好きな曲・1 「坊や/イワクニマユ」
インディーズで音楽活動を続けている鍵盤弾き語りシンガーソングライター、イワクニマユさんの最新アルバム「私手記」の4曲目に入っている「坊や」というタイトルの曲。イワクニマユさん自身も「ライブで歌い始めて、この曲をどの立場で聴くかに寄って結末の捉え方が違ってくるのかと改めて感じています」ということをSNSに書いておられました。イワクニマユさんのTwitterより
CDのほか各種音楽配信サイトでも配信されています。 https://linkco.re/rVr7Sa7v
私はこの曲を聴いた時にえらく感動して何かすごいインスピレーションを得たので、私なりの解釈をしてみようと思います。イワクニさんの深い声は魅力的で何度か(たぶん三度)ライブ会場でも聴いたことがあるのですが、この曲では曲調も相まって古い黒人霊歌の荘厳さやブルースのような悲しみを感じます。
ビートルズの「She’s leaving home 」やムーンライダース「さよならは夜明けの夢に」は子が家を出ていく側でしたが、ここでは母親が家を出ていきます。
中ほどに出てくる歌詞
「誰も悪くなくて誰もが悲しい ありふれたそんな出来事はある日突然降ってくる」
誰にでも似たような経験があるそんな出来事を描いた悲しくも美しい名曲だと思います
◇歌い出しはこんな歌詞から
「坊やが眠りについたのを 見届けて母は出て行った
坊やのおでこにキスをして しょっぱい涙が垂れたとさ」
母は何故涙ながらに出ていったのか。
協議の上で離婚を決めて坊やのショックが少しでも和らぐようにと寝ている間に去ったのだろうか
◇翌朝目が覚めた坊やは
「子供が故の思慮深さで 何にも言わずに受け入れた」
子どもが故の思慮深さ、という言葉が印象的。
以前から父母の疎遠な様子を感じていたのだろうか。子どもながらに達観している悲しさ
◇父は坊やの様子を見て
「泣き喚かれても辛いけど 飲み込まれては分け合えぬ」
泣くかと思ったのに黙ってこらえている坊やを見ての父の心情。
本当は父も坊やといっしょに悲しみを分かち合いたかったのだろう
◇母は近くの街に住んでいて坊やはもう寝たかなと思ったりしている。それでも
「すれ違っても気づくまい 時間はむごくて優しいものよ」
時が経てば忘れられる、いや忘れたくないと思う母の気持ちが滲み出る。母も坊やもお互いを忘れる日が来るのだろうか
◇いちばん最後の一節は父の思いなのか それとも母の思いでもあるのか
「すれ違っても気づくなよ お前の母はもういない」
現実を受け止めて生きていってほしいという坊やへの願いであり、自分への決意でもあるのか
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