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馬日記 #2 2023/5/4

14鞍目

乗るたび毎回記録を付けようと思ったのに、いつの間にやら14鞍目。やっぱり私。
10鞍目まではお試し期間のようなもので、30分レッスンで馬装はなし。乗馬クラブの方が準備/解除ともにやってくださるので、行って道具を借りて着替えれば馬とインストラクターが待っていてくれて、レッスン終われば着替えて帰る。楽チンである。お馬さんに乗って、あ〜楽しい!で終われる。11鞍目からは本会員になり、馬装も必須。子供の頃の金魚以外ペットも飼ったことが無い私に、あんな大きな生き物の世話が務まるのか? 少々の心配は杞憂だった(と思われる。今のところ)。

という訳で、馬装をするのは4回目。昨夜YouTubeで探して無口のロープの結び方をしつこく復習したので、今日は自分で結べた。Good! 他はまだ教えてもらいながら。

今日はコンゴウ

コンゴウに乗るのは確か5回目くらい。ハヤブサヴィーナスが3回かな?最近はずっとユリヒメだったので、「今日はコンゴウ」と言われてちょっと不意を打たれた。コンゴウはおじいちゃんで大きくて、なかなか動いてくれない。1鞍目から軽速歩の練習をしているが、コンゴウの時はなかなか続かず、すぐに止まって動いてくれない。初心者で乗り方がなってないんだと思ってたら(まあそうではあるんだけど)、4鞍目くらいでヴィーナスに乗ったら、まあなんて軽快に走ってくれること!(ちなみに彼女はまだピチピチの元競走馬)。そっかー馬も年取ると動きたくないのねぇ、、ということを学びました。ヴィーナスちゃんのおかげで軽速歩がどんなものかが分かった。ありがとうヴィーナス。

でも、ヴィーナスは秘蔵っ子らしく、滅多に乗れない(と踏んでいる)。よし、コツを掴んだぞ!と思っても、コンゴウくんに乗るとやっぱりあんまり走ってくれない。インストラクターに無理やり動かされても、追われてないとすぐ止まる。止めることは出来ても、自力で彼を動かせたことは皆無だった。
んで最近はユリヒメさんが続いてて、彼女は協力的で、すんなり事が進むことが多いし、小柄な彼女はちびすけの私には馬装もしやすいので安心していたところ、「今日はコンゴウ」。。

いやね、でもこれは何かの巡り合わせだよきっと。昨夜動画を探してて、たまたま上がってきた「落馬しかけて天神乗りで2着!」ていうのがあって、天神乗りって何?て見始めたら、2010年の障害レースで、最初のジャンプで落馬しかけた騎手が、鎧外れちゃったけどそのまま乗って(これが天神乗りらしい)無事2着ゴールした動画だった。そのレースのスタート直後、アナウンサーが各馬の名前言いながら中継してて、「コンゴウ」って言ってる!えっ私の知ってるあのコンゴウ⁈とよーく目を凝らしたら、いるいる、白っぽい馬。グレイっぽいけど(毛色の呼び方をまだよく知らない)、年取ると白くなるって言うし、きっとこれコンゴウやー!

4歳以上未勝利戦だった。その馬の順位は分からないけど、後ろの方を走っていた。その後いつからか知らないけど、縁あって今のクラブに来たんだねきっと。

さてさて、今日もいつものコンゴウだった。洗い場の前でテコでも動かないコンゴウを見たことがあったけど、今日も止まった。引いても私の力くらいじゃあどこ吹く風。基本的に彼は、仕事はしたくない山岡さんのような性格と見た。馬装を手伝ってくれたスタッフさんが動かしてくれなかったら、きっとずっと止まってた。山岡さんは本業サボりがちだけど、料理に関してはピカイチなんだぜコンゴウ。

初めてコンゴウが走ってくれた、嬉しい!

騎乗開始。ウォームアップで並足、蹄跡を歩く。コンゴウの頭を眺めながら心の中で思う。「馬は昔の記憶ってあるのかなあ。コンゴウはレースに出てた頃のこと覚えてるのかなあ」。「覚えとりますがな。」そう聞こえた気がした。

ユリヒメとインストラクターの方々のおかげで、だいぶ軽速歩のコツが掴めたと思っていたが、やっぱりコンゴウはすぐに止まった。何回も止まった。よく車の運転に例えて言われるのだが、どうも私はまだアクセルの場所が見つけられない。蹴る、圧迫する。やってるつもりなんだが、、、コンゴウは動かない。

今日何度目の蹴りだったろうか。蹴った後、たまたま右鎧に前方に向けて圧が掛かった。そして、そして…、コンゴウが動いた!
動いた、動いたよー!コンゴウが動いたーー!

やりました、ついに! そっかあ鐙に圧ね。オッケー!
それからは比較的速歩が続くようになってきた。今までは輪乗りせいぜい1周だったのが、もっといくようになってきた。よーし。

と思ったら、コンゴウが苦しそうな息をし始めた。喘息のような、乱れたゼロゼロする息。えっ、お年寄りだから? 大丈夫⁈⁈  
大丈夫だった。3回ほどのゼロゼロ息の後、音はしなくなった。心配だったけど、異常があればインストラクターが止めるだろうと、そのまま騎乗。力強く走っている。心なしかスピードも乗ってきた。結果、今までで最長記録。なんだ、いつもそこまで走ってないからだったのか、コンゴウ…? 運動不足ですかい…?

乗りながら彼の若き日々が思い浮かんだ。第1線で走って。障害を飛ぶ時のジャンプは、力強い。すごいやん。うまく乗れるよう頑張るから、おぬしも本領発揮してがんばれ。私はまだ老齢ではないけれど、歳をとると若い頃より身体能力が落ちるのは重々経験済みだ。反面、楽なところに居れば筋力体力は落ちる一方だが、無理のない範囲で負荷をかけた方が維持できるのも知っている。

今日はだいぶ走ったね。30分コンスタントに軽速歩。今までは止まってる時間の方が圧倒的に長かった。お疲れの様子のコンゴウ。立ち尽くしている。さあ今日の最後だ、行くよコンゴウ。
一瞬、動かないか?と思ったが、彼は発進した。疲れてるだろうに、ありがたかった。前回までだったら動いてないだろうな。動いてくれるということは、私の乗り方もちっとはマシになったということか。
最後の周回には、これまでにない前方への推進力があった。動きにリズムがあった。自然に身体がついてゆく。こうなると、楽しい。乗っていて、楽し、かった。

おそらくコンゴウも、今までとは違う感覚でいたような気がする。クールダウンの並歩が、いつものように重くない。キビキビ歩いている。今にも止まりそうな(隙あらばほんとに止まる)ノロノロ歩きではない。
降りた後目を見たら、いつものちょっと人を見下すような視線ではなく、優しく満足気に見えたのは、きっと気のせいでは無いと思う。

コンゴウが若い頃の走りを思い出すような、どんな馬も楽しく走ってくれるような乗り方を目指す。
コンゴウ、今日はありがとう。ゆっくり休んでね。
そしてまた今度よろしくね!

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