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マッチングアプリ体験談:16~18人目


16人目:私生活が見えない高年収男


仕事:IT系
年代:
30代後半(年下)
アプリ:
with

この頃、アプリに対する意欲は激減。メッセージが億劫になり、「とっとと会って、アリナシ判定したい」と思うようになっていた。

16人目の彼は、出来過ぎた男だった。

  • 年収は800万以上

  • 外見は並の上

  • ウォーターフロントのタワマン43階に一人暮らし

  • 食通

  • イギリスの友人の影響で、レディファーストは完璧

  • 海外にファッションショーを見に行くくらい、某海外ブランドを愛す。

  • 自宅に防音室があり、趣味で楽器を弾いている。

こんな輝かしい条件の人がマッチングアプリなんてするか?お金の匂いがぷんぷんしてうさん臭いぞ!

と思いつつも、メッセージつきイイネの文章から堅すぎるくらいの真面目さを感じたのでマッチ。会話の中で明らかにおかしい人ではないことを確認し、すぐに会うことにした。

初回は上品な和食屋でランチをして、丸の内をお散歩した。
優しくて常識的な人だった。でも、彼が人間くさいところを見せたり、生活感のある話をしないものだから、彼がどんな人なのかがまったく見えてこない。AIと話しているような不思議な感覚。

よく分からないから、もう一度会うことにした。夜に高級火鍋店へ。ここでもおかしな点はなかった。むしろ、何もかもが完璧だ。上品さ、聡明な受け答え、気遣い、少しの色気。
でも、相変わらず掴みどころがないというか、生活感やバックグラウンドがちっとも見えてこないので、本能的に「信じられない」と感じるようになった。実は既婚者でタワマンは別宅でした~!っていう最悪な未来しか見えない。会うのはもうやめよう。

気持ち的にはこのくらいの落差があった。


「すっかりご馳走になってしまって。おいしかったです」
「よかったです。実は、僕の家はすぐそこなのですが、うちで飲み直しませんか?」

彼が指さした先に巨大なタワマンがあった。朝は富士山が見え、夜は夜景が一望できると言う。
付き合っていなくても、好き合っていたら彼の家に行くのもアリだった。でもさ、私たち、そういう感じじゃないじゃん?それなのに家に招待するって、距離感バグってない?

「酔っちゃったので、今日は帰りますね」

地下鉄のホームからお礼LINEをしたけど何日経っても返信はなかったので、やっぱりヤリモクだったのかも知れない。「食事を2回おごってもやらせてくれないコスパの悪い女」と思われたのだろうか。だとしたら、無理やりホテルに連れ込もうとしたあのハゲの方がまだ清々しい。

なんとなく背景が見えてこない人は既婚者かどうかの判別がつきにくいからやめておこう、と学んだ相手だった。

17人目:寂しがりやな男


仕事:忘れた
年代:
40代後半(年上)
アプリ:
ゼクシィ縁結び

自己紹介文の「寂しがりやです」が少し引っかかった。電話で話してみたら、いかにも依存体質っぽい印象の男性だった。

「返信がないと浮気かなって心配になる」
「趣味を共有できないと寂しい」
「LINEの返信がないのにストーリーズが更新されてると、モヤモヤする」
「僕を頼って、僕を求めてほしい」

無理だ!!20代前半ならまだしも、40代後半でこれはどうなのよ!!!
性格の選択肢が「寂しがりや」になっている男性を警戒するようになった。だって、私とは合わないもん。共依存したくないもん。

頑張って話を広げようとしたけど、ちっとも会話が続かず、過去最短の10分で電話を切った。
ひーん、しんどー。

ちなみに、アプリはゼクシィ縁結び。なんだか冴えない感じの男性が多かったので、これが最初で最後の利用となった。

こえーよ


18人目:自分を出せない男


仕事:忘れた
年代:
30代後半(同い年)
アプリ:
with

あぁ、やる気がしない。

惰性でアプリをピコピコいじっていたら、初めて同い年とマッチした。
すぐに電話に誘われた。すぐ電話やお茶に誘ってくる人は好みじゃない。でも、めんどくささが勝って電話してみることにした。

すぐに電話をしたがるくらいだから、よほどトーク力に自信があるんだろうなと思っていたけど、彼、その正反対だったの!自分から話してくれないし、声が小さくて聞き取れないので、会話が困難なレベル。これじゃ、何を考えているのかまったく読み取れない。たった1分で猛烈な相性の悪さを感じた。

でもね、私、こういうときに、

考えていることを引き出してやる!
この人の素を見たい!

って燃える人なんです。
スポーツやら食べ物やら、多方面から彼の好みを探り、どうにかこうにかして彼が副業で映画監督をやっていることを聞き出した。映画監督なんておもろいやんけ!彼の深堀りポイントはここだわ!!
結局、映画に目覚めたきっかけ、作品のジャンルやストーリー、登場人物に自分を投影しているのかなど、映画を切り口にして彼の人生観にまで話を広げていった(広げすぎ)。

なーにーがーすーきーなーのーー


映画の話になってからの彼は饒舌だった。スイッチが入ったかのようにマシンガントークが止まらない。なんだ、しゃべれるんじゃん。

「〇〇さん、最初は全然しゃべってくれなかったから、電話を切ろうかと思っちゃったよ。でも、映画のこととなるとよく話すんだね」
「僕、会わないとだめなんです。電話では」
「ん?でも、今、電話で話せてたよ?」
「会わないと。だめだから」

???
受け答えがおかしい。

「私に会いたいってこと?」
「はい。楽しかったので」
「ありがとう。でも、正直、私は合わない気がしてます。電話で『なんか違う』と思ったら、会っても楽しめないの。ごめんなさい」
「会えば変わるかも」
「経験上、変わらなかったんだ」
「そっか。残念だけど仕方ないです。ちゃんと断ってくれてありがとうございました。りんさんなら良い人が見つかります!僕もがんばります」

彼、きっといい人なんだろう。
でも、極端に社交性のレベルが違うと、恋人が私の家族・友人とうまくやれるように面倒を見なきゃいけない気がした。社交性は似ている人の方が楽だ。


静まり返った深夜。

なんかもう疲れちゃった。
タワマンの彼といい、電話の彼らといい、惰性でやり取りするのは時間の無駄だから本当によくなかった。これなら一人で読書していたほうが人生が豊かになる。

私は、急にアプリをやめたくなった。

気が付いたら退会手続きの画面を開いていて、退会ボタンを押そうとした次の瞬間、通知音が鳴った。



半年後に私のメンタルを壊す男、わんこくんからのイイネだった。

りん