いつ現金を引き出したっけ？

私は今年になって、まだATMから現金を引き出していない。前回の「家の購入手続②」では、お金をかき集めるためにATMを駆けずり回った苦労を書いたが、それと比べると隔世の感がある。

確かに、あれは特別のイベントであった。とはいえ当時は、大体２～３週間に一度は手元の現金を補充するためATMで引き出していた。

それが今では全くやらずに済んでおり、財布の中の現金は引き出しが必要になるほど減っていない。我々は今、従来よりも現金を使わなくなっているのではないか？

○○ペイが広まったり、非キャッシュ決済をマイナポイントの付与が後押ししたりという事情があるのは確かだが、それだけではないかも知れない。

潜在的に新型コロナウイルス感染症への忌避感があって、誰が触ったのかが分からない現金を触りたくない気持ちが惹起され、結果として現金を使わない行動様式を後押ししているとの見方もできると思う。

スーパーのレジでも「○○ペイ使えます」というコーナーが設置され、そちらの方が混むようになっている。私自身、大抵の買い物は○○ペイで支払っており、現金を使うのは病院での支払い時くらいである。

私が住宅ローンを借りている銀行は、他行ATMでの引き出しを何回か無料にする特典を与えてくれたが、今ではその特典の価値もかなり低い。

偶然とはいえ、○○ペイやマイナポイントを一ウイルスがサポートしているという皮肉な見方もできよう。コロナ禍は、現金に対する感覚も根こそぎ変えている。