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朝ドラ『舞いあがれ!』を観て、朝から気分がだだ下がるのを防げない

今日は既報の通り人間ドックを受け、更に5回目の新型コロナウイルスワクチンも接種しました。健康第一を実践した日としてしばらく記憶に留まる日となるでしょう。

さて、……

朝ドラ視聴は私の生活のルーティンに入っている。BSプレミアムで地上波より30分早く始まる放送を観て、トイレに寄ってから家を出るのが生活習慣化しているからだ。

このnoteではあまり放映中の朝ドラに対するコメントはしないようにしている。それをし始めると、毎日その話題になってしまいかねないからだ。ただ、それでもこれは言わざるを得ない。今週の朝ドラの内容は重かった。

ヒロインの父が社長の町工場がリーマンショックの影響をもろに被り、社長が自腹で社員の給与を補填する状況、心労が祟ったのか心筋梗塞で社長が死に、残った妻が社長になるもリストラを実施せざるを得ない。

リーマンショックの傷は大きかった。今にも影響が及んでいる。だから「あまりに重い話で観ていられない」「知り合いに本当にあの頃リストラされた人がいて音信不通」等の感想が出るに至っている。

17~18年前のできごとを取り上げたことは、予備知識不要で理解を得やすい一方、まだ自らの現実でありドラマとして楽しめない人がいる、という諸刃の剣であることを改めて認知した。

これだけが原因ではないのだろうが、当初は賞賛だらけだった今回作も離脱するという声が出てきている。今回作は、朝ドラに不向きな内容なのだろうか。

それを考えるには、結局なぜああだこうだと言われながらも朝ドラは人気があるのかに立ち戻らねばならない。即ち、必然的に朝ドラのコアコンピタンスとは何かというところにまで行き着く。

コアコンピタンスとは、昨今忘れられつつある経営の概念用語で「他社に真似できない核となる能力」のこと。

朝ドラは企業ではないけれど、これだけ続いていることを考えると、やはり他のドラマにはない強みがあるからだと考える。では、その強みって何だろうか、ということかと。

あくまでも私見ではあるが、擬似的に主人公と苦楽を共にして成長する一体感や、身近な人間として主人公の成長を見守り応援したい意欲をかき立てる連帯感を味わえる点だと思っている。

従って、成長過程は視聴者が納得できるものであり、かつ主人公も応援したくなるキャラである必要がある。

そうなると、やはり大きな目標に向かって主人公が一心不乱に努力する姿、さまざまな妨害が入りながらもうまくそれをやり過ごしたり、紆余曲折はありながらも乗り越えたりする姿が我々の琴線に触れる。そして応援したい気持ちが湧き上がってくる。

時には「人としてどうよ?」的な振る舞いをすることもあり得る。例えば『エール』では、主人公は家業が傾いているのに家族を置いて自分の夢のために単身上京した。『スカーレット』では穴窯に賭ける決意を固めた主人公は、夫に逃げられてもそれをやり通した。

そういう彼らでも私達は応援していた。しかし、今回作はそうではない。逆に自分の夢を放棄して母のために町工場経営を助けるという。人としては優しいのだけど、簡単に夢を諦めたように見えて肩透かしを食った気になってしまう。

これまでのリアル社会に、夢を手放した人が一杯いたからこそ、せめて主人公だけは一矢報いて欲しい。その気持ちに応えてもらえないことが、暗い世相と相まって朝の気分の盛り上げに繋がらなくなってしまった。何とか挽回を期待したい。

お読み頂き、ありがとうございました。

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