Take Me Hand
ベッドに入ってから一体どれだけ時間が経っただろう。窓枠に切り取られた月明かりは、カーテンと共にゆるやかな風に揺れた。
夢の中はいつも同じような月夜だ。
暑さも寒さもなく、ただ不安がある。
私はそれが夢だとほとんどの場合見抜いてしまう。
するりとベットをすり抜け、寝静まった家の裏戸から草むらを掻き分けて、私はありもしない川辺へ降りて行く。流れる小川の水面が月明かりを反射して輝く様を、今まさに見ているかのように思い描くことができる。蛍が飛んでいる。
その川辺の岩に腰掛けている人