私が一番好きな本 ー 祖母の歌集

昨日は「2021年に読んで心に残った30冊」を書きました。
一年の読書の総決算ができて、よい振り返りとなりました。
また、反響もあり、うれしかったです。


ところで私が一番好きな本は何かというと、「祖母の歌集」です。350冊しか出版してないのですが、祖母が10年書き溜めた短歌を亡くなる直前に本にしました。祖母は絵描きさんの家系で、表現するセンスを継いでいたように感じます。

立山の賦というタイトルですが、祖母は晩年、富山で過ごしていました。立山連峰の冠雪する様はわたしも見た頃がありますが、それは雄大で、透き通って、息をのむ美しさがあります。(ヘッダー画像も立山連峰の写真を検索してきました)

歌集の表紙の写真も、立山連峰を捉えた一枚。そしてシャッターを切ったのは祖父。祖母と祖父の最後の共同作業。今は亡き大好きな二人が残してくれた素敵な思い出なのです。


さて、歌集はいくつかの章に分かれており、さらに章ごとに20~30ほどの小テーマで構成されています。その中のひとつに、「孫の便り」というテーマがあります。祖母が孫のわたし(と兄)について歌ってくれたものがいくつか残っています。

こんな歌があります。

『雑草とだれが決めたの可哀想幼が問いかく草抜くわれに(陸 四歳)』

私が四歳の頃、庭の手入れをする祖母に向かって放った一言。それを感受性豊かに表現してくれた祖母のセンスもまた、生き生きとしていたことがわかります。世界を純粋な好奇心で見ていた気持ちを思い起こさせてくれる、私にとっての宝物と言える歌です。


祖母の人柄や祖父との関係性がわかる、わたしが好きな歌があります。

『夫という優しき大樹に支えられいかなる花を吾は咲かせ来し』

祖父と祖母の信頼が晩年まで続いた様子がうかがえます。出版にあたり序文を書いてくださった先生にコメントでいえば、『祖母が祖父を「大樹」とたとえ、自分はそこに咲く花だと言っている。なんとも若々しい。』と。わたしもそのように感じ、そんな歳の取り方をしたいなと思いました。


この歌集は本棚の最前列にいつも飾っています。たまに思い起こしては読み、祖父母の時代、母の若いころ、わたしの若いころに考えを巡らし、じぶんをふりかえり、未来を考える。そんな過去と今、未来をつないでくれるわたしの宝物という話でした。

それでは今日もよい一日を!
Have a nice day!!

りく

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