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映画『かば』


前日、御殿場で行われた『かば』という映画の上映会に常連さんが行き、そのまま私の元へ「マスター絶対に好きだから行ったほうがいいよ!明日、沼津で上映会あるよ」とメッセージが送られてきた。スケジュールを調べてみると何も予定がない。

こういうちょっとしたタイミングを大切にできるかどうかで人生が変わることを知っている。

予告編を観てみると“在日”、“部落”、“沖縄”というワードが飛び交っている。そして主役の蒲先生(故人)は実在の人物だったということ。

川本貴弘監督(左)と“かば先生”を演じた山中アラタさん(右)


中部地方といっても比較的関東圏に近い私の街ではあちこちに点在する集落のことを普通に部落といっていたし関西と違ってそこに差別意識は皆無だった。

部落差別を知ったのは小学生のときに耳にした赤い鳥の「竹田の子守唄」や岡林信康の「チューリップのアップリケ」だったが地域による文化の違いというより幼過ぎて認識できなかった。おそらくちゃんと意識できたのは20歳くらいになってからだろう。

テーマが重く感じていたので心して映画に向かうと、この映画のスタッフさんや熱狂的なファンの方々に話しを伺い少し肩の力が抜ける。

舞台は1985年の大阪は西成…
そして観始めると…

一見、重苦しいテーマを軽やかなエンターテイメントに仕上げている。それは“かば先生”や“チャーコ先生”などの教師陣が子供たちを優しく見守る姿によるものであり、教師と生徒という関係などではなく人間同士の付き合いであり、押し付けがましくなく…それでいて差別という問題を超越した大切なメッセージを含んだ作品になっていた。

パンフレットの装丁が素敵✨よく先生に出席簿の角っこで叩かれたのも懐かしい思い出…めっちゃ痛かったけどw



私はまだ1回しか観ていないが観れば観るほど登場人物ひとりひとりが愛おしく感じるストーリーは熱狂的なファンを生むのも当然のことだと感じる。

かばっ子の皆さんと監督とアラタさんと


リョウタが歳上の不良に絡まれるシーンは男心をガッチリ掴むし、裕子の境遇に自分の人生を投影したり…散りばめられた登場人物一人一人の物語が胸熱で涙したり、怒ったり、笑ったり、共感したり…やがてひとつの大きな塊となり光り輝いて暖かな気持ちになった…そんな想いが観る者に去来し再び暖かい涙が溢れ出る。

ロック好き、レコード好きにはレコードの場面は堪らんよw。あまり語るとネタバレになるけどARBやT-REXのレコードを見て嬉しくて「あっ!」って声が思わず出ちゃったしw

無性にARBのレコードが聴きたくなり家に帰ってすぐに引っ張り出しました♫
もちろんARBを聴きながらマッコリと焼肉☺️



この映画の最大の魅力は「全部の生徒に優しい先生でいてあげてね」という言葉に集約されている。

残念ながらDVD化の予定はないらしい。情報はTwitterでぜひ!

私のTwitterには「初めてシンプルかつストレートな力強いロックンロールを聴いたときの得体の知れない初期衝動に涙した時の日を思い出す…そんな映画でした✨ 咀嚼する前に今の気持ちを記しておきたかった!」とあるが今もその気持ちは変わらない。

リンコロシネマのTwitterより
騒音寺の主題歌もロックンロール♫



【追記】
併映された『ともる』という短編映画はFilmarksでは検索できなかった。まだまだ皆んなが知らない映画が沢山あることを知る。

御殿場で上映会があったことすら知らなかった…

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