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かけあわせのおもしろさ

3月4日。24節気でいうと、明日から自然のリズムは「啓蟄」にはいる。暖かくなってきて地中で冬ごもりをしていた虫たちが土をひらいて出てくる季節。朝、目を覚ますと、鳥のさえずりのボリュームが心なしか大きくなった気もする。動物や虫たちが活動的になってきた。

そんな今の季節、阿久根の落合ぶどう園さんのぶどうの木は、芽吹きの頃をまちわびて、耐え忍んでいる。ように見える。

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正直、枯れ木のように見えるが、

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上部分が朽ち果てたように見えても、下部分を触るとすこしひんやり。こんな状態でも生きているんだよと、リサさん。

リサさんから「ぶどうでカレーつくりたいんだ」って聞いたのは今年のはじめ。そのときよりはずいぶん農園は緑が繁ってきた。ぶどうカレーは味の想像がつかなかった。甘いカレーになるかな。フルーツカレー?っていうのかな。わかんないから作ってみよう。

試作1回目は通常通りカレーのスパイスをふんだんに使って作ったもんだから、正直どこにぶどうは行ったのやら。「いつもより甘いな」ぐらい。試作を数回重ね、ようやくたどり着いたほんのり紫色のカレーは、やさしいぶどうの甘さのフルーティーなカレーになった。文章でいくら綴っても、正直想像つかないっていわれるだろうな。食べてほしい。

ぶどう感もあって、カレーのコクと風味もあるなかなかいいぞってカレーができたけれど、甘いからこれだけだと食べ飽きるな〜。辛さと福神漬け立ち位置の酸味がほしいなあ。そしてフルーティだからハーブのような香りがあったらもっと楽しいな。そしてできたのが、酸味の「にんじんのラペ」と辛味の「三つ葉のサンボル」。にんじんラペにはアグリーダってぶどうの未熟果から作ったビネガーを使ってる。これも落合ぶどう園さんで作ってる。そもそもアグリーダって調味料に阿久根に来て、初めて出会った。ぶどうのカレーにはぶどうの酸味を使ったラペを添えて。これがすぐに実践できるから大地に近い暮らしは本当に豊かだと感じる。

ごはんはレモングラスの風味をつけた黒米と、サフランで香り付けした干しぶどう入りのサフランライスの2種盛り。

甘味に辛味に酸味に、黄色に紫に橙色に緑に、しゃきしゃきにとろりに。色んなかけあわせが連鎖していって、ぶどうカレー はいできあがり。

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落合夫妻と一緒に農園で食べるぶどうカレー。そうそう、わたしこれがやりたかった。作物の作り手さんと共に「大地の恵」と「かけあわせのおもしろさ」を一緒頂き、共有する。

いちにちいちにち丁寧に。今日もごちそうさまでした。


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