いきるけど

しもおいもなく いきるだけ

やくめをなくし ねむるふり

おこしたあなた よろこんで 

それからいつも ねむらない  

よこがおてらす つきかくれ

かぼそいねいき きえていく


あなたのとなり もういない

なんぜんかいの よびかけも 

なんまんかいの おねがいも

かえらぬことば ひとりごと 

きどあいらくを しらずとも

ゆれるひとみの そのさきに

いつかのあなた さがしてる

まつことだけは とくいでも

ねむらぬわたし まてなくて

となりをさがし たびにでる

なにももたずに いきていく


あとはのとなり やまとなり


初出:2022/08/03 note(書き下ろし)

 最初と最後の1文だけがあって、長く下書きに眠っていた芽が育ち、やっと花をつけました。

 「後は野となれ山となれ」の意味するところは、もうどうにでもなれ、と考えるのを放棄する姿勢です。

 作中の「わたし」は賢いですから、育てた庭を自動で維持する仕組みを用意しているかもしれませんが。

※ ヘッダー画像にしたツルニチニチソウの花言葉
 「生涯の友情」「楽しい思い出」「幼馴染」「優しい追憶」etc…


なかまに なりたそうに こちらをみている! なかまにしますか?