見出し画像

【2020年2月読書録】PIXER、1Q84(BOOK2,3)

最近は外出控えもあって、読書時間を確保しやすくなっています。前に買った状態で読みそびれていた本を引っ張り出してみようかな。

では、先月読んだ本を3冊紹介します。「学ぶ読書」が1冊、「メンタルに効かせる読書」が2冊です。


1.「PIXAR〈ピクサー〉 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話」

わが家には年末に大型書店へ行き、年越しから年始に読みたい本を各自が選ぶという家族イベントがあります。この本は、昨年末に選んだもので、どこかの記事で2019年おすすめビジネス書として紹介されていたこともあって興味を持ちました。

企業の成長過程における事業戦略、ビジネスの構造、組織の変化について多く事例をインプットしたい目的があり、1月に読んだ「集中講義デジタル戦略 テクノロジーバトルのフレームワーク」と、これの2冊を手に取りました。「集中講義デジタル戦略〜」は客観的に書かれた本、こちらは著書が実際に体験したことが主観で書かれた本です。「PIXAR(ピクサー)」のCFO兼社長室メンバーとして、スティーブ・ジョブズのもとでIPOに導いた著者ローレンス・レビーのストーリーを追体験できるのが特徴です。

最近、テレビの「金曜ロードショー」で子供たちと海外のアニメーション映画を観る機会が増えてきました(一番のお気に入りは、ピクサーの「リメンバー・ミー」です)。それらの作品には、ディズニー作品とピクサー作品があることが気になっていました。トイ・ストーリー1が発表される前、ピクサーはディズニーの製作会社として、決して有利とはいえない契約を結んでおり、作品の製作費をディズニーが負担するかわりに、大ヒット作を作っても「ディズニー映画」扱いになる上に、収益の10%も手元に流れないというものでした。ローレンスはもともとシリコンバレーの弁護士であり、エンターテイメントのことはほとんど知らない状態でしたが、ビジネスモデルを調べ尽くし、ピクサー特有の文化を守り、ジョブズの尊厳を落とすことなく("友人"としての立場も変えることなく)、IPOを実現、持続的成長のために奔走・・・

1章が10ページ程度で構成されていて読みやすく、事業に光が見え始めてからの展開はとてもスピーディーに感じて、惹き込まれました。お気に入りの章は、第20章「ピクサーをブランドにしなければならない」です。


2.「1Q84」 BOOK 2、BOOK 3

1月から読み始めた、長編文学読破チャレンジ。2月で全巻を読み終えました。

この本が平成の代表作として、社会現象になるほど多くの人に読まれてきたのだと思うと、なぜか落ち着かない気分になりました。読み終えた時、私の中に確かな何かは残りませんでした。著者が伝えたいことは何なのか、他者のレビューを読みあさって見つけようとしましたが、よくわかりませんでした。その感覚は、ミリオンヒットの音楽を聴いても何も感じないこと、名店のラーメンを食べても大して感動しない感覚と似ていました。読み手の自分側に足りない何かがあるのではないかと、思ったほどです。

読了から2週間が経ち、もう一度この本に何を求めていたのかを考えました。それは、なぜこの本がこれほど多くの人に読まれたかを知ることでした。(これほどの有名作家の作品で、発売までに内容を一切明らかにしない、というプロモーション戦略があったことは差し置いて。)

宗教、殺人、親子関係、性欲などのあらゆるテーマが入り混じり、2人の主人公(BOOK 3からは3人)の視点からパラレルに描かれていて、途中まではそこが惹き込まれる要素でした。しかし、徐々にすべてが解き明かされるBOOK3の後半には、不思議と退屈さを感じ始めました。終わってみれば、結局恋愛ものだった。自分はそれを求めていなかったので、しっくりこないまま終わってしまった感じがしました。

村上春樹の作品は、だいたいこのような展開なのでしょうか。学生時代に「羊をめぐる冒険」を読んだことがあるものの、内容はまったく覚えていません。村上春樹が世界を魅了し続ける理由 ベスト5(ダ・ヴィンチニュース)によると、「1位 話(ストーリー)が面白い 43.8%」「2位 有名な作家だから外せない 27.1%」「3位 病みつきになるような読後感 15.3%」とのことです。個人的には、この3つどれも共感するには至らないのですが、登場人物の描写の仕方はとても印象が残りました。ありのままをいかにありのままに表現するか、その人物と対面する相手が抱くであろう感情まで細かく想定されているようでした。まるで読み手である自分の心までも見透かされていたのかというほどに、リアルなものでした。私の場合は、ストーリーよりも登場人物そのものに興味を植え付けられたことが、最後まで読み通せた理由かも知れません。それが村上春樹作品特有のものであるのか、そうでないのかはわかりません。

次の言葉を使った瞬間、思考が止まりますが、文学は深い。やはり、よくわかりません。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?