還暦オヤジがスマホ決済に挑む

同年代に比べると、ITスキルはけして低くないと自負してきた。

パソコン歴はWin95 の時代から95→98→XP→7→8→10と十数台を乗り継いできたし、うち2台は自作機。携帯電話は1991年、10万円もの保証金を預けるレンタル提供のみの時に早速飛びついた。ITスキル云々以前に単なる「新しもん好き」なのかもしれない。2011年にはブラックベリーからandroid2.0のスマホに移行、auでiPhoneの取り扱いが始まると即座に乗り換えた。

それから10年ほど…今やスマホなんぞは当たり前、子供からかなりのお年寄りまで使っている。その普及率の高さに連動するかのように世のキャッシュレス化も進んできた。クレジットカードやカードタイプの電子マネーだけでなく、それらを紐づけてのスマホ決済ということが日常的となりつつある。

でも、小さいとはいえ会社なんてものをやっていると、様々な支払いは基本的に納品書や請求書からの銀行引き落とし。普段の買い物だってクレジットカードを使うほどのものではないので「いつもニコニコ現金払い」が当たり前。現金使わないのは交通系のPASMOと(ずっと私鉄沿線だったもので)ETCカードくらいだった。そもそも、「道具は壊れるまで使う」というポリシーのもと長らくiPhone 6だったんだよね…これ、apple pay使えないんだよ。だから、TVで〇〇ペイとかの宣伝を観ても、「ふーん」と冷めていた。

しかし……

この春くらいから、PCもスマホもサイトを開くたびに《マイナポイント》の宣伝が喧しい。マイナンバーカードの取得率が一向に上がらないこととキャッシュレス決済のさらなる普及を目指しての国策事業。さらにはこのコロナ禍で「現金使わない方が非接触で安全」っていう認識も広まった。お国がポイントいっぱいくれるというなら、当然もらっておきたい。会計事務所からも税金絡みでマイナンバーカード作っておけと言われてるし。iPhone 6,まだ壊れてないんだけど…やむなくapple payを使う環境を整えるために買い替えることにした。

iPhone SE2への機種変とSuica登録

iPhoneの10や11が馬鹿みたいに高かったのに比べ、SE2は発売前から安価だけど高スペックという評判が立っていた。以前から請求見積り関係の書類をはじめ各種のデータはクラウドに保存し、PCでもiPhoneでも見られるようにしていたから、高スペックでサクサク動くのは嬉しい。

機種変に伴うアプリやデータの移行は、iTunesとiCloudでほぼ自動的に終了。クレジットカードもAmazon prime を使うために6の時から登録済み。いよいよスマホ決済の基本のキ、交通系カードの登録である。少し前からandroidスマホではPASMOが利用できるようになっていたものの、iPhoneではまだダメ。年内には何とかなるんじゃないかという声もあるけれど、とりあえず新しいiPhoneで電車に乗りたいオッサンは待つ気などない。混乱を避けるために慣れ親しんだPASMOはサクッと解約。モバイルSuicaのアプリを取ってWalletに追加。ビューカードなど作る気はないのでJREポイント云々は読み飛ばし、準備完了だ。

さていよいよ使うぞ…となったそのタイミング。コロナウイルスの感染状況が悪化したため、コンサルタント仕事のほとんどがキャンセルもしくは自粛を余儀なくされることとなってしまった。街と高原を行き来して仕事をしていた僕は、街に出ることもかなわず山の中での引きこもり生活…田舎暮らしでは移動のすべてがクルマであり、電車など乗ることもない。

日本中を覆っていた自粛ムードが薄れ、ようやく街に出られたのは3か月後の9月初旬。密接を避けるためにクルマで実家まで行き、さしたる用もないのに小田急線を使って買い物に行くことにした。このiPhoneでちゃんと改札を抜けられるのだろうか…ガシャっとゲート閉まって恥かいたりしないかな…正直、オッサンはドキドキ。実は事前に「モバイルSuicaの使い方」的なYouTubeを見て予習までしていた(!)というのは家族には内緒。

で…結論から言えばモバイルSuicaはフツーに使えた。PASMOのころから駅の売店や自販機でも利用してきたから、今後は同じように小銭を使わずiPhoneで支払うようになるだろう。となると、例のマイナポイントはSuicaでやるのがいいか?でも、都会暮らしならいざ知らず田舎ではSuicaで決済できる場所が少ない。コンビニは使えると聞くけど、ホントか?5000ポイントを得るために上限2万円をチャージしても、あんま使わないんじゃないかなぁ。

マイナンバーカード取得とマイナポイント

マイナポイントの決済事業者登録は9月1日から。

マイナンバーカードの発行には概ね1ヶ月かかると聞いていたから、逆算して8月初旬にネット申請を行った。で、出来たとの連絡を受けて役所に取りに行ったのが9月の中旬。モバイルSuicaを無事使うことが出来てホッとしたばかりだったが、マイナンバーカードの到着でいよいよスマホ決済の本丸を決めることとなった。

前述の通り最初はマイナポイントの決済事業者にはSuicaを使う気満々でいたのだが、なんとなく田舎だと使う場所が限られそうなので結局は却下。うちの奥さんは多分イオンのWAONを使うだろうからこれも却下。というわけで、なんだかたくさんあってよくわからない《〇〇ペイ》の中からひとつを選ぶことにした。もちろん使い勝手は個人個人で異なるだろうが、僕の場合ネット通販がAmazonと楽天メインなので楽天ペイをまずは選択。クレジットカード紐づけではなく、ネット決済用に作ってある楽天銀行からキャッシュチャージという方法にすれば、計画的に使うことが出来そうだ。

というわけで、さっそくマイナンバーカードと役所で決めてきた暗証番号を手元に置き作業開始。あらかじめ取っておいたマイナポイントアプリを使ってマイナンバーカードを読み取る…読みと…あれ?

やり方が悪いんだかアプリの精度がイマイチなのか、なかなか読み取れない。これは一度成功した後で再度やってみても同様で、焦らずiPhoneをセットしてじっくり待つことが必要。スキャンなんてすぐ出来るはずなのに、なぜこんなに時間がかかるのかはナゾだ。ちなみに、カードの真ん中あたりにカメラのレンズが来るようにセットすると早い…ような気がする。

カードの読み取りが成功すると、決済事業者の選択となる。このまま決定となればスムーズなのに、選択したあとは事業者のサイトに飛ばされてしまい、結局は事業者サイトでの登録となる。僕の場合は上記の通り楽天ペイを選択し、そちらで登録をしたのだが…ちゃんと登録出来たんだかを確認するためにマイナポイントアプリで《マイキープラットフォーム》を見てみようとすると、またまたマイナンバーカードの読み取りという作業が必要と出て同じ苦労をする羽目になる。

とにかく、ちゃんと登録されていれば利用者マイページの「申込状況照会」というところで《マイナポイント申込状況→申込済》、《マイナポイント付与上限→5000円》と表示されるはず。その他、決済サービス名称やサービス区分、申込日時なども明記されているので、登録が終わってもしばらくはこのアプリを消さない方がいい。

不正利用などに対する猜疑心

僕が今回のスマホ決済チャレンジをしているさ中、時を同じくしてドコモ口座とドコモD払いのシステムを悪用した不正利用の詐欺事案が露見した。

20を超える銀行の口座から不正に開設されたドコモ口座へとお金が流れてしまったわけだが、そもそも本事案では何故銀行の口座番号や暗証番号が第三者に渡ったのかが不明のまま。ドコモ側で本人確認が甘かったとの認識を出しているが、流出した銀行側には責任ないのかな?利用者が通帳記帳など口座確認をしない限り被害に遭ったかどうかすらわからないというのは問題だと思う。

もちろんアナログな時代にもこの手の金融詐欺事案は散々あったのだけれど、今後キャッシュレス化がすすむことによりセキュリティのスキを突く犯人はおそらく無限に湧いてくる。キャッシュレスというのは確かに便利だが、使う側にそれなりのリテラシーと用心が無いと惨事が起きる。自分で出来る防御策はなにか、万が一の時はどう対処するか…そんなことも家族で話し合っておく必要があるだろう。便利さに浮かれていると、必ず足元を掬おうとする悪い人間がいるのだから。








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