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【詩】室生犀星の「靴下」を借用

ここで「靴下」はリアルの靴下🧦ではありません。詩です。

私は室生犀星の「靴下」を中学校の時に読んだことがあります。当時も心に響くものはありましたが、やはり実感からは遠かったのは否めません。

我が子を持ってから改めて読むと、その言葉の重さに強く圧倒されました。

今回は、この詩の形をお借りして母を送った時の気持ちを表現してみました。文才の差は面の皮の厚さでカバーします。

『供花』
真新しき花柄の浴衣をも着せて
オイルマッサージで肌艶を整え
あまた頂いた花を家族で溢れんばかりに棺内に納め
孫まで手を貸して棺のフタを覆い
かくて野に出でゆかしめぬ。

おのれ喪主たるゆゑに
野辺の送りの先頭を行くべきものと
われひとり白木の仮位牌を抱いて霊柩車に乗りぬ。

焼き場での待ち時間に外を出歩くほどに
二親ともに旅立ちたるを実感し
庭の紅葉に目を止めた後にしばし瞑目せり。

お読み頂き、ありがとうございました。

読んで頂いただけでも十分嬉しいです。サポートまで頂けたなら、それを資料入手等に充て、更に精進致します。今後ともよろしくお願い申し上げます。