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詩| 香 かほり

心が荒波にのまれて沈みゆく時、

ただ一滴の希望も見出せず、

これから先の永遠にも思はれる

苦しみを見た時。

ただ一滴のかほりから

私はぽっと救い出される。

それは海底に沈んだ私をやさしく引き揚げ、

苦しみは永遠ではなくひとときの物だと、

そっと耳元で囁いてくれる。

暖かな春の日差しと、そのもとにある花園を、

風に乗せてゆらゆらと届けてくれる。

それは目に見えぬ、

だが心には見える。

一滴のかほりが、一滴の希望となる。

私はかほりが好きだ。

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