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ショートストーリー集 不思議な場所の話が多い
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#創作

融骨病

その病は命の期限付きで、私の命はもうそんなに長くないことは分かっていた。 子供のころ住んでいた田舎の家の最上階から、現実味のないくらい淡く清々しい田畑の青と、遠くの山の影が見えた。その一室だけが現実から切り離されているようにさえ思った。明るい最上階はその明るさの割に涼しく、太陽がほとんど害のない物のように思えた。 昨晩は最後の外出として商店街に行った。林の中に素朴な木造の建物がいくつも建っていて、その一つ一つが飲食店や雑貨店になっている。林の中は、商店街エリアだけ木から照明が