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黒い果実(4)

ヨネからのメールと電話。
モヤモヤする私とまんざらでもないタカシ。
隣で彼女が聞いてるなんて思っていないのだろう。
甘えた声で「今何してるんですかぁ?」など聞いてくる。
少し困った様子で「もう寝るところ。じゃあね」とタカシが切ろうとすると
ヨネ「えーまだいいじゃないですかぁー」
タカシ「もう遅いから。おやすみ」
と切った。
私は少し不満だった。
「彼女と一緒にいるよ」と言ってくれればいいじゃないか。
まさか彼女(婚約者)がいるって話してない?
疑惑が湧いてモヤモヤが止まらない。

このことがきっかけで喧嘩になった時、頭に来てタカシからヨネに電話をかけさせた。
タカシの番号でウキウキと出たら私の声で不機嫌になるヨネ。
ヨネ「だれ?」
私「タカシの婚約者ですが」
ヨネ「は?まって?別れてないの?え?」
明らかに動揺している。
私「別れてませんよ。婚約してますし。
(タカシの顔を睨みながら)別れたことになってるんですか?」
ヨネ「はい、別れたって聞いてます」
私「(タカシに)私たち別れたの??」
首を横に振るタカシ。
私「別れてないって言ってますけど」
ヨネ「わかりました」
と電話を切られた。

ヨネ話終わってからタカシに携帯を返して「別れたって言ったの?別れたいの?」
と問い詰めると、タカシは壁を殴り「別れたくありません」
なんだその言い方は?無理やり言わせてるみたいじゃないか。
と腹が立ったがこらえた。
「別れたいなら言って。私もう27なんで、次に行くなら早い方がいいの。」
とだけ言ってやった。
もういっそ別れようと言ってくれたら良かったのに。

話は前後するが、ヨネの一件の少し前に
タカシが学生時代の友達と食事すると言って出かけた日があった。
向こうは彼女を連れてきていたらしく、三人で撮った写真が送られてきた。
あっちが彼女連れなら私も連れていってくれれば良いのに…と少し不満だった。
その数日後、タカシは実家に帰ると理由も言わず出かけていった。
さらに数日後、タカシが家に携帯を忘れて出勤してしまった。
すると、メールが届いた。
「この間はどぉーもー❤️私のフェラーリどうだった?」
車のことではないだろう。
名前を見ると友達の父と書いてあった。
連絡帳をみると、友達の父が二つあった。
届いたメールアドレスは明らかに女性のものだった。
その場で友達に電話。
「タカシが携帯を忘れて行って、今メールが届いたんだけど、○○@ってあなたの彼女のアドレスじゃない?」
友達は困惑しているようだった。
「こんなメールが届いたけどこれって車の話じゃないよね?」
「そうだね、フェラーリになんて乗ってない。まぁアイツそういうの誰にでも送っちゃう奴なんだよ。いたずらで」
ほーイタズラで隠語送るのかい?
「タカシなら大丈夫。君のことちゃんと好きだし浮気する奴じゃない。彼女も俺は愛してる。大丈夫」
半ば自分に言い聞かせているようにも聞こえるが…。
「わかりました」と電話を切ったものの、おかしいと思ったら止まらない。
泳がせることができないお馬鹿さんな私。

連絡帳からメール相手マッキーに電話する。
友達の父であってくれ。
マッキー「はーい」
私「もしもし」
プツッ
切られた。
はい。黒。
一日中仕事が手につかなかった。
帰ってすぐに問い詰めた。
タカシ「恋愛相談に乗ってたんだよ」
私「フェラーリで?」
タカシ「い…いや、違うけど。少し話して駅で別れたよ。」
私「じゃあフェラーリは?」
タカシ「わっかんないよ!💢あっちが勝手に送って来たんだろ?ちょっと変な子だったから意味なんかないんじゃない?」
と逆ギレし、出て行った。
都合が悪くなると怒鳴って出ていく。
お話にならない。

からのヨネ。

順番が前後したけど、こんなことを立て続けにされたら信じたくても信じられなくなる。
私がおかしいの?
こんなことで疑って、悪いのは私だろうか?
疑い < 好き <意地
二度目三度目の目を覚ます機会を逃してしまった。

(つづく)

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