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虫って美味しいですか?

「虫って美味しいですか?」

イベント等で出店していると、よく聞かれます。

正直に言ってしまうと「わかりません」と答えてしまいそうになりますが、会話がそこで終わってしまいますし、そこはまだまだ認知度の低い昆虫の味。
時間があれば説明しますし、無ければ「私は蜂の子は美味しくて好きですよ」とかの具体的な例を挙げるようにしています。

そもそも、【昆虫】とひと言でまとめても、すっごく広いです。沢山います。選択肢がありすぎます。

地球上の多様な生物の既知の総種数約175万種類。
その内哺乳類約6000種
鳥類約9000種
昆虫…950,000種!!
(平成20年版 環境白書より)
既知の哺乳類や鳥類の軽く100倍以上の種類がいる中で
「昆虫って美味しいですか」
と言われたらどこの何を指して言えば良いかわかりません。なので答えは必然的に
「わかりません」
…だとちょっと感じが悪いので、「どの昆虫ですか?」になります。
話を聞いてくれそうなら「コオロギは…蜂の子は…」と延々と話しますが。


ただ、味の認知度は低い。

現代の日本において、どの昆虫だろうとその味自体を認知している人は多くはなく、先に述べた質問が間違っている訳ではありません。

「哺乳類約って美味しいですか?」
とか
「海洋生物って美味しいですよね?」
なんて質問はあまりされないのは、質問の最大の単位がもう少し絞った「牛肉」とか「魚」とかであり、当たり前に「○○和牛」とか「サーロイン」とかブランドや部位に対しての質問も一般的です。

話を戻すと、それだけ昆虫の味が一般的には浸透していない。寧ろ食べ物として認識すらされていない。存在自体に嫌悪感を覚える人も少なくない。

結論は…一般論としてはネガティブイメージが多数。

前向きなことを伝えようとしても、ネガティブな先入観を打ち破るのは至難のワザ。
だから食べて欲しい側としても、相手を選びます。

元々昆虫を食べる食文化圏や国や地域でなければ、先入観のない人か、好奇心旺盛な人じゃないとなかなか一口目が遠い。

ただ、ただですよ、一口目がかなり遠いのは否めませんが、一口食べてみると意外と大丈夫だったりします。
罰ゲーム的にイヤイヤで食べることは推奨できませんが、自らの意思で食べるとけっこう大丈夫です。

なぜならそれは食べ物だから。
特に不味いと感じなければ、一口食べてしまえば受け入れることは難しいことではないと思います。

上手いか不味いかは食べた人の感覚や経験、虫の状態や調理方法、味の好み等もあり、昆虫=美味しいではありません。
私も30種類位食べていますが好きな味と苦手な味もありますし、苦手だと思っていた昆虫も調理次第で美味しく感じることもあります。
他の食材と同様に、食べてしまえばそれはほかでもない、ひとつの食べ物です。


同じ虫でも生産方法で異なる風味を作れる。

先に述べた牛肉がブランドや部位で語られるように、コオロギを例にとってみても面白いです。
与える餌や種類ではっきり味も異なります。
アーモンドを与えたコオロギは本当にアーモンドの風味を強く感じますし、サツマイモやジャガイモを与えても、やはりその風味は強く感じます。成長度合いによっても味の強さやクセも変わりますし、食べ慣れてくると「コオロギ」ひとつとってもコレと言った答えは言えなくなってきます。
一般的にはエビのような風味とかの形容は間違いではないですが、もっと細かくあります。ただ、まだまだ食べる人が多くないのであんまり浸透はしてませんが。きっとそのうち。

個人的には蜂の子が旨味が強くて好きなのですが、成長度合いによる味の違いや調理の火加減でもざっくりと例えると“白子”~“鶏肉”位の差異があります。(あくまで私の感覚ですが)


95万種類のうち食用に向くのはある程度限られるにしても、生物界最大の95万種。その上で野生のみならず養殖の飼育方法や調理法だけでも多様な可能性を秘めた昆虫。

「虫って美味しいですか?」

まだ見つかっていないかもしれませんが、きっと好みの味の美味しい虫はあると思います。

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