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韓国外大 オンライン通翻訳課程 Part2

こんにちは!
今回も前回に引き続き韓国外国語大学語学堂のオンライン通翻訳課程についてまとめてみたいと思います。
※現在はオフラインのみの開講です。

授業概要

オンライン通翻訳課程は翻訳実習、通訳実習、基礎理論、作文訓練、メディア韓国語、機械翻訳の全6科目で構成されています。(機械翻訳は授業なし)
オフラインの正規課程には韓国語強化という科目もあるようです。
それでは、科目別に詳しく見ていきたいと思います。

☆翻訳実習(번역실습)

元の文章の意味を正確に理解し、適切に訳せるよう練習する。
様々なテーマの文章に触れ、翻訳の実力を向上させる。

〈授業〉
通大出身の日本人の先生が担当。

料理のレシピ、約款、環境白書、歌詞…と毎回全く異なるテーマの文章を翻訳します。字幕翻訳も1回だけしました。

みんなが提出した課題の中から毎回3〜4人選ばれて、それらを比較・添削していくスタイルで授業は進みます。クラスの人数が多いほど、自分の提出した課題を見てもらえる回数は減ってしまいますが、発言の機会はたくさん与えてくれます。

〈課題〉
毎週、日→韓、韓→日それぞれA4一枚ぐらいの分量を翻訳します。
授業中に課題を添削していくスタイルなので、基本的に一人一人にフィードバックをくれるといったことはありません。

〈テスト〉
A4一枚ぐらいの分量を日→韓、韓→日それぞれ制限時間内に訳します。辞書などを見ながら翻訳して大丈夫です。

☆通訳実習(통역실습)

様々なテーマについて逐次通訳・同時通訳の練習を行う。
通訳の概念を理解し、またどのような場面においても対応できるよう実力を向上させる。

〈授業〉
翻訳実習と同じ先生が担当。逐次通訳→STの流れで授業は進みます。分量は日→韓、韓→日それぞれA4一枚程度。

毎回異なるテーマで通訳の練習をします。例えば、会議やイベントの通訳や、医療通訳、法廷通訳などがありました。ちなみに私が初めて授業を受けた時は国連での演説でした〜(とんでもないところに来てしまったと盛大にビビった思い出)

STが終わって時間が余ったら、同時通訳の練習をしたり、即興通訳をしたりします。即興通訳では、通訳、日本人役、韓国人役を決めて、日本人役と韓国人役が好き勝手喋るのを通訳の人が訳します。

〈課題〉
授業で扱ったテキストを音読→STして、STの音声ファイルだけを提出します。ポイントは音読にかかったタイムより速いタイムでSTをすること。なかなか自分の音読のタイムに勝てず苦労しました。
授業で一度扱った内容なので、基本的に課題に対してのフィードバックはありません。

〈テスト〉
授業と同じように逐次通訳をして、録音したファイルを提出します。翻訳実習と通訳実習は同日にテストを行います。最後の授業ではテストの解説をしてくれます。

☆基礎理論(기초이론)

通翻訳の基本の理論を実習を通して学習する。

〈授業〉
通大出身で実際に通翻訳のお仕事をされている先生が担当。ただ理論だけを勉強するのではなく、実習を通して理論を教えてくれます。8週の間に通訳・翻訳どちらも勉強します。

授業で行った実習をいくつかご紹介すると
・通訳→ST、シャドーイング、メモリー、リレー通訳(他言語圏と合同のクラスになった場合)など
・翻訳→ウェブトゥーン翻訳(日→韓)、字幕翻訳、ヘッドライン翻訳など という感じです。

先生がかなり情熱的なので、内容が盛りだくさんです。割と頻繁に当てられるので授業中は油断できません...笑

〈課題〉
学期ごとに異なりますが、筆写、暗唱などが毎週提出の課題として与えられることが多いです。それに加えて、授業の準備(ウェブトゥーン翻訳、ヘッドライン翻訳など)、授業の残りが課題になります。唐突に課題が出されることがわりと多いのでスケジュールの管理が大変でした。

〈テスト〉
授業内容が盛りだくさんなので、その分テスト範囲も広く、テスト勉強がしづらかったです。
「間違っていても一生懸命何かしらを書いていたら点数をあげるよ〜」とのことでした。

☆作文訓練(쓰기훈련)

韓国語の文章の基本原理と特性を理解し、上級レベルにふさわしい正確かつ自然な文章を作れるよう訓練する。

〈授業〉
作文の練習の授業かな?と思っていましたが、中学生の頃の国語の授業みたいな感じでした。品詞や文の構造、尊敬語などを勉強します。
課題疲れの身体でこの授業を受けると、とてつもない睡魔が襲ってきます...(小声)

〈課題〉
毎週授業で習った内容の課題が出ます。
30分〜1時間程度で終わるので、他の科目に比べて負担はかなり少ないです。

〈テスト〉
ザ語学堂のテスト!という感じです。難易度は低めなので、テスト前に復習をすれば問題ないかと思います。

☆メディア韓国語(미디어한국어)

様々なメディア資料を活用し、韓国社会への理解と韓国語の実力アップを図る。

〈授業〉
環境問題、人口減少、AI、大衆文化…と扱うテーマは様々。今の韓国社会について、メディアを通して勉強します。

基礎知識や背景、単語などの簡単な説明の後、いくつか動画を見ます。動画を見ながら、授業プリントの設問に対する答えを完成させて、自分が書いた答えを発表するという流れです。難しいテーマもかなり噛み砕いて説明してくれます。

〈課題〉
毎週、授業の内容を要約し、自分の意見を述べる課題が出ます。それを2分程度で録音して提出します。

一人一人にフィードバックをカカオトークかメールで送ってくれます。内容だけでなく、発音までチェックしてくれます。

〈テスト〉
作文訓練同様、難易度は高くないと思います。
問題数は多めでしたが、復習をしっかりして臨めば問題なさそうです。

☆機械翻訳(기계번역)

日→韓の翻訳の練習の一環として、Papagoが訳した文章を自然に修正することで翻訳の実力を向上させる。

〈課題〉
機械翻訳はおまけ科目という位置づけのようです。授業がないので担当の先生とはカカオトークかメールでのやりとりのみとなります。成績も出ません。

8週の間に4回ほど課題が出ます。課題ごとにテーマが決まっており、そのテーマに基づいた日本語の文章をPapagoで翻訳し、その翻訳文を自然な韓国語に修正して提出します。提出後1週間くらいで、担当の先生がフィードバックを送ってくれます。

授業を受けた感想

☆翻訳実習

先生から教えてもらうだけではなく、みんなで意見を出し合う授業だったので、とても勉強になりましたし楽しかったです。

もともと訳すスピードも遅い方なので、自分の苦手なテーマの課題の時は特にしんどかったですが、色んなテーマに触れられたことで、ニュースを見ていても「あ、これこの前の課題で出てきたな」とか思うことが増えました。以前より世の中で起きている出来事に関心を持てるようになりました。

☆通訳実習

初めて授業を受けたときは、何が何だかさっぱりでした。「순차 통역?ノートテイキング?ST?」という状態なのにもかかわらず、先生が準備してきたのは菅前総理の国連での演説(笑)私は日本語すら聞き取れないのに、周りのクラスメイトはそつなくこなしていて、「来るところを間違えた」と本気で思いました。ただ、ここまで韓国語の自信を失ったのも久々だったので逆にワクワクしました(笑)

最後の学期の授業でも先生が国連での演説文を準備してきたのですが、通訳しながら、「あれ?自分実力上がってない?」と初めて思うことができて、嬉しかったです。STの課題だけでここまで実力が上がるとは思っていなかったので驚きました。

先生の通訳がとにかく凄くて、尊敬と憧れが止まりませんでした。質問に対してしっかり答えてくれるのもうれしかったです。

☆基礎理論

先生のフィードバックがいつも的確でした。いいところを見つけてたくさん褒めてくれるし、指摘もしてくれるのでありがたかったです。実際に通翻訳を仕事にされているので、興味深い話やタメになる話がたくさん聞けましたし、精神的にも鍛えられた気がします。「自分は通訳できないから翻訳向きかも…と決めつけないで。チャンスが回ってきたときはためらわずに挑戦してみて。」という言葉が印象に残っています。通訳の自信を失ったときはこの言葉を思い出して頑張ろうと思います。

☆作文訓練

「あぁこれってこういうことだったのか」という気付きが何度もありました。基礎の授業を上級になってから受けることで、より意義があるのかなぁと思いました。(眠かったけど)
身体さえ元気であればタメになる授業だったと思います。

☆メディア韓国語

社会問題についてわかりやすく説明してくれるので、とてもタメになりました。課題に対してのフィードバックもかなり丁寧で、内容だけではなく、発音やイントネーションまで指摘・アドバイスしてくれるのがありがたかったです。

☆機械翻訳

まずPapagoが意外と上手に翻訳するので驚きました。人それぞれ使いがちな文法とか表現があると思うのですが、Papagoの翻訳文を修正することで、普段自分が作らない文章に触れることができて、いい勉強になりました。

Q&A

その他、受講を検討されている方からよく聞かれることをQ&A形式にまとめてみました。

Q1. 課題は多いのか?

A. 少なくはないですが、出来なさそうで出来てしまう絶妙な量でした。私は課題にかなり時間がかかってしまう方で、学期中は他の勉強をほとんどできませんでしたが、課題をやるだけでかなり伸びました。

Q2. 働きながらor学校に通いながらでも両立できるのか?

A. 基本的にクラスのみんなが何らかとの両立をしています。先生たちも生徒が忙しいことは十分に理解しているし、配慮してくれます。事情を説明すれば遅刻・欠席にも割と寛大なのではないかと思います。

Q3. Ⅱから受講したり、Ⅱだけを受講することはできるのか?

A. 可能です。Part1でも少し触れましたが、通翻訳課程はⅠとⅡの2学期構成となっています。「ⅠとⅡでレベルに差があるわけではないのでⅡ→Ⅰでも問題ない」と先生も言っていました。ただ個人的には、作文訓練が若干Ⅱのほうがレベルが上がるかなぁと思いました。それを踏まえると、私だったらⅠから受けたいかなぁと思います。

Q4. 受講するにあたって準備しておくべきことは?

A. 通訳・翻訳実習では板書の代わりとしてカカオトークを使います。おそらく初回の授業から使うことになるので、あらかじめ登録をしておくとスムーズに授業に入れます。また、翻訳の課題の提出にはWordを使います。すぐに課題に取りかかれるように、普段Wordを使っていない方は、あらかじめ使えるようにしておくことをお勧めします。

また、私は通翻訳について何も知らない状態で受講をし始めたのでSTやノートテイキングといった言葉を全く聞いたことがありませんでした。もちろんやっていくうちに理解できますが、簡単に頭に入れておくと授業にスムーズに入れるかなあと思います。

最後に

私は通翻訳課程を受講したことで、韓国語の実力がついただけではなく、漠然としていた通翻訳の世界が若干近くなった気がします。クラスメイトの中にも韓国語や通翻訳を仕事にされている方も多くいらっしゃって、いい刺激になりました。また、どの科目の先生も本当に熱心に教えてくれるのでかなり満足度が高かったです。

・通翻訳に興味がある方
・Topik6級を取ってから目標を失ってしまった方
・とにかく勉強時間を確保したい方

受講を迷われている方はぜひ一度受けてみてください。不安な気持ちはみんな一緒ですし、始めてみたら意外とどうにかなります!

少しでも受講を迷われている方の参考になれば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。

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