人間は限定品に弱く、わたしは金木犀に弱い

 そう、だからLUXのとろとろキンモクセイトリートメントを買ってしまいました。何だその名前は?トリートメントの効果はまあいい感じで、匂いとしては、街にふわりと浮いているあの香りというより、木の前で息を吸った時のむわっとした香りに近かったです。

 安心という感覚をすっかり忘れて、そのことに気付いてもいなかったわたしに、安心できる場所の存在を思い出させてくれた人がいました。彼は部屋の裏に生える金木犀の香りを纏って、なんだか寂しそうな目をしていました。わたしはというと、悲しくて、寂しくて、死にたくないのに、駅のホームや窓辺にいると飛び出してしまいそうになる毎日でした。
 彼はどうしてわたしに話しかけてくれたのでしょうか。なんで一緒にいてくれたのかな。全然喋られなくて、「頑張れるね?」って言って見つめてくれた目を逸らして、ごめん。
 これが安心かって思えたあの時間がなかったら、耐えられなかったかもしれない。いつか目を見て、もう大丈夫だよって伝えたいけど、今の自分はまだ未熟なように思う。だって、とろとろキンモクセイトリートメントにうつつを抜かしている……。

 来年あたりに会いに行ってみようかなと思ったけど、泊まるところなし、友達なし、他にやりたいことなしで、地元へ……?
 本当は好きな絵本をこっちの家に持っていきたいけど、実家に帰ることがこの世で一番嫌だ。流石に死と並べられたら行くけど。死ってこの世だけのものじゃないから、ずるいよその問題は。

 この前、実家が火事で全焼すればいいのにって考えてた。全部、全部なくなればいいのに。そうやって、一気に終わらせたくなってしまう時がある。
 昔のわたしは、実家のリビングで見た『家族ゲーム』のラストに憧れていた。あんな風になれば、この家も仲良し家族になれるかもって。そんなことは起こらないよ。わたしは、昔のわたしを、一分前のわたしでもいいけど、抱きしめてあげたい。

 最近は中途覚醒しなくなっていたが、今日は眠るところからできていない。だから、詰め合わせの文章になっていく。

 『嗤うマネキン』という曲に「一人よりも二人の方が 寂しくなるって知らなかったな」という歌詞がある。わたしは反対だった。一人よりも二人の方が楽しくなるって知らなかったな、そう思った。なので、「わたしずっと笑顔だね」と言って、「ずっと真顔だよ」と返ってきた時は心底驚いた。

 寝坊しました。電車内でこれを書いています。起きる時間に眠ってしまった。
 本当はここから、先日友人がわたしのことをいつもニコニコして話を聞いてるイメージだって言ってくれた話に繋げようとしていました。

 朝ご飯にメロンクロワッサンを齧りました。メロンパンに、クロワッサン……。美味いものと、美味いもの。サプリを飲む。鉄と亜鉛。heme ironと、zinc……。足りないっぽいものと、足りないっぽいもの。


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