【詩】奪われたもの
奪われたもの
雨が肌にいたい
わたしは夜道を一人で歩く
歩いて探す わたしの帰る家を
方方を見渡す
温かな明かりの灯る家の窓
どの窓も わたしを受け入れてはくれない
雨が肌にいたい
だんだんと麻痺してゆく
痛みは薄れ 凍えた手足の感触は消えかかっている
意識が平らになってゆく
ただひたすらに前だけを見る
風が耳にいたい
もうわたしに届く音は光は感覚はない
ふっと意識が遠のく
その時 感情は何も持たなかった
わたしはわたしの存在を忘れた
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?