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視察報告 大阪市立田島南小中一貫校 「生きる教育(性・生教育)」

こんにちは。尼崎市議会議員 池田りなです。視察の報告をいたします。
 
日時:2024年9月27日(金)13時30分~17時
会場:田島南小中一貫校
(大阪市立田島南小学校・大阪市立田島中学校)
テーマ:対話力を育てる「国語科教育」・ことばで紡ぐ「生きる教育」~保護者・地域とともにはぐくむ開かれた授業づくり~
 
【概要】
大阪市立田島南小中一貫校で行われた「生きる教育(性・生教育)」の公開授業に参加しました。小中一貫校は全国で増えており、同校で行われる「生きる教育(性・生教育)は全国から注目を集めています。
 
私は、公立の小中学校で性教育についてもっと子どもたちが知る機会をつくるべきと考えています。学習指導要領では、中学1年生のときに、成長に伴い男女の体がどのように成熟していくのか、ヒトの受精卵がどう胎内で成長するのかを学びます。
 
しかし教科書には、受精の前提となる性交についての記述はありません。その理由は、国が定める学習指導要領に「妊娠の経過は取り扱わないものとする」という一文があるためです。これが通称「はどめ規定」と呼ばれています。
 
また、尼崎市と生野区には生活保護率が高く、困難を抱える家庭が多いという共通点があります。この同校の取り組み「生きる教育(性・生教育)」が尼崎市に参考になると思い、参加しました。
 
同校は学校・保護者・地域が9年間を一体ととらえて「未来を生き抜く力を養うこと」を目指しています。3つの特色ある教育活動①言語力の育成・②性・生教育・③キャリア教育を進めています。ここでは視察を通して、尼崎市に活かしたい2点を述べます。
 
1点目は、田島南小中一貫のような特色がある小中一貫校の設置です。同校では9年間かけて、⽣きる教育(性・⽣教育)が行われています。
 
小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う「義務教育学校」が全国で増えています。小中一貫校のメリットについて述べます。1年生から9年生までの子どもたちが、異学年交流を通じて学びあえることが大きな特徴です。これにより、中学生には優しさが、小学生には中学生への憧れが育まれます。小学校から中学校進学で生じる環境の変化になじめず学校に行きづらくなってしまう、いわゆる「中1ギャップ」の解消にも繋がります。
 
以前私が視察した西宮浜義務教育学校(令和2年度開校)についても紹介します。この学校では、指導上の学年区分を4-3-2制とし、小1〜小4、 小5〜中1、中2〜中3という3期に分けています。小学校から中学校への移行によるギャップを減らすため、小5からは50分授業が導入され、定期考査も実施されます。部活動や縦割り活動で小学生と中学生が交流する時間も設けられています。
 
尼崎市ではまだ小中一貫校は設置されていませんが、児童生徒数が減少している小中学校を再編し、特色のある小中一貫校を設けることで、校区外からも進学希望者が増加すると考えます。また、不登校の児童生徒にとって新しい選択肢になる可能性もあります。
 
2点目は、「生きる教育(性・生教育)」についてです。同校では9年間をかけて「生きる」教育を実施し、以下の内容を学んでいます。
 
小1:たいせつなこころと体 プライベートゾーン
小2:みんなむかしは赤ちゃんだった
小3:子どもの権利条約って知ってる?
小4:10歳からのハローワーク~ライフストーリーワークの視点
から考えようみんなの凸凹
小5:愛?それとも支配?~パートナーシップの視点から
小6:家庭について考えよう~結婚・子育て・親子関係
中1:脳と心と体とわたし~思春期のアタッチメントとトラウマ
中2:リアルデートDV~支配と依存のメカニズム
中3:社会の中の「親」と「子」~子ども虐待の事例から

 
 ここでは特筆すべき2点記載します。
1点目は「生きる教育(生・性)教育」を通じて、子どもたちの自己肯定感を育み、自分や他者を大切にする方法を学べることです。
 
約10年前、同校では児童の反抗や暴力行為が多発していました。そこで独自の「生きる教育」プログラムが始まり、言葉で自分の気持ちを伝える力の育成を目指しました。この「生きる教育(生・性)教育」は、国語力の向上と性教育が重視され、命や体の大切さを伝える内容となっています。その結果、校内暴力は減少し、学習環境が落ち着き、学力も向上しています。
 
2点目は、同校では子どもの権利についても学んでいることです。学校内に「子どもの権利条約」が掲示されていました。
 
子どもたちは、この条約について小学校3年生の「生きる教育(生・性教育)」の時間に学びます。同校の「生きる教育(性・生教育)」では、プライベートゾーン・デートDVや虐待、トラウマケア、性教育、そして子どもの個性(発達)に関する学びを通じて、子どもたちが自身の権利や他者の権利を尊重することを教えています。
 
私は田島南小中一貫校で実施されている「生きる(生・性)教育」を尼崎市で実施したいです。この「生きる教育(生・性教育)」は、子どもたちが巻き込まれる可能性のある危険なことを防ぐことができると考えます。例えば、性被害を事例にあげます。子どもたちが被害に遭ってから対策を考えるのではなく、未然に被害者や加害者にならないよう教育することが必要です。
 
また、子どもたちは自己肯定感を高め、自分と他者を大切にできようになると確信しました。

 

https://www.city.osaka.lg.jp/ikuno/cmsfiles/contents/0000421/421318/03-02tasima10_houkoku1_kyouikunaiyou.pdf


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