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工房めぐ海、震災を経てから現在まで

震災後の苦労


 2011年3月11日、日本中に悲しみと苦しみ悲劇を生んだ東日本大震災が起こりました。震災によって発生した津波は、多くの人々の命と生活の基盤である建物を次々と奪っていきました。今でも、震災を経験した人やそうでもない人でも、当時の光景や映像が記憶にあるのではないでしょうか。それほど、衝撃的な出来事だったと思います。
そのような津波の被害の中に、一つの工房があります。その工房は、工房めぐ海という岩手県陸前高田市広田町にあります。主に、おやきやがんつき、ゆべしといったお菓子や、お弁当などを作っています。

その工房めぐ海にも、津波によって工房が流されてしまった過去があります。また、工房のみならず、工房めぐ海で働くメンバーの自宅も津波で流され、仮設住宅で過ごした方もいます。非常に恐ろしい津波が襲う数分間によって、経済的、精神的苦痛により、悲しみと絶望感を感じることは無理もないでしょう。東日本大震災が起こった当時の工房めぐ海の代表、村上豊子さんは半ば、工房の再建を諦めていたといいます。しかし、メンバーの一人の臼井美奈子さんをはじめとする、仲間が「従業員みんなで力を合わせれば何かできるのではないか」という想いと、「みんなでやりましょう」という声から工房の再建を始めました。


再建してから現在


 そして、津波が起こってから1年後、2012年5月6日に再オープンし、本格稼働し始めました。当時の工房めぐ海の代表村上豊子さんは、「全国から多くの支援を受けたからこそ、地域のいいものを全国に発信していきたい思いが強くなった。みんなで力を合わせて頑張っていきたい」とおっしゃっていました(岩手日報より引用)。同時に、新商品開発に対する熱い想いも募らせていきました。
 工房めぐ海を再建してからは、通常営業を行いつつ、出張営業にも力を入れました。地元岩手県ではあらゆる行事に参加し、岩手県のみならず鳥取市や関東においても出張営業に赴きました。他にも、お歳暮やお中元、ふるさと納税の謝礼品などに起用されて、順調に売り上げを伸ばしていました。

しかし、近年新型コロナウィルスが世界中で流行し、その被害は工房めぐ海にも及びました。それは、観光客の激減とイベント等の出張営業に赴くことができないことです。今では陸前高田市の特産品とされている工房めぐ海のおやきですが、観光客の激減によりお土産品として販売していたおやきの売れ行きが不調になってきました。また、新型コロナウィルス対策として、徐々にイベントが減っていき、ましてやイベント中止のお知らせが次々と工房めぐ海の耳に入っていきました。商品を売る機会がなくなってしまったため、現在はネット注文と道の駅でも販売を基盤に頑張っています。
 それでも、工房めぐ海が手掛ける商品の味は確かで、最高に絶品。これからも、震災から立て直した強い気持ちを忘れず、新型コロナウィルスにおいても、力強く日々頑張っていくことをお祈りします。私達太田ゼミも、大変お世話になった工房めぐ海に対して、少しでもお力になれるよう広報活動・宣伝などをして全力で応援したいと思います。


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これまでの教訓とこれからの展望


 これまで、工房めぐ海を再建した前、後で二つの弊害が起こりました。それは東日本大震災による津波と新型コロナウィルスです。それら災害に日々乗り越えて、今も営業を続けているわけですが、災害から乗り越えていくたびに学んだ教訓があるそうです。

津波の被害では、多くの備品が流されてしまったそうです。それは、釜や焼印などがありました。しかし、そういった備品に「工房めぐ海」という名前を入れておくことで、津波に流されてしまった後でも帰ってくるそうです。また、工房めぐ海にとって大事な書類や大事なものにおいても、事務所で保管せず、従業員皆に振り分けて保管してもらっています。その理由として、リスクを分散するためです。事務所に保管して津波に流されてしまった場合、今まで積み上げてきたものがなくなってしまうのを防ぎます。

新型コロナウィルスでは、より衛生面に気を付けるようになったことです。新型コロナウィルスが流行る以前も続けて衛生面に気を付けていたそうですが、毎月の検便や手洗いうがいはもちろんのこと、帽子についている髪や汚れをローラーで取ってからおやき作りに入ります。身だしなみの衛生面以外にも、冷蔵管理も徹底してチェックしているそうです。

このように二つの災害から乗り越えてきた工房めぐ海ですが、最後に今後のことを考えたお話を工房めぐ海代表の臼井美奈子さんからお聞きしました。今では地方各地で進んでいる過疎化や日本の社会問題となっている少子高齢化社会の中、工房めぐ海にも弊害が出ています。従業員のほとんどがご高齢で、若い従業員は少ないそうです。そのため、これからも工房めぐ海を続けていくために、「後世につなげていけたらいいな」とおっしゃっていました。それは、工房めぐ海の味を守りつつ、形あるものを継続していきたいという意味を込めてです。そのようにこれからの工房めぐ海のことを話してくれました。太田ゼミ一同も工房めぐ海が続いていくことを応援しています。

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 担当者:玉川大学太田ゼミ 斉藤・木口

参考文献
工房めぐ海代表臼井美奈子さんへインタビュー
『大津波にも負けず頑張る母ちゃん!応援隊』元隊長のブログ

参考写真

一般社団法人トナリノ 吉田健太さんからご提供してもらいました。

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