ツキイチライブVol.4感想 いくつもの選択の先に、NORDという花が咲く
2022年6月4日。
その日はなんだか、朝からソワソワと落ち着かなかった。
SNSを覗けばノル友さん(NORDファンの総称)がキャッキャッと楽しそうにしている。皆がみな、彼らの6周年を喜び、お祝いしている。そんな日に開催されるライブを、配信を、ドキドキしながら待っている。
その雰囲気がなんだかとっても、いいなあ、と思った。
いつも日曜日開催だったのに、6月4日だけは土曜日だった。スタッフさんがこの日を選んで用意してくれたのかなと思うと、感謝は尽きない。そして劇中の台詞をいっそう噛みしたくなる。「花は一人では咲けない」土や水や太陽――多くの人たちの支えがあって初めて、花は美しく咲くのである。
この記事は、
アーカイブを見るたびにうるうる泣いているいちオタクによる、
学生コラボプロジェクト”NORDツキイチライブvol.4~ライブは授業で学ぶだけじゃない!ステージで炸裂してるんだ!”
の配信を見た感想です。
■ツキイチライブVol.4
NORDとは? ツキイチライブってなんぞや? ということについては、前回Vol.3の感想で書いたので省略する。よかったらそっちも読んでね。オタクの取り乱しっぷりがよくわかるので……
またNORDメンバーについては、めちゃくちゃ分かる~! という記事があるので紹介させてほしい……
私はこちらの記事の『メンバーの魅力』を赤べこみたいに頷きながら読んでいた。わかる……
●Produced by 舟木健
ツキイチライブVol.4、プロデューサーは舟木健くん。
テーマは『芝居』。タイトル『花が咲く頃に』。
今回は最年少、舟木健くんによるお芝居! 健くんといえばもともと芝居畑にいたこともあり、2021年から2022年春にかけては舞台での活躍がめざましかった。なによりも、健くん本人から「お芝居が好き!」というパワーに溢れているのが、私はとても好きだ。2022年2月に全国を駆け抜けた事務所の会長・鈴井貴之氏の舞台 OOPARTS Vol.6「D-river」 で活き活きと演じていた姿はとても印象的だった。(「D-river」を初めて見た際、物語の面白さは然ることながら、健くんのスーツ姿に「ほぼ脚ッッッッッッ(意訳:脚が長い)」となってしまい、あまりの衝撃にチケットを追加して観に行ったのも思い出である)
そんな健くんが脚本、演出を担当した芝居……楽しみじゃないわけがない……!
物語はノル友高校の同級生、タケル・タクシロ・ヒカル・タイセイ(役名のため敬称略)がタケルの幼馴染である花子にプロデビューを目指そうと誘われるところから始まる。最初はそれぞれの理由で花子の誘いを断っていたが、花子やメンバーの説得により、四人はそれぞれの葛藤や障害を乗り越え、本当に自分がしたいことを見つめ、夢を見ることを諦めずに新人オーディションへと挑む。しかし、最終オーディションの前に、心臓に病のある花子が倒れ、四人は「今、自分たちになにができるのか」を考える――
観劇後、絶妙にメタフィクションとフィクションの境界にある舞台だな、とまず思った。四人はそれぞれ本人の延長線上のような、そうでもないようなキャラクターを演じている。そして劇中の台詞でありながら、どこかメタフィクション的な想いを感じる、印象的な台詞の数々。「ヒカルくんはすごく周りが見えている。こういう人がいないとグループは成り立たない」「あんたたちを見てる花子が、本当に幸せそうだった。そういう、応援してくれる人の気持ちを背負ってパフォーマンスをする。それが、プロとしての姿なんじゃないの」「俺たちは負けられない。負けちゃダメだろ。応援してくれるみんなを、そして花子を、幸せにしてあげよう」
中でも私が気になったのは、ヒカルがタクシロに語るこの台詞。
「あのときも言ってたろ。四人じゃなきゃダメなんだって」
ヒカルが言う「あのとき」は劇中では語られない。それが劇中の彼らのことなのか、それとも現実の彼らにあったできごとなのか、観客の私たちにはわからない。けれど、語られないからこそ、「もしかしてそんなことがあったのかな」と想像し、劇中の”NORD”と現実の”NORD”の歩みを重ね合わせる要素になっている。某アメコミのキャラのように第四の壁を破っているわけではないのに、第四の壁の境界に立っているような脚本がすごく面白い。観客にNORDファンしかいない前提で作られているからこそできる力技な部分でもあるのだけど、健プロデューサーからの強いメッセージを感じる舞台だったなあと思っている。
●花子ちゃん、とは誰なのか
劇中のNORDメンバーには夢を見ることができない様々な障害がある。金銭面・学業・家族との関係……そこに花子が問いかける。「諦めるなんて勿体ない」と。
花子ちゃんはとても献身的に劇中のNORDを支えてくれる。励まし、ときに叱咤し、彼らに夢を見ようと誘う。もちろん、劇中の設定から、彼女にも彼女なりの事情があるのはわかっている。(生きる実感を失っていた経験からメンバーにそうなってほしくないという気持ちがあったり、病を抱え、長く生きられないかもしれないからこそ生きた証を残したい、という想いがあったり)
劇中、何度か四人が決起するシーンがある。拳を突き合わせ「1・2・3、NORD!」と叫ぶ。5thライブの特典映像や北海道で放送されたドキュメント番組で見ることができる、現実のNORDくんたちが行う円陣と同じ光景だ。
最後のシーン、初めての年末生放送の歌番組(大先輩が司会を務めるあの番組に……!)に出演する彼らの前に、大人になり、マネージャーとなった花子ちゃんが現れる。そして彼らと共に円陣を組む。それは、花子ちゃんもNORDの一員なのだと感じる瞬間だった。
TEAM NACSの舞台の特典映像などを見ると、NACSさんたちはよくこう語ってくれる。「NACSは5人だけじゃない」多くのスタッフさんや、なにより、観に来てくれる観客のおかげで、NACSという舞台に立っているのだと。私には、花子ちゃんもそういう存在の”象徴”なのではないかと思えてならなかった。
NORDくんを支えるスタッフさんであり、今回のツキイチライブであれば共にステージを作り上げた学生さんであり、そしてまた、NORDくんを応援してきたノル友のみなさんなんじゃないか……あくまでいちオタクの感想なので、そういう解釈もあるんだなあ程度に読んでほしいが、『NORD』という存在が多くの人に大事にされているんだろうなあと感じられること、脚本を担当した健くんがそのことをしっかり受け止めているように感じられることが、とても嬉しかったことを残しておきたい。
そして花子ちゃんを演じてくれた学生さん。
明るくてパワフルで、でもどこか繊細な、可愛らしい花子ちゃんをありがとうございます。すっかりファンなので、今後舞台などにご出演される際は「私はあの子を学生時代から知ってるんだぜ……」という後方古参ファン面して観に行きたい気持ちです。
●応えるメンバーの頼もしさ
さて、ここまで主に脚本や舞台に込められたメッセージについてああだこうだと所感を書いてきたので、ここでプロデューサーの脚本に応えるメンバーのことも書いておきたい。
そう、バナナのシーンである。
タイセイ君の家に行きたい! という花子ちゃんの発言をそういう意味に勘違いしたコメディシーンなのだが、島くんはポケットからおもむろにバナナを取り出し、バナナ=花子として語りかける。書きながらなんだこの文章? と思ったのだが、これ以上に上手く表現できないので許してほしい。ポケットを叩くとバナナが一本なんだ……嘘じゃないんだ……
同じシーンで舞台上に立っている卓城くんのツッコみがまた素晴らしい。島くんが「Mr.花子……」とバナナに語り掛ければ、「せめてMiss.!!」と叫ぶし、熟したバナナ(2本目)を取り出せば「こっちが熟した花子になるけど大丈夫……!?」と心配してくれる(やさしい)。
その後、バナナを咥えて出てくる光くんがまた面白い。そこはアドリブなのか、脚本の通りなのか……もはや元の台本がどうなってたのか教えてほしい。昼公演もバナナ咥えてたんですか……? そしてこのシーンで、バナナを咥えて見つめ合うタイセイ・タイセイ父を抜いたカメラさんに拍手を送りたい。裏方の学生さんの技術も進化している……! と感じられる最高のシーンだった。
ちなみにこのときの島くんの大暴れっぷりに、卓城くんが「(脚本を書いた)健怒るぞ!!」とツッコんでいるのだが……事務所ファンの多くがある既視感を抱いたであろうと思う……
そう、ゴルゴである……
(大泉さんと安田さんのコンビ名。お二人が出演されていたラジオ番組に因む)
「CUE DREAM JAM-BOREE 2018 リキーオと魔法の杖」のヤスーダとオイズーミ卿や、「CUE DREAM JAM-BOREE 2016」の安田先輩に地団太を踏む大泉さんのように、御しきれぬ天才とツッコまずにいられないお喋りな人という構図がものすごい既視感……になってしまった。御社におきましては、メンバーカラー緑の人は天才(あるいは奇才)が襲名する決まりになってるんだろうか???
別に、NORDくんがTEAM NACSさんと同じようになる必要はまったくないと思っているのだが(でもNACSさんの知名度を利用できるところは、どんどん利用すればいいとも思ってる)、それでもやっぱり、事務所ファンとしては「受け継がれている……」と感じて、なんだか嬉しかったのだ……
●選択の物語
最後に、今回のステージを観て、強く思ったことを書き残しておきたい。
今回のお芝居の中で、劇中のNORD四人は、四人それぞれが葛藤や障害を乗り越えて、デビューを目指すことを選択する。花子ちゃんをきっかけにしながら、全員が自分で選んでいるのである。
思えば、NORDくんはもともと、オーディション番組を経て結成したグループだった。八人からスタートしたメンバーから一人、また一人と卒業し、今の四人のNORDになった。卒業したメンバーもそれぞれの道で頑張ってほしいと思うし、その選択を否定する気はまったくない。そう思ったときに気がついた。彼らに卒業という選択肢があったように、今のメンバーにも卒業の選択肢はあったのである。
私は今回の舞台を観て、今のNORDくんはいつの間にか、「NORDに選ばれた」存在から、「NORDを選んだ」存在になったのかもなあ、と思ったのだ。
人生は常に選択の連続であると、私は思っている。
大きなことだと進学や就職、結婚に離婚。小さなことだと、今日の夕飯の献立やスーパーでの買い物、その日に着る服まで。大なり小なり、人は常になにかを選び、なにかを選ばずに生きている。何気ない日常のことではあるのだが、選択という行為には大きなエネルギーが必要だ。
これは本当に余談なのだが、私は鬱を患っていた時期があり(今は寛解して元気!)、療養中だった真夏の時期に、出先でどうしても飲み物が選べなくて買うことができず、帰宅してから熱中症でぶっ倒れたことがある。
とにかくあの時期は、”選ぶ”という行為がまったくできなかったと記憶している。今となっては笑い話なのだが、選択するということが自分が思っているより大変だと実感した、多分これは一生忘れない思い出だ。
余談を踏まえて、選択するという行為の難しさを考えた。
NORDくんたち四人の前にも、いろんな選択肢があったんだと思う。それこそ、無限大の未来なのだ。なにを選んでくれてもいいとも思う。それでも、選ばれた存在だったはずの彼らは、いつの間にか、NORDでいることを選んでくれた。そのことが、私はとても嬉しい。
NORDくんたち自身が「NORDという形は綺麗じゃない、でこぼこだけど」と語るように、いろんなことがあったのだろう。でこぼこになるたびに、いろんなことを考え、選択し、乗り越えてきたのだと思う。
私がNORDくんを好きなところのひとつに、そんな過去を否定していないというのがある。そのことについていちいち書き連ねるのは野暮だと思うので、『未来図』のとても好きな歌詞を拝借したい。これまでの道のりを肯定する、とても綺麗な言葉選びの、好きな一節だ。
積み重ねてきた選択の先に6周年という日があったように。この先にも、きっと見たことのないような花が咲くのだと信じているし、いちファンとして、その花を見てみたいと思う。
今後どんな選択肢があっても、胸を張って選びとってほしい。
6周年、本当におめでとうございます。
●次回、ツキイチライブVol.2&全国ツアー!
さて、そんなツキイチライブも残すところあと一回!
6/26卓城くんプロデュース回、テーマは『タクシロパラダイス』。順番が前後したことにより、いろいろ考えなおしてくれてるみたいで、本当にエンタメに対して皆さん真摯だし全力で、ファンとしては有難いし嬉しい限り……でも無理せず、ちゃんと寝てちゃんと食べて、健康的に生きてね……!
そして全国ツアー決定おめでとうございます!!!
道外在住のファンなので会いに来てくれることがとても嬉しい。チケットご用意されるように今から徳を積んでおきたい。一日一善とかしたらいいのだろうか。
今回のお芝居を通して、自分たちが楽しみ、生き甲斐でもあるエンタメを作りあげてくれる人の多さを、改めて実感したように思う。
学生コラボプロジェクトとして多くの学生さんが関わってくれているのはライブの裏側を取材したドキュメントからもわかっていたつもりだったけど(YouTubeで配信してくれて本当にありがとうございます)、きっと私が思っていた以上に、多くの人がこのライブに関わり、心を砕き、成功を想ってくれたのだろう。いちオタク、いちファンとして、それを実感できたことがとても嬉しい。
最後に、今回もツキイチライブ後のとっても良い写真を。
今回の学生さんからの贈り物がお花なの、とっても粋で素敵だな~。
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