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フォトリーディングで最速の情報処理

要旨
フォトリーディングとは速読術ではなく情報処理術です。読む目的を決め、問いを作り、時間を区切って読むことで、本のなかにある自分にとって必要な情報に素早くアクセスする技術であり、集中して能動的に読むことによって本の内容を簡単に把握することができるようになります。マインドマップを作成することによってさらに理解は深まります。
※ここで書いているのは概要であり、具体的な読書法は『[新版]あなたもいままでの10倍速く本が読める』を参照のこと。
目次
・フォトリーディング≠速読法
・フォトリーディングの手順
・フォトリーディングで得られるもの
・まとめ
・参考文献

フォトリーディング≠速読法

フォトリーディングというと速読法で知られており、高速に本のページを繰る動作を想像します。そのため、「難しそう」「よくわからない」「本当に読めているの?」と感じてしまいます。

しかし、フォトリーディングの本質は「情報処理法」であり、情報を本(または)文書から素早く取り出すことにあります。まずは、フォトリーディングの手順について簡単に述べていきます。

フォトリーディングの手順

『[新版]あなたもいままでの10倍本が読める』によると、フォトリーディングは5つのステップを踏んでおり、手順はざっと以下のとおりです。

1.準備(目安1分):読む目的を決定する
2.予習(目安1分):本の概要を調べ、読むかどうかを決定する
3.フォトリード(※注1)(目安3~8分):高速にページをめくり、潜在意識に内容を記憶する(字を読まない)
4.復習(目安8~12分):
 4-1.表紙、目次、帯などを見て本を調査する
 4-2.本の中からトリガーワード(キーワード、目立つ言葉など)を探す
 4-3.問い(その本の著者に訊きたいこと)をたてる
5.活性化(目安6~20分、必要に応じて90分以上でも):
 5-1.問いの見直し
 5-2.情報の取得(読み方2種)
  5-2-1.スーパーリーディング+ディッピング:質問を見直し、本の中から答え探しをする(問いの答えに該当する箇所を見つけ出しその箇所を読んでいく)
  5-2-2.スキタリング:論文・レポートなど、構造化された文章は、「段落の最初の文」「(主題に関わる)単語」「段落の最後の文」を拾い読みしていく
 5-3.マインドマップの作成
 5-4.高速リーディング:全体をはじめからおわりまで素早く読んでいく

「1.準備」から「4.復習」までの下準備をし、「5.活性化」で本を読むという流れです。情報を取得するときには本の調査が終わっているので、自分にとって必要な情報を時間をかけずに得ることができます。

ちなみに、ページを素早くめくって本の内容を写し取る「3.フォトリード」は、フォトリーディングの一部であり、情報にアクセスする時間を短縮するための土台をつくっておくものです。

それ以外のステップは、「1.準備」「2.予習」「4.復習」「5.活性化」です。タイトルや目次で本の内容をざっとつかんでから、問いを立てて必要な部分を読んでいきます。フォトリーディングそのものは『本を読む本』の「点検読書」に近いオーソドックスな読み方であるといえます。

※注1)本のページを潜在意識の写しこむ、いわゆる「3.フォトリーディング」は、「1.準備」~「5.活性化」の5ステップを指す「フォトリーディング」と区別して「フォトリード」をします。

フォトリーディングで重要なこと

フォトリーディングで重要なのは「ページを早くめくること」ではなく「能動的な読み」をすることです。具体的には以下のとおりです。

・時間を決めて集中する
・読む目的をはっきりさせる
・読むべき情報を取捨選択する
・トリガーワード(キーワード)や目次から問いを作る
・作った問いに対して本から答えを探す
・自分で内容をマインドマップにまとめる

「集中して」「自分から」本の中にある情報をとりにいき、さらに、マインドマップに内容をまとめることによって、本の内容が定着し、全体を俯瞰することができ内容を把握しやすくなります。この能動的な読みが本の内容の理解と記憶の定着につながっていき、結果として読書時間の時短ができるようになります。

下の図は筆者が作成した書籍のマインドマップ(3~5章)です。(ポール・R. シーリィ (著), 今泉 敦子 (翻訳)『「潜在能力」であらゆる問題が解決できる―あなたの才能を目覚めさせる「ナチュラル・ブリリアンス・モデル」4ステップ』)マインドマップを見ることで、全体像を把握し、読書で得た情報を振り返ることができます。

フォトリーディングで得られるもの

読書時間が短縮できるのでさらに何冊か本を読むこともでき、テーマに沿って複数の本を読んで比較することで、テーマをより深く理解することができます。

例えば、下の写真は3冊の本を1つのテーマ(「情報処理能力を高める」)で読んでいったマインドマップです。「1.準備」から「3.フォトリード」まで準備しておけば、1時間もかからず作成することができます。

この図から、複数の本を読み合わせたとき、自分の設定したテーマにしたがってキーワードを書き出していることがわかります。筆者の例ですと、「情報処理能力を高める」には「定量化」「PDCA」「ロジックツリー」「マインドマップ」のような「見える化(可視化)」が解決策の鍵となっているようです。

フォトリーディングによって本を多読し、マインドマップで可視化することで、設定したテーマについて多くの知見を得ることができます。そのことによって自分の課題・問題を解決する糸口を短時間で見つけることもできます。

まとめ

フォトリーディングとは速読術ではなく情報処理術です。読者が能動的に読む(目的を考え、本を調査して問いを作成し、本の中に答えを探す)ため、内容(情報)が本・文書等から引き出しやすい状態になっています。そのことが読書時間の短縮へとつながっています。マインドマップにキーワードをまとめていくことで全体が俯瞰され、さらに本の内容を深く理解することができます。

下の画像は、フォトリーディングについてまとめたマインドマップです。マインドマップによってフォトリーディングの全体像と各項目の関係性を見ることができます。

参考文献

ポール R.シーリィ (著), 神田 昌典 (監修), 井上 久美 (翻訳)(2009)
『[新版]あなたもいままでの10倍速く本が読める』フォレスト出版
J・モーティマー・アドラー (著), V・チャールズ・ドーレン (著), 外山 滋比古 (翻訳), 槇 未知子 (翻訳)(1997)
『本を読む本』講談社
トニー・ブザン (著), 佐藤 哲 (翻訳), 田中 美樹 (翻訳)(2012)
『トニー・ブザン 頭がよくなる本 日本語第4版』東京図書
トニー・ブザン (著), 近田 美季子 (監修, 翻訳)(2008)
『マインドマップ超入門 (トニー・ブザン天才養成講座) 』ディスカヴァー・トゥエンティワン
トニー・ブザン (著), 近田 美季子 (監修, 翻訳)(2009)
『マインドマップ読書術 (トニー・ブザン天才養成講座)』ディスカヴァー・トゥエンティワン
トニー・ブザン (著), 近田 美季子 (監修, 翻訳)(2009)
『マインドマップ記憶術 (トニー・ブザン天才養成講座)』ディスカヴァー・トゥエンティワン






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