長野のくらし日記

長野に来て3日目の朝。
空気が甘い。そんな気がする。
水が冷たい。長野は分水嶺だという。
この家が好きだ。

時間を気にせず本を読んだ。「日日是好日」

「頭で考えようとしないこと」
ここは漆の町だ。昨日漆工房に行って工程や技法を学んだが、「漆を頭で捉えよう」としていたなぁと振り返る。頭で考えようとすると漆の肌触りや素朴な美が入ってこない。

世の中にはすぐわかるものとわからないものがある。

3人程人にもあった。漆の職人さんや喫茶の店員さん。
「長野の県民性ってどんなのだろう?」「この人とどう会話を進めたらいいかな?」

感じる先でわかるようになる
九州での生活が長かったからその差異を感じる。

まだ言葉にするには時期早々だ。

長野生活5日目(2024 5/10)
新月があけ、月のものも峠を越し、身体が軽くなったのを感じる。
活動量も増え、会いたいと思っている人に会いに行った。
偶然の出会いもあった。

まず、整理をしようか。
2日間、なっちゃんとゆうせいくんとお花屋さんを手伝いにいった。
花に囲まれて、花に触れる時が幸せだった。
花の手入れの方法やラッピングの仕方も習った。
花は枯れる。
「死というものが生の始まり」と知っている人は死を恐れず「生がやがておわる」ということだけを知っている人は生に死が身付く。
junnosの生命賛歌の歌詞にあった。

人の命も死ぬと自覚した時に輝くのだろうと思う。
だが死を自覚する感覚はどうしたら身につくのか。

こんなにも平穏で、死が遠く感じる生活で。

自然に触れたい。
そう心が言っている。

さかかん(シェアハウス)に遊びに行って、みんなと夜ご飯を食べた。
「なんて居心地がいいんだろう」
海外旅行から帰ってきて自分の家の布団に寝っ転がったとき。
例えるならそんな場所だった。
「ここに住んだら?」
さらっと、けどまっすぐに言われると、正直心が揺らいだ。
けど思う。
「耐えろ」
私は今、日本のことを知りたい。
もしここに住んだら、ずっと誰かと話して、心がふわふわする。
それは確実だなと思った。

今の私の生活で気に入っているところは、余白があること。
朝起きて、まず戸を開けて空、空気、川、鳥、自然を味わう。
ソファーで本を読む。
そんな時間が今の至福の時。

だからさかかんには週に1、2回遊びに行くのがいいなって思う。
修行だ。


奈良井宿
奈良井宿は住んでるところの隣。
江戸時代、その通りは江戸と京都を結ぶ主要道路で、漆器や櫛などの工芸品や食や宿の産業が発達し、江戸の街並みが1キロにわたって残る。

黒や焦げ茶を基調とした木造建築が、通りの両脇をつなぎ、高層ビルなど一つもない。おかげで空や山が良く見える。

耳を澄ませば風鈴の涼しい音が聞こえる。
湧き水の汲み場が定期的にあり、水に恵まれている土地であることを感じさせる。

お店をめぐると螺鈿細工と漆器を組み合わせたアクセサリーと、櫛に興味を持った。今度工房に行きたい。


着物を自分で気付けて歩いた。
声をかけられ、ひょんなことからバイト先が見つかった。

「お金がなくても生きて行ける」
そう実行しようとしているが、お金がツールになっている社会ではお金がないと視野が狭くなる。参加したいワークショップが高かったら、行きたい気持ちもなくなってしまう、というか諦めなのだ。
バイト先が見つかったことである程度安心感は得た。

だが、お金を貯めることにのめり込むとここにいる意味がなくなる。
何をしに来たのか?

長野生活14日目
もうそろそろ半月だ。
今週は漆器の職人さん「斎藤漆器屋」で漆器づくりを体験した。
くらしの工房で、漆器の工程や、基礎平沢、漆器と日本にまつわる面白い本を見つけた。
「漆器」「伝統工芸品」について、学ぶものが見えてきた感じがする。

バイトも本格的に始まって、しおじりストアというお店で働きはじめた。
妥協がない。味も、食材も。
非常に勉強になるし、人は優しいし、地元の食材を使い、陶器にもこだわって、ものを大切にしている。人も、ものも、環境も。
「効率よりも丁寧さを」といってくれる2人は、とても素敵だ。
味も接客への心も、心から素敵だと思えるからこそ、働いていて楽しい。
自分の理想の接客を追求できるのが幸せだなあと思う。

奈良井宿でのバイトも慣れてきて、人も優しいし、単純作業も時々ならやりがいがある。海外の人も多く、先日であったスイス人に魅了され、スイスに行く覚悟が決まったりと、出会いが多く面白い。

遠出を初めてして、戸隠神社に行った。
電車の乗り換えを忘れていて、寝てたら気づいてら出発地点よりも戻っていた。1時間半の予定が4時間半かかって長野駅についた。(笑)あの時は放心状態だった。


シェアハウスでは、偶然1日泊りに来た人が、私と全く同じ恋愛観、コミュニケーションの取り方をしている人で、「私やんか!」というミラクル。
なぜ人から当たられやすいのか?怒られやすいのか?恋愛がうまくいかないのか?今までずっと気になっていた謎がするするとひも解かれていった。

あの夜は熱かった。

そして同時にまったく性格が異なる人との共同生活。
苦戦しながら試行錯誤している。


6月3日
最近は長野でも気があう友人が出来てきて、昨日は一緒にご飯にいった。
大切な人と、今日は朝活をした。高ボッチ高原にいって自然と一つになった。

工房巡りも充実している。
昼からは4つの工房を巡り、話を聞いたり、実際に塗りの体験もした。

漆に対するインプットに伴いアウトプット欲が燃焼。1日半ほど費やし、6000文字ほどの長編を書き上げた。満足。笑

6月4日
なおくんと絵を描く
音楽を聴きながら 描き 昼寝をして 歌い

なおくんとの時間に流れる
穏やかさとも違う
気怠さや虚無感ではない 
創造が自然とできる 
何もしなくても
満ちゆく
こころ


未来のことはわからない
明日のことも予想がつかない
その心地よさに 自由を覚える

私は創造がしたい

漆器祭はこの1ヶ月の総まとめ。
お世話になった工房に挨拶に行き、漆器を見て、木曽平沢と奈良井宿の観光もした。

2日目の夜。
『触れる漆』そんな会をした。

友人を誘い、8人で漆器に手で触れ、口に含み、キャンドルだけを燈し、陰翳礼讃を体現した。

この1ヶ月の学びを共有した。

とても、いい時間が流れていた。

この地で、愛を知った。
愛されることを全身、全心で。
自由な愛だった。
恋愛は尽くしがちで、自分を制限する癖が抑えられてた。 

心が通う。共鳴。 

6月10日
暮らしていたところを出発

また帰ってきたい。
家族のように可愛がってくれて、慕う人ができた。

長野の人は九州と違う気質。
控えめな優しさ。
豊かな自然と、花鳥風月のような自然への感性はつながっている。

ここは本当に感性に敏感な人が多い。
季節によって変わる風を知っていたり、野鳥が暮らしと共存してる。

長野の自然
花の種類がとても多く、道端の花、家の庭に咲いている花。
見たことない花ばかり。
好きだと思った花を髪につけて遊ぶ。

空が違う。
澄んでいて、遠くまで見える。

朝と夜の寒暖差が大きい。
朝と夜はひんやりとしていて気持ちいい。



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