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温かい音の出し方

皆さんお久しぶりです。私麟之介は長い間冬眠しておりましたが、やっと眠りから覚めましたのでブログを久しぶりに更新してみます。
さて、復活一本目から真面目な話になりますが、皆さんの一番好き、大事または目標にしている音はどんな音ですか?僕は温かい音です。僕の在籍しているトゥールーズ音楽院のトロンボーン科の皆んなは本当に温かくて愛の感じる音をしています。アンサンブルをしている時の彼らは特に凄い。過去に彼らの演奏を自分が10小節くらい休符の時に、聴いていて泣きそうになったことがあったくらい(恥ずかしい)。合わせ中なのに。何故そんなにも愛のある温かい演奏が出来るのか考察してみた。
 まず一つ目に感じたのは、めちゃくちゃ仲が良くて仲間想いなこと。クラスが8人いるのですが、誰をはぶる事なく全員でいっつも一緒にいるし、毎週飲みに行く。これって当たり前じゃないですよね。卒業する子もいれば入学する子もいるのでメンバーは毎年変わっていくわけですが、その仲の良さは変わらないのです。でもそれはトゥールーズ音楽院全ての楽器がそうという訳では無いのです。特にトロンボーン科が異常。トロンボーンをやりたいと思い、始めた人たちの特性に共通する何かも、もしかしたら関係するのかもしれない。でもそれを可能にしているのはDanielの存在が大きいだろう。ちなみに彼は僕たちの先生。Danielは超超超気さくで話すことが大好き。人見知りなんて皆無。冗談、下ネタ大好きおじさんなんですけど、本当に生徒想い。年度始まりの時も新入生のことをとても気遣い、皆んなと溶け込めるように混ぜてくれる。そんなDanielの人柄と演奏に惚れた人たちが集まってるというのも要因の一つなのかもしれない。

 二つ目は、皆んな音楽が心の底から大好きで楽しんで吹いているということ。彼らは演奏をする時良くも悪くも全然構えないのです。ちょっと話が違いますが、暇さえあれば皆んなで歌うし、踊る笑。その代わり訳の分からないミスもする。楽譜忘れるとかもあったwww 笑顔でアイコンタクト取りながら演奏してる弦楽器奏者とかすごく素敵じゃないですか?見てるこっちまで笑顔になる。
 けどその音楽を楽しむことって意外と遠くなってしまっている人って特にクラシック業界には多いような気がします。始めた頃は楽しくて吹いていたのに気がついた時にはそんな心はどっか言っちゃったみたいな。僕は度々その少年期の気持ちを忘れてしまいます。クラシックは音楽の中でも特にそう陥りやすいと思う。ミスしたらどうしよう、ここはこうあるべきとか、音程がとか。クオリティーの高い商品を作ることが一番大事ってなりがちな気がします。でもクラスのメンバーや素晴らしい演奏を聴いた時に思い出させてくれる。確かに極めて行く上で大事なことではあるけれど、それは音楽の本質では無いし、聴き手にそれを感じさせることはもってのほか。
大事なことは、日頃からその楽しむ気持ちを持ってないと本番でそれをお客さんに届ける、伝えることは絶対にできないのではないかと言うこと。練習している時もそうで無い時も。だけど実際かなり難しいですよね。長い間続けてたら辛い事の方が多い。常に楽しく感じることは無謀だとは思いますが、別にクラシックである必要は無いと思うんです。彼らが良く歌うオーシャンゼリゼとか昔ながらの曲とかでも良いんだと思います。でもやっぱりその曲が大好きなんだ!そう想ってる人の演奏に勝るものはない。

温かい音で演奏をするために必要なことは、楽器を吹く上での技術では無く、心、気持ちが全てなのでは無いかというのが僕の結論。無理やり技術的なことを言うとすれば、息のスピードは確かに遅い傾向にはあると思う。でもそれは上記の結果息のスピードがゆっくりになっているだけで、あくまで結果論。息のスピードを変えたところで温かい音だとは聴き手は少なくとも感じないだろう。

音楽には色んな形があり、正解なんてもちろん無い。みんな違ってみんな良い。けれど、僕は聴いてくださる全ての方に人間の心による音楽の温かさを届けられる人になりたい。

190cm野郎二人に担がれた
この日は一日レッスンだったはずなんだけど・・・みんな酔っ払って呑み会に変わったある日の一枚

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