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AIとボードゲームデザインの相互作用

昔は誰もそんな単語を使っていなかったと思うのだけれど、ボードゲームデザインの中で、「ディベロップ」という言葉が定着している。日本語に直訳すると「開発行為」なんだけども、要は出来上がったぞ、或いはできあがりつつあるぞ、というゲームを試しにプレイして、(弱いAI、自分で複数人分を担当する、またはテストプレイ会に持っていく)微調整を繰り返していくこと、を指している。このディベロップをただひたすらに繰り返すことが、面白いゲーム誕生の秘訣だというのだけれど、そこにAIをどう活用したらよかろうか、というあたりを今日のテーマとしたい。


6つの側面

とはいえChatGPTにおんぶにだっこの本稿、今回も、テーマ選定はお願いしてみることにした。

ボードゲームデザイン者がAI技術を活用することで、新しいゲームの要素や体験を提供することが可能になっています。
以下はその一部の側面です。

1. プレイヤーエクスペリエンスの最適化:
AIはプレイヤーの遊び方を学習し、ゲーム内での適切な難易度や挑戦を調整することができます。これにより、プレイヤーにとってより楽しい体験が可能となります。例えば、プレイヤーが特定の戦術を好む場合に、AIがそのプレイスタイルに合った難易度を提供することが考えられます。
2. ダイナミックなゲーム進行:
AIを使用してゲームの進行をダイナミックに変更することで、プレイヤーが同じゲームを何度も楽しむことができます。ランダムな要素やプレイヤーの行動に対応して、ゲームの展開を変化させることができます。
3. 戦略の進化:
AIがプレイヤーの戦略を学習し、それに対応して新しい戦略を提案することで、ゲームの深みが増します。プレイヤーが予測できない挑戦に対処することが求められ、戦略の進化が促進されます。
4. ソロプレイの向上:
AIが対戦相手として機能することで、ソロプレイの体験が向上します。プレイヤーが友達や家族と一緒に遊ぶことが難しい場合でも、AIが相手を務め、楽しいゲームセッションを提供できます。
5. リアルタイムのフィードバック:
AIはプレイヤーの行動に対して即座にフィードバックを提供できます。これにより、プレイヤーはゲームの進行や戦略に関する洞察を迅速に得ることができ、学習が促進されます。
6. ユーザーのプレイスタイルの認識:
AIはプレイヤーの傾向や好みを学習し、これに基づいてゲームの要素を調整できます。これにより、異なるプレイヤー層に対してより適したゲーム体験を提供できます。

ChatGPTの出力

難易度調整

今まで、私がAIを活用してきたポイントは?と言われると、ここに尽きる。現在のルールと、コンポーネントを使って、ランダムなAI、或いは簡易的な教育を経たAIを使って複数回ゲームを消化してみて、自分の期待しているバランスで得点がなされているか、複数の得点源がある場合、一方的にどれかの得点源が強すぎる結果になっていないか、そのあたりを調整していくのに、AIを使うやり方だ。
「現在のルールと、コンポーネントを使って」という部分が非常に面倒だったのだが、何回か繰り返していくうちに、フレームワークのようなものを手に入れられるし、またこの2週間くらいでChatGPT君と仲良くなったおかげで、このあたりは非常に楽になった、と思っている。

コンポーネントとしてのAI

で、カタンに発展カードを追加した時、街道建設、発見、独占に加えて、毎回AIに新しく2種類くらいの発展カードを足してもらって、ゲームを進めたら面白いんじゃないか、という話をしてみた。
キングダムビルダーのように、複数の得点方式がありながら、そのうち3種類だけをそのゲームの得点方式とする、というような場合に、今まではデザイナーが想定する得点方式を複数用意しておく必要があったが、適切なものをAIが用意してくれる、となったら、それは不要になるかもしれない。
ただ、初期はコンポーネントの準備が難しく、他のカードがしっかりしているのに、「AI代替カード1:AIが決めた1番目の効果とする」のような、寂しいカードをゲームに混ぜて遊ばないといけなくなるので、そのあたりは工夫が必要だ。

得点源の創出

ある程度複雑なゲーム、コンポーネントのバラエティが大きいゲームにおいて、人間が思いもよらなかった戦略を提案することができるかも、しれない。何度か触れているように、「面白いゲーム」=「ある程度の数の得点源があり、強さのバランスが取れていて、1度のゲームでは満点合格できないくらいのバランスをもっている」という評価基準がある中で、デザイナーの気がついていない得点源が見つかることは、ディベロップを進めていく中で、重要なファクターになりそうだ。
残していると思っているゲームにならなそうな場合はキーとなるコンポーネントを削れるし、その点を伸ばしたければこの得点源の補助になるようなものを追加できる。

ソロプレイの相手

私はどちらかというとAndroidユーザなのだが、ソロプレイのお相手が増える、というだけの理由でiPadを購入し、スキマ時間にAIにボードゲームの相手をしてもらってきた。昔から、ボードゲームをオンラインで、対人で遊べるプラットフォーム、というのは、脈々と続いている(黎明期?は、「オセロ道場」みたいなのしか無かったように思うが、BrettspielWeltにアカウントを作ってからは、頻繁にいろんなゲームを遊んだし、BGAは横目で見ているだけだけれどこういうプラットフォームはなくならないだろう)が、やはり対人だと、スキマ時間に、というのが難しいものがあるのは、事実だ。
普段AIとの対戦で腕を磨いておいて、ボードゲーム会で無双する、というのが理想なの…だろうか。まぁ、こういう人がいてもよかろう、くらいに思っておいてほしい。

フィードバック

NHKの、日曜お昼の将棋トーナメントを、あまり深い意味もわからず眺めているのが好きな少年だった。最初は対称形だった駒たちが、1手、1手と形を変えていって、ぶつかり合って、一部が再利用されて、最終的にはどちらかの勝ちの形になる。時折映し出される棋士の姿で、形勢をなんとなく予想するのも、醍醐味だったように、思う。
それが今では、Abemaの将棋チャンネルを見ていると、◯◯九段:75%、次の一手は7五角ならBEST、6四銀ならマイナス4%、と書かれている時代になった。将棋がわからずとも、棋士の表情を読み取らずとも、AIが形勢判断をしてくれる。
これが一般化すると、ボードゲーム会の片隅に、昔は6面チェスクロックが置いてあったような位置に、ゲーム評価機が置かれ、対戦後、或いはラウンドごとに、自分が取った行動に対するフィードバックが得られるように、なる。(「ピット」を遊んだ後に、あそこは20を2枚でなく、40を1枚交渉対象にするべきだった、あと、もう少し声を張ったほうがいい、と言われたら、人間は素直に従うのだろうか…)

プレイスタイルの認識

これは、私のかつての専門分野だったもので、『「テラフォーミングマーズ」と「マルコポーロの旅路」が面白くて、「フードチェーンマグネイト」がnot for meだったんだけど、去年か今年発売のゲームで、何か面白いゲームはない?』という質問に、AIが答える形式でもいいし、1年間、プレイしたゲームの記録をつけておくと、メビウスの頒布会の要領で、次の1年、1ヶ月に1回、AIがおすすめするゲームが届くようなサービスとして使っても、よい。3つくらい新作のアイデアが浮かんだとして、自分の好みに合うゲームはどれか、自分がよく行くゲーム会のメンバーによりマッチするゲームはどれか、選ぶことができたりするかもしれない。

まとめ

というわけで今日は、ボードゲームのディベロップ(プラスアルファの部分も結構あったと思うけど)にAIがどのアプローチで寄与できるか、ChatGPTくんの出してくれたテーマに沿って考えてみた。実はあと9種類くらいのテーマを、ついでに考えてくれているので、あと9回はこのネタでいきたいと思う、というところで、今日はこのへんで。ほなね。


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