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やらかしちゃった朝ドラの万太郎に思うこと(前編)

今日は中央快速線が朝から人身事故のために止まり、別ルートでの出勤を余儀なくされました。人身事故を起こした方のご冥福をお祈りするのですが、その前に誰かに助けを求められなかったのかが悔やまれます。

さて、……。

私は朝ドラをここ数年欠かさず観ている。ただ、その内容についてnoteには極力書かないことにしている。理由は簡単で、毎回感想文を書くことがnoteを始めた主旨ではないからだ。

ただ、今ネットニュース等でも複数取り上げられている標記の件は、今を生きる社会人としても頭の片隅に置いておくべきことだと考え、記載することにした。

やらかした……の内容は、観ていない方には何のことやらになってしまうので、簡単に記載する(観ている方は箇条書き部を飛ばしても可)。

  • 主人公の万太郎は大店の跡取り息子。小学校中退という学歴だが、植物が大好き。それが高じて跡取りの地位を捨てて上京、東大の田邊教授の植物学教室を訪問し出入りを許される。

  • (途中は大胆に省略)万太郎がムジナモを東京の池で見つける。万太郎はそれが何かが分からなかったが、田邊教授はそれがムジナモだとすぐに見抜き、その学名を文献と共に万太郎に示す。

  • 更に、東洋でムジナモは見つかっていないこと、その発見を世界に伝えることに意味があると語り、万太郎に論文執筆を勧める。

  • しかも、東大の水鉢の中で育てられたムジナモはわずか1時間だけ開花、花が咲くことはまだ知られていなかった。それを万太郎が見つけた。

  • 万太郎は精力的に論文を書いて完成させる。その論文を含めた植物学雑誌を刷り上げた万太郎は、東大でそれを皆に見せる。その雑誌に掲載されたムジナモに関わる論文は万太郎の単著とされ、田邊教授の名前はなかった。

  • これに田邊教授は激怒、以後植物学教室への出入りを禁じ、これまでの清算として万太郎の土佐の植物標本500点と目録の提出を命じた。

  • 万太郎は論文を書き直して再度謝罪したが、許されなかった(今ココ)。

簡単に記載するつもりで書きはじめたけれど、結構な字数になった。でも、全く観ていない人にはこれくらいは伝えないと訳が分からないと思い記載した次第。

それはさておき、この流れを読んであなたはどう思われたか。田邊教授が狭量だという意見もあるだろう。でも、万太郎に何ら落ち度がなかっただろうか。

大学や学会の閉鎖性と言えばそれまでなのだけど、学問の世界は師弟関係や秩序についてとても気を遣う慣習がある。そこに、大学の学生として入ったわけでもなく、大店のボンで誰かが何とかしてくれるのが当たり前な環境で育った万太郎は、そういう面での感度が低かった。

そのため、自分が苦労して集めたわけでもない大学の標本や文献を自由に使い、それを土台として自分が論文を書けているということについての感謝を具体的な文字にすることがなく、教授に対する配慮が決定的に欠けてしまうことになった。

このあたりは、今を生きる私達も他山の石として心すべき点だろう。

(続きます)

読んで頂いただけでも十分嬉しいです。サポートまで頂けたなら、それを資料入手等に充て、更に精進致します。今後ともよろしくお願い申し上げます。