退職時は美しく去りたいもの
今日も暑かったですね。今年は節電もあり、オフィスの空調温度が調節されるようです。その点でも厳しい夏になりそうです。
さて、……
美学という言葉がある。「学」という字が付いているけれど、一般的な用法においては、学問ではない。確かに、
というのもあって、この点では学問である。しかし、多くの場合
を意図してこの言葉が使われる。要は、個人が美しいと感じる価値感である。
少し前まで、従来の会社ルールでは自分が定年間近だったこともあり、退職する時は美しく去りたいという願望を持っていた。過去形なのは、今は考えが変わったのではなく、定年が先になったので一旦ペンディングにしただけである。
ただ、自分がこの年になるまでに見てきた定年間近の人達は、まさに人間の本性が現れると言ってよいくらい人により言動に差が出ていた。
会社に雇用されている以上、役務の提供は当然果たさなければならないはずなのだけど、二言目にはあれこれとやらない理由を述べる人というのも残念ながらいた。
申し訳ないが、そういう姿からは美学の欠片も感じられなかった。最後に後輩たちにそのような姿を見せることについて、何ら恥ずかしいとも思わなくなるのを知ってしまうと、うら寂しく感じたりもした。
もちろん、大抵の人は従来通り勤務を続ける。それでも中には「モチベーションがねえ……」とコボす人もいたりした。自分がまだまだ定年から遠い頃にはその心境が分からなかったが、今はそれなりに分かる気がする。
良し悪しはあるにせよ、多くのサラリーマンは契約に基づく役務の提供だとの認識で動いてはいないのである。会社での自身の活動により自らの成長と将来の成功を無意識に期待している。
しかしながら、定年を身近に感じるようになるとその期待ができなくなってしまう。その時に、なお働く意欲を持続する最後の支えが美学なのである。
美学は、会社が与えたものではない。多くは持って生まれ、退職を意識するまでに意識に染みついた思考原理・行動様式なのだと思っている。その年齢になってからではコントロールできない類いのものである。
もしあなたが自分の考えの正しさについて疑念を感じたなら、日頃通っている床屋やマッサージ等のサービス業の人と話をしてみれば良い。会社の周囲の人間はあなたに遠慮して言わないようなことも、彼らは指摘してくれる。
人間、定年がゴールではない。その後も相当期間生きる。だから、いかに自身の前向きさを維持するかを早め早めに考え始めること。それが大事だと先行く立場の人間として、あなたにお伝えしたい。
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