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歯磨きでわかる下心

あれ?デートすっか?

会社出る前にトイレで歯磨きしてたら部下にそう言われちゃったよ〜なんてヘラヘラしていた男が昔いた。私がその時どんな顔でそのセリフを受け流したかは覚えていないが、多分口だけ笑って目は笑っていなかったと思う。社内ながら職務上はお客様にあたる人物から食事に誘われると断りにくい、ということに男女とも敏感になった方がいい。あわよくば感が駄々もれている人は決して魅力的には映らない。未婚ならまだ良いが(どこまでいけるかな?)的に薄氷を踏んでくるのは既婚者だ。しかも人事相手に?それやる??まあ、舐められていたんだと思う。20-30代の女性なんて、歴史ある堅牢なホモソーシャル社会では舐められることもまた仕事の一部になってしまっている。

かと思えば歯磨きは恋愛の終わりを伝えてくれることもある。久々のデートで彼のすぐ真横を歩いていた時、私は気づいた。(この人、歯磨かないで来たな…)電車通勤をしていた頃は朝頻繁に遭遇した匂い。寝て起きて顔も洗わず髭は剃り服だけ着てきた口臭、がその時した。その前から色んな予感はあったけれど、好きだったので見てみない振りをして一生懸命目を逸らしていたが、あー終わってるんだな、この恋は、と思った。私がもし朝の歯磨きをうっかり忘れて家を出て来てしまったら、一度自宅に戻るかコンビニで歯ブラシを買ってトイレで磨く。なんなら剥げかけた爪のマニキュアを見つけても同じ行動に出る、デートなら。でも、もう相手にとって自分はそういう存在ではない、とはっきりとピリオドを打ってくれた歯磨きという行為にむしろ感謝の念が湧いてきた。

黒髪より付き合いが長く、一度失ったら人工物でない限り今のところ再生は難しい、歯。お付き合いは平均寿命まで生きたら80年超。住宅ローンよりも、結婚よりも、永いお付き合い。これからも大事にしていくよ。




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