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2024/02/19 けだるげ

お茶との境目もあいまいなMacのプレミアムローストコーヒー(Sサイズ)は夕方の眠気を散らすには不十分で、よみかけの連作短編を綴じてテーブルに突っ伏してみる。『田中くんはいつもけだるげ』をいまさっきイッキ見したせいだと思う、お店の隅々で立ち上がる雑音が合わさって摩滅して、するどさを失ったごった煮の環境音が何処となく、在りし日の教室のそれをremind A of B 。決定的な事柄は何ひとつ起こらなかった教室を、“アオハルのひとコマ”として都合よく何度も反復して想起する、それこそ歴史修正主義もいいところだけれど、しあわせのPTSDとでもいいましょうか、そこに戻るたびに塗り重ねられていく嘘っぱちの油彩画も、眺めるにはわるいことないんじゃないの?そう考えて、確信犯的な記憶の改変を、すこしだけ自分にゆるしてあげた。

それにしても『田中くんはいつもけだるげ』、ほんとうに傑作でした。日常系の伝統を踏襲しつつも、シンジ君的ヘタレ・メンタルというスティグマが強かな“気だるさ=アンニュイ”として無理やり回収されているところに、なんだか慰めを感じてしまいました。田中くんこそ、今世紀に現れた無害な碇シンジ!シンジの「逃げちゃダメだ」に対して、田中くんは「がんばらない」ことに命懸け。

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